AV関連製品で個人的に関心を持っていることがある。それは、今年の夏ごろから、iPodと接続可能な製品が、また一段と増えてきたことだ。
そう書くと「何をいまさら」と思う人も多いだろう。しかし、明らかな違いがある。それはUSB端子を搭載し、iPodとデジタル接続できる点だ。これはかなり大きな出来事だと個人的に感じている。
デジタル接続で、高音質と利便性が両立
ポータブルプレーヤーとして見れば、iPodは決して音が悪いデバイスではない。例えば、巷にはiPod本体を上回る高額なヘッドホンと組み合わせて、ミニマムで高音質なリスニング環境を構築している人がいる。これはこれでなかなかの音がする。とはいえ、それはあくまでも「パーソナルに完結したオーディオ」に過ぎない。
過去何回か、自宅のオーディオシステムにiPodを組み込もうと考えたことがあった。しかし、ドックなどを介して接続すると、他の機器(SACDプレーヤーなど)と明らかな品質の差を感じた。iPodからのアナログ出力では、どうしても音質の劣化が生じてしまうのだ。
しかし、デジタル出力できれば、この問題が解消される。iPodのストレージには、CDに収録された音楽データがそっくりそのまま保存できるので、「音の情報量」という点では、CDに劣らない。問題はこれをロスなく取り出せるかどうかだ。デジタル信号のまま高品位なDACに出力できれば、理屈としては、単品のCDプレーヤーに劣らない音質を、iPodでも手に入れられることになる。
また、iPodにはデジタルオーディオならではの利点がある。大容量のストレージを内蔵するため、棚にびっしりと並んだCDをポケットサイズに収められるし、ディスクを入れ替えずにアルバムをまたいだプレイリストも作成できる。演奏中の曲やアーチスト名の確認も簡単だ。
iPodのデジタル接続を利用すれば、音質と利便性という相反する要求を比較的安価な投資で実現できる。そこに大きな魅力があると思う。