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カメラを持ち出して演習を撮ろう!

2009年01月22日 12時40分更新

文● 藤吉 隆雄

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撮影機材は何が必要か?

カメラの構え

ミリタリー・イベントといってもカメラの構えは通常と同じ。手ブレをしないようにしっかりとカメラを保持し、被写体をファインダー内に捕らえ続けられるようにゆったりと構える。複数のカメラを使う場合は、使っているカメラばかりに気をとられてもう一台のカメラを落下させたりしないように注意したい

手ブレ

せっかくの射撃シーンながら、このように手ブレが起こってしまっては全く台無し。わざと大きな手ブレが起こるように撮影したが、ここまで極端ではなくても微細な手ブレは起こりがちなので注意が必要だ

 ミリタリーイベントの撮影で準備したいのは、やはり望遠ズームだ。特に展示飛行や展示演習などの実動展示は見せるためにやっているとはいえ、安全管理のために被写体に近づけないことが多い。そのため、できるだけ長い焦点距離のレンズを選びたい。そして、撮影位置が限られていることから、単焦点レンズよりもズームレンズが便利だ。ミリタリー・イベントは基本的に日中の明るい時間帯にしか行なわれないので、少しくらいF値が暗くても焦点距離が長く、ズーム比が大きいレンズの方がよいだろう。

 ニコンやキヤノンの場合は撮像素子サイズが違うボディがラインナップされているが、望遠ズームの場合は、APS-Cサイズの撮像素子を採用した機種(キヤノンならEOS 50D、ニコンならD300等)のものが、見かけ上の焦点距離を稼げて便利だ。

 写真の撮り方のような本やサイトには、望遠レンズには三脚必須といったことが書いてあるが、ミリタリーイベントの撮影には邪魔なだけだと思う。場所が限られているたため、最前列を確保しないと三脚につけたカメラを自由に向きを変えることは難しいし、航空機を撮影しようと上に向けたりするのも一苦労であるからだ。

 今ではデジタル一眼レフを買う時に最初に一緒に買うのは標準ズームだろう(ふた昔前は単焦点レンズが主流だった)。これも忘れずに持参しよう。レンズキットを買った人は最初についている標準ズームでオッケー。デジタル一眼レフが一台しかないならば望遠ズームを装着しておき、必要があれば標準ズームに交換するのが良いだろう。カメラボディを2台準備できるならば、1台に望遠ズーム、別の1台に標準ズームを装着しておきたい。特に展示演習の場合はシナリオ進行上、さまざまな機体や車両が同時進行で登場することがあるので、近い位置と遠い位置、全景とアップなど、同時に撮りたいシーンが出てくることがある、2台のデジタル一眼レフに違うレンズをつけておけばレンズ交換の手間がなくなるため、さまざまなシーンを逃さず撮影することができる。また、装備品展示を撮影するには望遠ズームは焦点距離が長すぎて画角が狭すぎるため、標準ズームが必需品になる。

 また、見学者が多く詰め掛けるイベントの場合は、装備品に人が写りこまないように撮影するのが難しいことがある。もし持っているならば広角ズームがあると便利なこともあるので、忘れずに持参しよう。

APS-C機+400ミリくらいが欲しくなる典型例

航空自衛隊のC-130H輸送機を400ミリ域で撮影。正面を入れたフレーミングで撮影しようと思うと、大きな輸送機でもAPS-C機+400ミリくらいが欲しくなる典型例

APS-C機+400ミリくらいが欲しくなる典型例その2

同じく航空自衛隊のC-1輸送機。ちょっと機体が小さくなるだけで、同じ焦点距離(APS-C機+400ミリ)でも空挺降下のシーン写真になってしまう。もちろん手ブレ補正モードはオンにしておきたい

望遠レンズであっても手持ちで

現場ではたくさんの人が同じ方向にカメラを向けることになる。こうなると前の人の頭越しにレンズを突き出したりして撮影することになるので、三脚を使うことはほとんど不可能。望遠レンズであっても手持ちで使う練習をした方がよいだろう

筆者のミリタリー・イベント撮影の基本スタイル

2台のカメラボディを持てばレンズ交換の手間がはぶける。筆者のミリタリー・イベント撮影の基本スタイルとしては、右肩に望遠ズーム(EF 100~400ミリ)付のEOS 40D(APS-Cサイズ=一般的なデジタル一眼レフ)、首から標準ズーム(EF24~70ミリ)付のEOS5D(135サイズ=いわゆるフルサイズ機)をかける。EOS 40DはAPS-C機なので見かけの焦点距離が1.6倍分稼げて大きく写せるので、望遠ズームはこちらにつけている。二つのカメラボディがぶつかったりすると素早いカメラの持ち替えを妨げるので、ストラップの長さを使いやすいように調整している

ズームレンズが有効な典型的なシーン。APS-C機の135ミリ域でヘリコプターの機体全体を撮った1.5秒後に、射撃時のクローズアップを260ミリ域で撮影。単焦点レンズを付け替えていては、このようなアップと引きの切り替えには対処不能だ

標準ズームで撮影しやすい距離感

装備品展示での74式戦車。標準ズームで撮影しやすい距離感で展示されていることがほとんどである。典型的な写真だがミリタリーイベントではやはり押さえておきたい

標準ズームで…

最近良く見る陸上自衛隊の着ぐるみだが、こういうシーンを撮影するのは望遠ズームでは無理。着ぐるみ君は子供たちと触れ合うのが主任務?なので、やはり標準ズームでサクサクと撮影して元の任務に戻してあげたい

標準ズーム広角端の24ミリ域で撮影

装備品展示で航空自衛隊のパトリオットを標準ズームで撮影。見ている人が画面内に入らないように撮影するとこんな感じ。広角端の24ミリ域で撮影してもアンテナの先端が切れてしまっている

広角レンズ(EF16~35ミリ)に交換して16ミリ域

同じ位置で広角レンズ(EF16~35ミリ)に交換して16ミリ域で撮影すると、ちゃんとアンテナ先端まで画面内に入れることができた

まとめ

  • カメラ本体は見かけの焦点距離の稼げるAPS-C機が便利だ。
  • レンズは単焦点よりもズームがオススメ。
  • ミリタリーイベントは日中開催がほとんどなので、F値が多少暗くとも焦点距離の長いレンズがオススメ。
  • 三脚は無くともたいてい大丈夫。
  • カメラ本体は2台あるとレンズ交換の手間と時間を無くすことができ、シャッターチャンスを増やすことができる。
  • 広角レンズがあると、大きめの被写体でも全景を写し込めることが多くて便利。

(次ページへ続く)

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