このページの本文へ

カメラを持ち出して演習を撮ろう!

2009年01月22日 12時40分更新

文● 藤吉 隆雄

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ミリタリーならではの撮り方は?

 今回は陸上自衛隊の公開模擬演習である、第一空挺団の降下訓練始めを取材した。しかし、今回の降下訓練始めは実施主体の陸上自衛隊第1空挺団だけではなく、多数のヘリ部隊、航空自衛隊のC-1輸送機、C-130H輸送機まで参加する立体演習である。陸モノだけではなく、空モノも登場するので、色々楽しむことができる。

 撮影モードはプログラム・モードを使っている人も多いだろう。露出をカメラが決めてくれるから楽チンだ。基本的にはそのままプログラム・モードで撮影しても大丈夫である。評価測光(マルチパターン測光などの名で呼んでいるメーカーもある)で、露出補正+0.6から+1でだいたい適正露出にアタリだ。

 少しステップアップしたら、シャッタースピードに注意して望遠レンズを使うために手ブレを警戒したくなるのと、戦車や戦闘機などの動きの速い被写体を狙う思いのために、シャッタースピード優先モードを使ってシャッタースピードの設定を速くしたくなる。

 だが、ここではヘリコプターのローターやプロペラ機のプロペラの動きに注意して、撮影時のセッティングを選ぼう。少し遅いシャッタースピードを選んでローターやプロペラの回転を表現したい。また地上装備を撮影するときでも、同様に少し遅いシャッタースピードを選ぶと車輪やキャタピラの動感が増す。しかし、あまり速いシャッタースピードで撮影してしまうと、ローターやプロペラが止まって写ってしまう。とはいえ、あまり遅く設定すると航空機などがぶれてしまう。ローターやプロペラが動いて見えて、かつ手ブレや被写体ブレがなるべく出ないセッティングを考えなければならない。

 対象となる航空機の種類や飛行スピードなどによって違ってくるが、1/500秒以上だとローターやプロペラが止まって見えてしまうことも多いのが実情だ。だが、1段(写真を撮る上の光の単位)遅くして1/250秒にしてしまうと、慣れない人はブレてしまうことが多くなる。そこで今回はレクチャーのために中間を取って1/320秒を選択した。

 このシャッタースピードを決めたら、シャッタースピード優先モードで撮影しても良い。だが、被写体によっては、デジタル一眼レフが迷彩塗装を明るい色と間違えて明るく写してしまうので、マニュアル露出のモードに設定して背面の液晶モニターを参考にして露出値を決め、ずっと同じ露出値で撮影すると写真の明るさが均一できれいに仕上がる。曇天ならば順光側でも逆光側でも同じセッティングで事実上オッケー。晴天ならば順光側と逆光側で適正露出値が違うので、背面の液晶モニターを参考にして調整したい。

1/500秒

シャッタースピード1/500秒で撮影したAH-1S対戦車ヘリ。このくらいのローターの回転具合の時は、向きによってはほとんどローターが止まって見えるように写ってしまうことがある

1/320秒

こちらは同型機でシャッタースピード1/320秒。ローターのブレ具合が違うのがわかる。これぐらい回っていると、どの方向から撮っても回転してると認識できるぐらい。この日は寒かったので、これ以上遅いシャッタースピードにすると自分のホールディングに自信がなかったのでこの程度にしている

1/320秒

同じ1/320秒でも被写体となる航空機のローターやプロペラの回転具合によってイメージはさまざま。このCH-47の場合、後のローターは回っているように見えるが、前のローターの回り具合は少ない

1/30秒

シャッタースピードを遅くしすぎると、ローターが背景に溶けこんで無くなってしまう。この写真は1/30秒で、さらに見上げる姿勢のホールディングとなるので手ブレも起こっている。戦闘機系の離着陸シーンなどは、思い切ってこのくらいのシャッタースピードにすると背景が大きく流れて、とてもカッコ良い写真が撮れたりすることもある

被写体配置

匍匐前進する隊員たち。主要被写体が画面いっぱいにならない場合には従たる被写体(この場合は背後でぼけている隊員)を配置することを考えたい

発射シーンの撮影

発射シーンの撮影は、タイミングを予想して連写するしかない。それでも、発射した瞬間の火炎が撮れるとは限らないのが難点。この日はプレス・エリアから撮影したが、このシーンでは多くの取材カメラマンから「しくじったー」との声が漏れた。残念ながら筆者もしくじり組

この2枚はいずれもEOS 40D につけたEF100-400ミリの100ミリ域で撮影したもの。近くの被写体を撮ればアップの写真になるが、遠くを写せば情景写真になる。それだけ演習場は広い

自分の持っているカメラシステムで少しでもアップの良い写真を撮るために被写体が近づいてくるのを待っていると、主要被写体以外への注意がおろそかになりかえって煩雑な背景で撮ってしまったりすることがある。迷彩は敵に見つからないためのものなので、背景に溶け込んでいる写真は迷彩服の機能を十分に表現しているともいえるが、写真的なインパクトは弱くなる。主要被写体が小さくてもひとまず青空バックで撮っておき、大きく写る位置に近寄ってきたらもう一枚撮影するという手もある

小さな被写体をうまく撮影するには複数をうまく画面内に配置すると良い。もちろん、複数の装備等がその瞬間に行動していなければならないが、印象的なシーンをものにできる可能性もある

まとめ

  • 撮影モードはプログラムモードが基本。
  • 慣れてきたらシャッタースピード優先モードで、写真に動きを表現してみよう。
  • 画面構成は主と従の配置を考えよう。
  • 同じく主と背景の構成も考えよう。
  • 小さい被写体は複数組み合わせて画面構成を考えよう。

(次ページへ続く)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ