すさまじく優秀なエンコード能力
前ページで行ったテストでは、SpursEngineの性能を発揮する場面はなかった。それでも十分優秀な結果を出しているといえるが、“高性能なノートPC”という枠からはみ出るほどではない。では、Qosmio G50の魅力となっている、エンコード能力はどうだろうか?
SpursEngineは4コアのプロセッサーに加え、MPEG-2とH.264のエンコーダー/デコーダーチップを搭載する。また、標準搭載のAV統合ソフト「Qosmio AV Center」で地デジ番組を録画する際は、MPEG-2とH.264の動画形式が選べるようになっている。つまり、Qosmio G50で録画したり、録画した番組をDVDに書き込む際は、ほぼ必ずSpursEngineが稼働するのだ。それを踏まえて、実効的な比較テストを行った。
まずはTSモード(MPEG-2、ビットレート約17Mbps)で録画した1GB分のデータ(約10分)をDVD-Video形式に変換する時間を測定した。Qosmio G50側は、DVD-Video用に設定されたXP画質(約10Mbps)とSP画質(5~6Mbps)、LP画質(3~4Mbps)の3種類の画質モードでエンコードし、DVD-RAMへの書き込みが終了するまでの時間を計っている。
比較対象はクアッドコアのPhenom X4 9550を搭載した自作のWindows Vista Ultimate SP1マシン。2GBのDDR2-800メモリーを搭載しており、マルチコア処理に対応するライティングソフト「ConvertXtoDVD 3」を使って、Qosmio G50側と同等のMPEG-2データを用意して形式変換からライティング終了までの時間を計測している。結果は以下のとおり。
次に、同じ環境を使って、H.264で最高画質のXPモード=H.264/約10Mbpsで録った約10分の動画を変換し、DVDに書き込む時間を測定した。結果は以下のとおり。
2つのグラフが示すように、Qosmio G50のエンコード処理(およびライティング)はクアッドコアCPU搭載マシンと比較しても圧倒的に速かった。特にH.264形式からDVD-Videoに変換する処理では、ライティングソフトの得手不得手にも依存するところだが、その差が4~5倍にも広がっている。
これだけ圧倒的なパフォーマンスを示しながら、Qosmio G50はエンコード中もCPUの使用率が70%を超えることはなかった。たとえば、メールチェックしたり、他の番組を視聴するといった作業が無理なくできる余裕を残しているのだ。
従来の環境からQosmio G50に乗り換えれば、動画のエンコード処理に関する「とにかく重たい」「DVDができあがるまで、やることがなくなる」といった印象が圧倒的に薄くなるだろう。