ラバウルで作られた改造零戦……国立科学博物館
国立科学博物館は上野駅から歩いて数分の上野公園にある展示施設だ。いわゆる科学や技術に関する総合博物館で、零戦はあくまでも日本の工業製品の一つとして展示してある。今回、取材した零戦など工業技術分野のほかにも自然科学分野を中心に様々な展示が充実しており、全館を丁寧に回ると1日ですべての展示を見るのは難しいだろう。
さて、ここで展示されている零戦は、戦時中にラバウル基地で使用されていた機体だ。第二次世界大戦末期の昭和19年(1944年)、ラバウル基地は連合軍の反攻作戦によって敵勢力圏内に孤立し、日本本土から充分な補給を受けることも出来ず、食料から武器まで現地で調達せざるを得なかった。そのような状況の中で現地所在の損傷零戦複数の機体より作り上げられたものだ。そして本来なら零式艦上戦闘機二一型は単座(一人乗り)であるが、偵察や近在の基地との連絡用に二人乗りの複座型として製作された。なお、本機はラバウルで改造された後、トラック島への連絡飛行に使用されていたが、その後撃墜された。昭和50年(1975年)に海中より遺骨と共に引き上げられ、その後国立科学博物館に寄贈された経緯を持つ。
なお、展示スペースには、機体の詳細を知ることができるインフォメーションサービスの端末が設置されている。これを使うと機体全体、およびコクピット周辺について、詳細な名称や機能を知ることができる。
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