新機種リポート:MacBook/MacBook Pro (Early 2008) Vol.1
Penrynの実力は!? 新MacBookシリーズのベンチマークを一挙公開!!
2008年03月23日 22時48分更新

そのフォルムに変更はないものの、CPUに45nm製造プロセスの「Intel Core 2 Duo(Penryn)」を採用してブラッシュアップされたMacBook/Mac Book Proシリーズ。Apple Remoteこそ別売りになったが、それぞれCPUのクロックアップやハードディスクドライブの増量を果たし、モデルによっては価格が下がって求めやすくなっている(参考記事)。
最新のMacBook Pro 2.6GHzに搭載されている「Penryn」(左)と、旧MacBook Pro 2.4GHzの「Merom」(右)。45nmプロセスの「Penryn」も65nmプロセスの「Merom」もカタログ上はどちらも「Intel Core 2 Duo」。2次キャッシュの容量が3の倍数(3/6MB)なら「Penryn」──というように区別できる
BTOオプションで選べるクロック周波数2.6GHzのMacBook Proを含め、編集部ではその全モデルを入手したので、早速ベンチマークをご覧に入れよう。なお、比較のために過去に計測した旧モデル(MacBook 2.2GHz/MacBook Pro 2.4GHz)のデータもあわせて掲載している。
iTunes 7 AACエンコード
iTunes 7.6を使って、AIFF形式のファイルをAAC形式にエンコードするのにかかった時間を計測した。CPUの性能が素直に表れやすいテストなので、ほぼクロック周波数を反映した結果だ。

iTunes 7.6を使って演奏時間約40分のAIFFファイル(392.7MB)を128kbpsのAAC形式にエンコードする時間を計測した
QuickTime H.264エンコード
QuickTime Playerのプロ版を利用して、DVムービーをH.264形式へエンコードした。ここでは、CPU性能に加えてハードディスクのパフォーマンスもかかわってくる。MacBook Airが遅いのはCPU性能もさることながら、この中で唯一の1.8インチハードディスク採用モデルという事情もある。ちなみに、最速のMacBook Pro 2.6GHzには7200回転/分の2.5インチハードディスクが入っている(他モデルは5400回転/分)。おおむねスペック通りの結果だ。

QuickTime Player 7.6のPro版を使って60秒のDVムービーをH.264にエンコードして書き出すのにかかった時間を測定
Adobe Photoshop CS3 スクロール/アクション
2Dの描画と実際に即した処理性能を調べるために、「Adobe Photoshop CS3」を使って縦長画像のスクロールと、さまざまなフィルターを組み合わせたアクション処理のベンチマークテストを実施した。前者では2Dグラフィック処理、後者ではCPU処理を中心とした総合性能が現れる。スクロールテストでは独立したGPUを備えるMacBook Proがワンランク上のスコアを出して予想通りの結果だが、理解できないのは新MacBookシリーズ。新旧MacBookシリーズで変更されたのはCPU周りであり、グラフィックはともに統合チップに内蔵された「Intel GMA X3100」。新モデルの性能が旧モデルの約60%にとどまることは考えられないため、測定時に何らかのトラブルがあったのかもしれない。機会を改めて再検証したい点だ。なお、フィルターアクションの結果はクロック周波数に準じたものだ。

「Adobe Photoshop CS3」を使った2種類のベンチマークテスト。スクロールでは縦1万4400×幅640ドットの画像を開き、100%表示で上からしたまでスクロールするのにかかった時間を計測。またアクションでは、さまざまなフィルターを組み合わせた処理の実行時間を計った
Doom 3フレームレート
米idソフトウェア社製の3Dアクションゲーム「Doom 3」のベンチマーク機能を使って、3Dアニメーションのフレームレートを計測した。若干のブレはあるが、「NVIDIA GeForce 8600M GT」を搭載するMacBook Proシリーズがダントツ。3Dの描画を重んじるなら、迷わずMacBook Proシリーズを選びたい。

3Dアクションゲーム「Doom 3」が内蔵するベンチマーク機能を使ってデモモードのフレームレートを計測した
CINEBENCH R10 レンダリング
独マクソン・コンピュータ社製の3Dベンチマークソフト「CINEBENCH R10」を用いて、CPUおよびOpenGL(GPU)レンダリングのテストを実施。ベンチマークソフトだけに、CPUテストでは新モデル間ではクロック周波数通りの結果が出ている。一方、GPUテストでは独立したGPUを搭載しているか否かの違いが明確に表れ、MacBook Proシリーズの描画性能の高さを示している。

「CINEBENCH」は、独マクソン・コンピュータ社の3Dグラフィックソフト「Cinema 4D」をベースに開発されたベンチマークソフト。3D CGのレンダリングをCPUに任せた場合と、グラフィックチップのOpenGLを利用した場合の2種類に分けてスコアを表示
1GBファイル/フォルダーコピー
内蔵ドライブの性能を調べるために、容量が1GBの単体ファイル/多数のファイルを含むフォルダーを起動ディスク上で複製する時間を計測した。パラレルATA接続かつ1.8インチハードディスクのMacBook Airが遅く、7200回転/分のハードディスクを搭載するMacBook Proが速いのは仕様通り。シリアルATA接続の5200回転/分2.5インチハードディスクを搭載するほかのモデルではハードディスク容量の大きなモデルほど高速。もともと測定ごとのバラツキの大きなテストではあるためか、若干MacBook Pro 2.4GHzモデルがパフォーマンスを発揮しきれていない。

容量が1GBの単体ファイル/多数のファイルを含むフォルダーを起動ディスク上で複製する時間をそれぞれ計測
バッテリー持続時間
画面輝度を最高にした状態でDVDビデオを連続再生し、バッテリーの持続時間を調べた。画面の大きなMacBook Pro 17インチモデルには不利なテストだが、同モデルはそのぶん大容量のバッテリー(約6000mAh)を搭載しているため、15インチモデルよりもバッテリー持続時間は長い。また同じ世代のCPUであればクロック周波数の低いモデルほど好成績。とはいえ、予想ではMacBook 2.1GHzモデルがトップになるはずだったが、ほかの新型MacBookよりもややスコアが伸び悩んでいる。

画面輝度を最高にした状態でDVDビデオを連続再生して、強制スリープに入るまでの時間を計測。なお、光学式ドライブを備えていないMacBook AirはUSBバスパワー接続の純正SuperDriveを使用した
新モデルのベンチマークテストはMac OS X 10.5.2(Leopard)、搭載メモリーは2GBに統一して実施した。グラフの数値はMacBook Air 1.6GHzを100とした相対値で表し、バーが右に伸びるほどパフォーマンスが高いことを意味する。グラフの右側に記した値が実測値だ。なお、旧モデルであるMacBook 2.2GHzとMacBook Pro 2.4GHzは、Mac OS X 10.5.1/メモリー1GBで測定したものだ。
ベンチマークの結果からは、現在のところCPUが45nmプロセスの「Penryn」に移行したからといって、劇的なパフォーマンスの変化にはつながっていない。製造プロセスの微細化はクロック周波数の向上に欠かせない要素であるため、「Penryn」「Merom」といった違いよりも、現状では単にCPUが順当にクロックアップしたという印象だ。
とはいえ、「Penryn」は新しいストリーミングSIMD拡張命令である「SSE4」へ対応するとともに、消費電力を押さえたアイドルモード「Deep Power Down Technology」やシングルスレッドの実効性を高める「Dynamic Acceleration Technology」を実装。これらはソフトによる対応が必要だが、時を経てSSE4などに対応したソフトが登場してくると「Merom」と「Penryn」の差が大きな違いを生む可能性はある。
