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松岡美樹の“深読みインターネット” 第5回

「アウトプット」の数だけ「インプット」があるネットの不思議

2008年01月11日 17時00分更新

文● 松岡美樹 イラスト●さとうゆり

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「情報」を発信するところに「情報」が集まる


 私がブログを始めたのは2005年3月だが、実際に手を染めてみるまでは「発信することでインプットがある」てな原理を知らなかった。

 始めたばかりのころ、某IT系ブログが「情報発信すればするほど情報はそこに集まる」と書いていた。最初はまったく意味がわからなかった。だがそうこうするうち、まさにその通りだなとはっきり気づいた。

 ブログのコメント欄やトラックバック、ソーシャルブックマーク(SBM)のコメントは、自分に対するインプット装置と同じだ。記事を書くことでアウトプットすると、これらのインプット装置がさっそうと働き逆に情報をもらえる。

 例えばブログで何の気になしに自分の疑問を書くと、絵に描いたように答えが返ってきたりする。

 まったくすごいシステムである。

 プロの物書きは「原稿料をもらえないのにブログを書くなんてバカだ」と思いがちだ。ブログでアウトプットすれば、大量のフィードバックが得られることを知らないからである。



読み手の脳を活性化させるブログの書き方


 私はよくブログ記事で、末尾に「?」をつけた疑問形のタイトルを使う。読んだ人に「あなたはどう思いますか?」と問いかける意味だ。

 またエントリ中で断定的に結論を出さないことも多い。

 だから「結論がないじゃないか」とか「肝心の部分で逃げてるぞ」などと、否定的な読者の反応が返ってきたりする。だけどこれにはちゃんと理由がある。

 そのひとつは、読んだ人が自分の頭で考えるための材料を提供したい、という思いからだ。考えるためのきっかけを投げるのだ。

 ブログに限らず、何かの文章でキッチリ結論を出していると、読み手は往々にしてその「答え」に納得してしまう。自分では何も考えずに終わることが多い。

 これは70年代以降のマスコミが作ったマニュアル文化の影響だ。

  • 「彼女とデートするには青山のこの店に行きなさい」
  • 「知的生活を送るには、次の3つのことを実践しなさい」

 マニュアル系の文章では、みんなはっきり結論を出す。というより結論そのものがマニュアルであり、文章のキモだ。

 すると読者は足で歩いて店を探すなんてことはしない。自分では何も考えず、青山のその店へ行く。あるいは言われた通り、3つのことを実践する。

 こうしたマニュアル系の記事が育てたマニュアル脳は、「ハウ・ツー企画」じゃない文章に接したときにもマニュアル発想をする。

 そこに結論が書いてあれば何も考えず結論を鵜呑みにし、結論がなけれぱ「答えが書いてないじゃないか!」と不満の声を上げる。

 いやそうじゃないんだ。

 答えはあなたが自分の頭で考えるものなんだ。

 人から答えを与えてもらうばかりの人生って、あなたは有意義だと思いますか?

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