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“リスペクト”を見える形に――進化する「ニコニ・コモンズ」

2012年02月22日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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 ニコニコ動画に親しんでいる読者であれば、「ニコニ・コモンズ」という仕組みについてどこかで目にしたことがあるはず。ニコニコ動画で、映像/音源/静止画などの“素材”を組み合わせて動画作品が生まれているのは周知の通り。ニコニ・コモンズはそれらの素材の再利用のために整備されたものだ。

 2008年に大々的に発表されたこの仕組みについては、ASCII.jpでも詳しく取り上げたことがあった(関連記事)が、ニコニコユーザー全員に広く知られているとは言えない。さらに、先日導入された、作品の人気や素材の再利用などに応じてニコニコ動画から「奨励金」を支払うという「クリエイター奨励プログラム」に対しては「ニコニコ動画の文化を壊してしまうのでは」「他人の著作物を自分のように見せかけて登録した場合の対応は?」など、Web上で様々な疑問も投げかけられている。

ニコニ・コモンズ。昨年末から今年にリニューアルし、「コンテンツツリー」「クリエイター奨励プログラム」という大幅な変更点が加わった

 昨年末に改定された新しい「ニコニ・コモンズ」および「クリエイター奨励プログラム」について、ドワンゴの“中の人”、伴 龍一郎氏に詳しく話を聞いた。

早すぎた「ニコニ・コモンズ」

―― ニコニ・コモンズは2008年の登場から約3年ぶりの大きな改定ですがどういう狙いがあったんでしょうか?

 「奨励金」を含む今回の機能追加は実はもともとやりたかったことではあるんですね。ただ、2008年時点ではまだ「ニコニコ動画的な文化の醸成」という意味でも早すぎると判断しました。いきなりそこまでやるのではなく、ひとまず「素材をアップロードできるライブラリー」と、「投稿者と利用者を結ぶ簡易的なメッセージング機能」の提供から始めました。まずは「コモンズツリー」を用意して、「これ、みんなで使ってね」という素材にだけコモンズツリーが作れるようにしたんです――が、利用者はそれほど多くなくて(笑)。

 やっぱりニコニコ動画の文化って二次創作とかマッシュアップって呼ばれる、「創作の連鎖」が重要になっているんですよね。そういうときに、権利とか著作権の話を極端に明確にしようとすると、作り手の中には気後れしてしまう方もいるため、創作を阻害してしまう可能性があるんですよ。そこのバランスが難しい。今回の改定はそこに一歩踏み込んで、「みんなで考えてみようよ」という思いが込められています。

 ちょっと後付けっぽいですが、ニコニコ動画に紐付いた「原点回帰」でもありますね。

ドワンゴ 伴 龍一郎氏。ニコニコ静画(電子書籍)を手がけ、最近ではニコニコ超会議にも関わっているという多忙ぶり


―― 具体的にはどういった形で変更されているんでしょう?

 今回「コモンズツリー」を「コンテンツツリー」という名前に変更しています。いままでは「みんな使って良いよ」という素材について、その「素材の二次利用の系譜」を辿るためのものだったんですが、それをもうちょっと拡大して「リスペクト」を軸にしています。つまり「権利の継承」といった小難しい話ではなくて、「僕はこの人の作品にものすごく影響されて今があるんだ!」という思いすらも、「コンテンツツリー」は体現しています。

 利用者の側からはそのツリーを見れば、これまでどおり素材がどうマッシュアップされて(組み合わされて)いるかも分かるし、さらにその作り手のマインド、つまりどういう影響を受けてこの作品を作ったかということまで分かるようになっていったわけです。


―― なるほど。ニコニ・コモンズといっても、“素材”だけのやりとりだけではなくなっているわけですね。

 クリエイターの「思い」を表明できるようにしたんですね。コモンズツリーでは純粋にコモンズ素材しか含めることができませんでしたが、コンテンツツリーでは動画や静画も入れられるようにしました。

コンテンツツリー。初音ミク「メルト」を“親”として、190本の“子”動画が生まれているのがパッと分かる

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