IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー
会社の原点を消費者に語ろうとする小岩井乳業
2009年01月06日 16時30分更新
これからは小岩井の原点を消費者に語っていきたい
パッケージデザインの統一化や業務遂行上での組織と体制作りに駆け回ってきた澤倉社長が託されている使命は何だろう。
澤倉 もう一回、小岩井ブランドを再構築するということですね。実は乳業界全体は収益性がもともと高い業界ではありません。キリングループの中で小岩井が小岩井であるためには、利益を生めるようにすること。あとは全国に広がっていた企業活動に対する選択と集中ですね。
ということは、ある程度の方向性はつかめたのか。質問すると、話せないこともあると前置きした上で次のように説明してくれた。
澤倉 全体的な方向性は見えていますが肝心な核がまだ示せていない、というもやもや感が私自身にはあるんです。やっぱり、小岩井ブランドを(製品という)実像として示せていないし、示していない。私はね、(小岩井)ブランドが商品よりも勝っていると思っているんですよ。
たとえば、冒頭の純良バターは小岩井のギフトの象徴だったが、肝心のギフト市場自体のボリュームが激減している。
澤倉 じゃあ、小岩井を体現する代表商品は純良バター以外に何かあるんだと。この商品だけに、これから先も(小岩井ブランドを)背負わせていくのはあまりにも重いんですね。小岩井“乳業”としての商品の扱い方、物作りの考え方の根底は小岩井農場にあるんです。
そういうところから(2008年の4月にリニューアル発売した)「生乳100%ヨーグルト」も生まれてきているわけですから、これから先を見た小岩井というのをもっと提供しなくてはいけない、と思っているんです。
先代が創業したときの、農場に対する情熱とそれを支えてきた小岩井ブランドの理念、誇り、価値観といったものを商品と一緒になってもっと伝えたい。
澤倉 我々の製品が消費者にハッキリとしたイメージを持ってもらえていないのは、我々自身が原点を語っていないところに起因するのではないかと思っています。小岩井のブランドを背負っている商品は、商品の物性や機能性だけを語ってはいけない。パッケージもそうですが、商品の背景にあるものもブランドは語っていかなくてはならないんです。
現在、民間の総合農場としては日本一の規模を誇る小岩井農場。不況の昨今、企業が負担する森林施設や畜産物の維持管理費は莫大だが、自給率が乏しい日本にとって、このような企業こそ応援していきたい気持ちになった。
澤倉 光仁郎(さわくら こうじろう/Koujirou Sawakura)氏のプロフィール
1957年生まれ、千葉県出身。慶応大学経済学部卒業。キリンビール株式会社で営業、企画など要職を歴任ののち、2007年小岩井乳業代表取締役に就任。
桜子(Sakurako/Cherry)のプロフィール
Interviewer&blogger 広告代理店・IT系企業を経て通信会社に勤務。5年前に「桜子の部屋・お友達の輪」というビジネスリーダーズインタビューを単独で開始。2007年シリコンバレーで活躍する日本人を取材に行く。日本人・外国人を含めた約50名ほどのインタビューを過去に実施。(http://sakurako.cc/)
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