極端な言い方をすれば、そのデザインとコンセプトに魅了されたら、あとは買うか買わないかの判断を下すだけのMacBook Air。パフォーマンスやプライスは二の次にしてスマートにゲットしたいところだが、現実的には性能と価格、そのどちらも気になってしまう。
そこで、新機種リポートの第3弾は、気にしてはダメだとわかっていてもどうしても気になってしまうMacBook Airのベンチマーク結果をお届けしよう。あくまでスマートな方は、記事を読まずに次のリンクからMacBook Airをどうぞ(→Apple Store)。
iTunes 7 AACエンコード
iTunes 7.6を使って、AIFF形式のファイルをAAC形式にエンコードするのにかかった時間を計測した。CPU性能がモノをいうテストのため、クロック周波数どおりの結果だ。
QuickTime H.264エンコード
QuickTime Playerのプロ版を利用して、DVムービーをH.264形式へエンコードした。iTunesのベンチマークと同じくCPU処理に依存するはずだが、MacBook Air間のパフォーマンスにほとんど違いが表れなかった。MacBook Airの主要チップセットはウルトラモバイル市場向けの小型パッケージ「SFF」(Small Form Factor)であり、また通常の2.5/3.5インチドライブに比べてると低いパフォーマンスの1.8インチハードディスク/SSD(パラレルATA)を採用している点が要因として考えられる。
Adobe Photoshop CS3 スクロール/アクション
2Dの描画と実際に即した処理性能を調べるために、「Adobe Photoshop CS3」を使って縦長画像のスクロールと、さまざまなフィルターを組み合わせたアクション処理のベンチマークテストを実施した。前者では2Dグラフィック処理、後者ではCPU処理を中心とした総合性能が表れる。ドライブ/CPUクロック以外は同一条件なのでMacBook Airの間ではクロック周波数の差が表れた格好だ。実作業の快適さでは、MacBookのほうが頭ひとつ抜きんでている。
Doom 3フレームレート
米idソフトウェア社製の3Dアクションゲーム「Doom 3」のベンチマーク機能を使って、3Dアニメーションのフレームレートを計測した。若干数値が乱れてしまっているが、今回比較したマシンはすべて統合型グラフィックチップ「Intel GMA X3100」を採用しており、3Dの描画性能に大きな違いはない。
CINEBENCH R10 レンダリング
独マクソン・コンピュータ社製の3Dベンチマークソフト「CINEBENCH R10」を用いて、CPUおよびOpenGL(GPU)レンダリングのテストを実施。ベンチマークソフトを利用しているため通常はスペック値どおりの結果が表れるのだが、CPU/GPUともにMacBook Airのスコアが大きく落ち込んでいる。共通のグラフィックチップを採用しているため、差が少ないはずのGPUテストについてもしかりだ。QuickTimeのテストと同じく、MacBook Air特有の問題が影響を及ぼしているようだ。
1GBファイル/フォルダーコピー
内蔵ドライブの性能を調べるために、容量が1GBの単体ファイル/多数のファイルを含むフォルダーを起動ディスク上で複製する時間を計測した。2.5インチハードディスクほどではないにせよ、SSDはモバイル向けドライブとして十分な可能性を見せており、特にフォルダーコピーでは1.8インチハードディスクを大きく上回っている。
バッテリー持続時間
画面輝度を最高にした状態でSD画質のストリーミングムービーを再生し、バッテリーの持続時間を調べた。MacBook Airはすべてのモデルで約2時間という結果で、モデル間の違いは測定誤差の範囲内。MacBook Airのバッテリー容量は約5000mAhなので、MacBookの約5600mAhと比べても1割ほどしか違いはないが、その容量差以上に大きな違いが表れてしまっている。しかも、MacBook Airのチップセットは低消費電力型なのでこの結果には不可解な点が残る。パワーマネジメントが効率的に機能していないのであれば、アップデーターで解消してほしいところだ。ちなみに、輝度を最低に下げて同様のテストを実行すると、1.8GHz/SSDモデルで約2時間50分だった(相対値では136)。
ベンチマークテストはいずれも、Mac OS X Leopard(10.5.1)、搭載メモリーは2GBに統一して実施した。グラフの数値はMacBook Air 1.6GHz(HDDモデル)を100とした相対値で表し、バーが右に伸びるほどパフォーマンスが高いことを意味する。なお、実測値はグラフの右側に記してある。
定番ベンチマークテストの結果に表れているように、MacBook Airのパフォーマンスは現行ラインアップの中ではワンランク下のグループに位置する。この点はCPUのクロック周波数やウルトラモバイル市場向けのSFFを採用していることから事前に予測していたとおりだ。とはいえ、もともとインテルMac自体、インターネットやiLife/iWorkの利用といった一般的な用途では十分すぎる実力を秘めているため、実際そのパフォーマンスに嘆くケースはほとんどないだろう。あくまで、購入の指針はその「スタイル」をどうとらえるか次第といえる。
次のページでは、実際にMacBook Airを購入するときに迷うであろう、ハードディスクとSSDのパフォーマンスを比較していく。
(次ページに続く)