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「世の中を変えるため」に始まった途方もない撮影ラリー

Google Carは世界を走る

2008年09月24日 12時00分更新

文● 林 信行 画像協力●Andres Moreno/byrion/Fred McDonald/Peter Alau, San Francisco/renalid/Rothko1/GIZMODE

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月刊ビジネスアスキー 2008年11月号掲載記事

大量に並んだグーグルカー

Googleの駐車場にズラリと並んだシボレー・コバルト。まだカメラが装着される前の状態だ

 またしてもグーグルがやってくれた。住所を入力すると、そこにある建物の外観や周囲の景色など、ほぼ全方位を見渡せる。さらに道に沿って移動して道順も確認できる――こんな夢のようなサービス「グーグルマップ ストリートビュー」を日本でも開始したのだ。

ストリートビュー

Googleマップをクリックすると、あたかも道を進んでいるかのようなビューアーが表示される。開いたウィンドウ内では、マウスを使って上下左右を見渡せる

 グーグルマップは地図や航空写真を好きな方向に自在にスクロールできる地図サービスとして人気だが、従来の空からの目線に、地上目線も加わった。待ち合わせの場所を細かく指定したり、ちょっとしたロケハンなどに利用することも可能だ。

 ストリートビューは、最初に始まった米国の約60都市のほか、フランス、イタリア、オーストラリアの計40都市で展開されている。国内では9月現在、東京、大阪、京都、札幌など12都市をサポートしている。

足で稼いで画像地図を作る

撮影車両

車のボディサイドに「Google」のステッカーが貼られた撮影車両

 ストリートビューの作り方は、まったくもって「正攻法」だ。実はグーグルは、周囲360度と上下方向を同時撮影できる全方位型カメラを搭載した車両を大量に用意し、対象の都市の公道をくまなく運転して撮影し続けたのだという。途方もない量の物理的な作業と、すさまじい量のデータをハンドリングしなければならない。都市の規模にもよるが、1都市分の撮影からデータ製作までに1~2カ月かかるという。たいていの企業なら企画の段階であきらめるか、やったとしても自国のみでの展開しか考えつかないだろう。

カメラ

ポールの先端には、同時に上下左右360 度を撮影できるカメラが装着される

 しかしグーグルは、そういった他社が手を出さない領域にこそ大きなチャンスを見いだす。グーグルの執行役員製品企画の辻野晃一郎 本部長は「グーグルは、ある意味荒唐無稽に見えることでも『それが世の中をよく変えていく』という信念を持ってやり通してしまうところがあります。時にはなかなか受け入れられないことがありますが、それに対しては細心の誠意をもって対処していくのがわれわれの姿勢です」と語る。

 こうしてできたストリートビューのサービスは、グーグル・アースや地域広告サービス、携帯電話向けOSの「Android」といった自社製品はもちろん、API公開によってさまざまな他社サービスとも連携する。たとえば、米国の不動産サービス会社のTruliaは、物件情報にストリートビューの情報を加えて提供している。

 最先端の技術を、ほかの新しいサービスを作り出す源泉に育て上げ、着実に根を張り、「グーグルなしでは考えられない」状態を作り上げる――これこそが同社の底力なのだろう。

プリウスとアストラ

北米や日本ではトヨタのプリウスも撮影車両として採用されている。ヨーロッパでは、オペル・アストラがメイン

自転車版も

自動車が入れない道もしっかりサポート。 何と狭い道路を撮影するための自転車も用意

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