ノイズキャンセル機能を装備したイヤホンやヘッドホンが各社から続々発表されるようになってきた。周期的に発生する周囲の音から逆位相を作り出して外音を打ち消すノイズキャンセル機能は、密閉式のヘッドホンやカナル(耳栓)タイプのイヤホンだけでは、外の雑音がどうしても気になる人にとってかなり使いでのある製品だ。特にここ最近はノイズキャンセルヘッドホンに低価格な製品が登場し、1万円を切るものも増えてきた。サンワラプライ(株)の「MM-HPNR2」は、実売価格5000円を切るという超お手頃なモデルだ。
ヘッドホン自体は耳全体を覆う密閉型で、耳当て部に加えて頭部に当たるアーム部分にもクッション材が備えられており、装着感は低価格モデルとしてはかなり良好だ。耳当て部分のヒンジが90度内側に回るほか、横方向にも回るようになっているため、耳当て同士を密着するように畳んで携帯しやすい形状にできる。
電源は単4形電池×1本で、右耳側のカバー内に装着する。製品には飛行機で利用できる2ピンのプラグアダプターも付属するが、本体側のケーブル端子は直付けで抜けないため、単にノイズキャンセル機能だけを使いたい人にとってはケーブルがやや邪魔になるのが残念なところだ。
右耳側のスイッチを入れるとノイズキャンセルがONとなるのだが、雑音除去の性能はかなり高く、空調の音やパソコンのファン、窓の外の自動車走行音などはほとんど気にならなくなる。走行中の車の中や、道路のすぐそばという屋外でも試してみたが、エンジン排気音はやや残るものの、タイヤとアスファルトから発生するロードノイズはかなり抑えられる。
また、ノイズキャンセルヘッドホンを屋外で使用すると、雑音を拾うためのマイクが風切り音を発して必要以上に風の音が大きく聞こえることがあるが、本機ではマイク開口部がない(ヘッドホン内部にマイクを搭載している)ために、風切り音は非常に少ない。静かなところで試したところ、ややホワイトノイズが聞こえるものの、カナル式イヤホンで聞こえるようなノイズに比べるとかなり控え目だ。
音楽再生に関しては特に気になるクセはなく、かなりの大音量で聴いていても音自体に破たんないものの、重低音部には物足りなさを感じるところもある。ただし、ノイズキャンセルをONにすると音量が一段大きくなるほか、音質も変わって高音域と低音域がやや強調され、イコライザーを通したような印象になった。
パソコン利用時の音楽再生や出先での携帯プレイヤーでの視聴など、ヘッドホンが活躍する機会は増えている。それに合わせて密閉型や開放型、耳かけ型などなど、目的や好みに応じてさまざまな製品が選べるようになった。高音質にこだわると天井知らずのヘッドホンだが、音質は自分がよく聴く音楽ソースに応じて特性を調べたり、じっくり聴かないとなかなか違いが分からないのに対して、ノイズキャンセル機能はちょっと試すだけで明らかに効果がある。低価格ながら強力なノイズキャンセル機能を持つ本機はかなりコストパフォーマンスが高く、普段の音楽視聴から飛行機やバスなどの中で寝るときなど、気軽に買って試せる1台と言えるだろう。
MM-HPNR2の主なスペック | |
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製品名 | MM-HPNR2 |
形式 | ダイナミック型(ステレオ) |
スピーカー | 口径30mm |
周波数特性 | 20Hz~20kHz |
インピーダンス | 32±15%Ω |
感度レベル | 103dB±3dB(ノイズキャンセルON)、100dB±3dB(OFF) |
雑音制圧度 | -15dB(最大) |
電源 | 単4形電池×1 |
電池持続時間 | 連続約40時間(アルカリ乾電池使用時) |
プラグ | 3.5mmステレオミニ(L型金メッキ) |
ケーブル | 約1.5m |
重量 | 約220g |
付属品 | 航空機用アダプタ、取扱説明書 |
