こんなUMPCがあってもいい
丸1日使えるほどのバッテリー駆動時間でもなく、ポケットに入れるには大きいボディーなど、一見するとUMPCとしては中途半端な印象を受けるかもしれない。
。しかし、UMPCに限らずノートPCの価値は、「やや大きめでもバッテリー駆動時間とマシンパワーがある」か、「とにかく小さい」の二択というわけではない。このクラスでも十分に実用価値はあるだろう。
普段持ち歩くには、VAIO Type U程度の小ささはある意味理想的だが、液晶画面の小ささや狭いキーピッチにはなかなか慣れにくいもの。本機よりも大きくすると、文字入力はスムーズでも気軽な持ち歩きにはつらいものがあり、ボディーサイズ的にはUMPCの妥当な線と言えそうだ。ウェブブラウジング中心で持ち歩くなら、親指でキー入力できる分割されたキーレイアウトも、まずまずのアイデアだ。
オプションのGPSユニットを使うなど車載用途であれば、バッテリーの持ちも気にならないはず。日本ではカーナビがものすごく進歩しているおかげで、あまり車載PCという考え方は少ないものの、タッチパネルや、普段はキーボードをしまっておける構造が、ダッシュボードで使うのには向いてそうだ。
また、TVチューナーユニットが用意されるように、普段はデスクサイドなどで各種情報を流しておき、ベッドやトイレにそのまま持ち込めるネットマシンとして使うにも十分だろう。
完成度には不満もあるが……
とはいえ、全体的に見るとやはり完成度という点ではいくつか不満が残る。キーボードのスライドは固くてスムーズに動かず、液晶表面コーティングの滑りが悪く付属のスタイラスではタップするにはいいが、ドラッグ操作にやや向かない(ワコム製タブレットPCに付属の、ペン先が樹脂のスタイラスを用いるとかなり改善した)。
また、マニュアルやユーティリテーィツールの日本語が微妙だったり、最初に触ったときに日本語IMEが効かないので確認してみると、工場出荷時のBIOS設定が英語キーボードになっていたりと、最近のPCとは思えないほど不親切なところがある。ある程度“分かっている”ユーザーでないと厳しい面が出てきそうだ。
もちろん約8万円という価格を考えれば、ある程度の不満はやむを得ないところ。スモールコンピュータやPDAなどに慣れたユーザーがちょっとしたサブマシンとして導入してみるのであれば、価格分はそれなりに楽しめるはずだ。
