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ニコニコ大会議2008に行ってきた(特別編)

ニコ動の「ニコニ・コモンズ」とは何か?

2008年07月07日 19時30分更新

文● 広田稔/トレンド編集部

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ニコニ・コモンズは「コンテンツのためのSNS」


フレンド申請して

「今まで、ネット上でものを作るときには、人と人がコミュニケーションして何かしら契約の形にしてきた。SNSもフレンド申請して、『いいですよ』と契約する人と人とのつながりだった」(浜野氏)

クリエイティブ・コモンズ

「クリエイティブ・コモンズの場合も基本的にはそういう仕組みで、著作者が『使っていいよ』と宣言して、あとから使った人が著作者のクレジットを『この人の作品を使いました』と出す」(濱野氏)

 現在の利用ルールでは、素材を使う前に人同士の交渉から入るため、コミュニケーションのきっかけを作るところが障壁になることがあった。濱野氏は、「人と人との関係だから、マイミク申請じゃないですけど、ちょっとドキドキするとか、恥ずかしいというところがあったと思うんです」と言う。

 一方、ニコニ・コモンズによる素材の共有では、どちらかといえば人よりもコンテンツが主役になる。濱野氏は、「人と人との関係というのは変わらないんだけど、サイトを見ていると、あくまでつながっているのはパーツ。コンテンツとコンテンツの関係」と評する。

「初音ミクとか、ドナルドとか、皆さんが知っているパーツたちが関係を結んでいる。比喩的に言えば、このパーツがコンテンツの『中の人』なわけであって、(クリエーターが)それらに出演してもらえませんかと依頼するのがニコニ・コモンズなのだろう」(濱野氏)

 素材の著作権者ではなく、素材自体に出演を頼む。そして作品を完成させてアップロードするときにIDを自己申告して、今度は作品とオリジナル素材との関係を結ぶ。こうして張り巡らされた素材と作品の関係は、まるでmixiの「マイミク」(友人登録した人々)のようだ。その状態を指して、濱野氏は「キャラや絵やBGMなど、コンテンツのためのSNS」と言う。

 さらに濱野氏は、ニコニ・コモンズのメリットを観客に分かりやすくこう説明する。

濱野 何がいいのかといえば、結局、ニコニコ動画で今起きていることというのは、コンテンツの枠みたいなものを超えて、「初音ミクが今こんなにたくさん出演しているんだ」とか「こんなに引っ張りだこになっているんだ」ということがみんなで話せるわけじゃないですか。そういう関係が見えるようになるのが、ニコニ・コモンズなんだろう。

やる夫再来

「ひっぱりだこになってるのが見えるんだお!」と、やる夫が再び登場

 「言ってみれば、バーチャル芸能事務所のようなものになるのかもしれない、というのが僕の希望を込めたコメントです」(濱野氏)。なお濱野氏の個人ブログでは、「ちょww」Tシャツの制作意図などに触れられている。こちらも合わせて読むといいだろう。



不正投稿にはどう対応する?


 ニコニ・コモンズにはさまざまな可能性があるとはいえ、ニコニコ動画でMAD人気が続くからには、著作権を持っていない第三者が、アニメやゲームの一部を素材としてニコニ・コモンズに不正投稿する可能性もある。また素材を使った側がコモンズIDを「自己申告」しなかったらどうなるのか、その辺りの対策はあまり詳しく解説されていない。

 基本的には、ネットのクリエーターを「空気を読める大人」だと信頼し、運営していくことになるのだろうか。8月中旬のオープン後、ニコニ・コモンズがどれくらいクリエイターや企業を巻き込んでいけるのか、その行き先に注目だ。


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