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徹底解明! 世界に誇る潜水調査船【前編】

俺たちは見た!! 世界一の「しんかい6500」を赤裸々に

2008年06月26日 14時52分更新

文● 丸子 かおり

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まず潜水のしくみを教えてもらう

 しんかい2000が置かれている潜水船整備場で櫻井さんから潜水船にはほぼ共通の潜水の仕組みを教えていただいた。潜水艇は浮力を持っていて浮くように作られているため、潜水と浮上には、鉄のペレット状のウエイトと、海水を入れた海水タンクを組み合わせて使うのだそうだ。

赤褐色の粒がバラスト(鉄)。これを搭載して、しんかい2000は潜航していく(しんかい6500は板状のバラストを搭載している)

赤褐色の粒がバラスト(鉄)。これを搭載して、しんかい2000は潜航していく(しんかい6500は板状のバラストを搭載している)

 着水したときウエイトはフル搭載の状態であるがすぐには沈まない。バラストタンクに空気が一杯だからだ。バラストタンクに海水を注入し潜航開始となるのだそうだ。あとはウエイトの重さを利用して重力で海底まで沈んでいく、海底手前でウエイトの半分を投棄して海底調査を開始。帰りは残りのウエイトを投棄すれば潜水艇自体の浮力で上昇開始する仕組みだ。つまり、海底への行き帰りには動力を使わないのだ。この方法でしんかい2000は1分間で25m潜水し、しんかい6500は45m潜水する。海底調査中にしんかいを軽くしたり重くしたりしたいときは、海水タンクの水の出し入れを行なうそうだ。例えば、10kgの岩石を採取したら10kg分の水を排水する。そのため、しんかい6500の浮量はいつも同じコンディションでいられるわけだ。

しんかい6500の潜水と浮上のしくみ。ウエイトとバラストタンク内の水を使い分けている(提供:JAMSTEC)

しんかい6500の潜水と浮上のしくみ。ウエイトとバラストタンク内の水を使い分けている(提供:JAMSTEC)

 すでにしんかい2000を前にしてドキドキしている筆者。しかも、しんかい6500は2000からさらに改良が加えられている。まずロボットアームが2000は1基であるのに対し、6500は2基。またボディの形状も、2000がドラム缶を思わせる円形の断面だけど、6500は下降上昇スピードを高めるために楕円になっているとか。なるほど~。

 また、潜水艇に大切な浮力材には、海水よりも小さい比重でありながら、高い水圧に耐えられる強度を持つ素材として、中が空洞の極小ガラス球をエポキシ樹脂で固めたシンタクティックフォームを使用しているそうだ。しんかいシリーズは、先端技術の粋と工夫が集められ作られている。

潜水を開始したしんかい6500。バラストタンクから空気が抜けているのに注目。これは海水の注入により空気が押し出されているため(提供:JAMSTEC)

潜水を開始したしんかい6500。バラストタンクから空気が抜けているのに注目。これは海水の注入により空気が押し出されているため(提供:JAMSTEC)

 潜水についての説明が終わったところで、しんかい6500を搭載している支援母船「よこすか」へいよいよ乗り込むことに。いやー、胸がドキドキ。

次ページ「よこすかの操舵室で驚愕する」

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