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HPの35周年記念・ポケット電卓で考える

ユーザーインターフェースの深いところ(前編)

2007年11月21日 21時37分更新

文● 遠藤諭

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 私は、パソコンの日本語入力は「親指シフト」、携帯電話では「ポケベル打ち」、電卓は「逆ポーランド記法」である。たぶん、興味のない人は「なんのこっちゃ」というような話なのだが、どれも機械に意志を伝えるのに都合のよいやり方だと思っている。

遠藤諭

遠藤諭

ポケベル打ち 携帯電話の文字入力方式で、「ツータッチ」や「ニコタッチ」などのバリエーションがある。一般的なカナ入力で「あ」は“1”、「い」は“11”、「う」は“111”、「こ」は“22222”……と入力するが、ポケベル打ちでは、「あ」は“11”(ア行の1番目)、「い」は“12”、「う」は“13”、「こ」は“25”……となる。キーを押す回数が3分の2に減るほか、1文字を必ず2回のタッチで打てるのでリズミカルな入力ができる。

親指シフト 富士通のワープロ「OASYS」シリーズで採用された日本語入力方式。改良され「ニコラ配列」ともいう。キーボードの中央手前に「親指シフトキー」を配置。かなを打つときに親指シフトキーとかなキーを同時に打つ。かなの状態で「J」キーを押すと「と」、親指シフトキーとの同時打鍵では「お」となる。よく使う文字が打ちやすいところにあるのと、ローマ字入力の概ね2分の1の打鍵タイミングで入力できる。

逆ポーランド記法(RPN:Reverse Polish Notation) 普通の電卓が「1+2+3=」とやるところを、「1E2+3+」(Eはエンターキー)とやる。数字の後に四則演算のキーを押す。“+-×÷”をやるたびに途中経過が表示されるという安心感がある。ちょっとしたカッコ付きの計算もM(メモリー)キーなしで行なえる。

 なぜ、私がこれらの入力方式を常用するようになったのか?

 それはただ、そのほうがラクチンに操作できるからだ。もっとも、「これがないと生きていけない」くらいに身体になじんでしまうと、相応の制約も出てくる。ケータイは、ポケベル打ち対応モデルでないとダメ。パソコンは親指シフト用のソフトを入れる必要あり。電卓は探してもなかなか売っていない。

 というわけで、この記事で、ポケベル打ち、親指シフト、逆ポーランド記法の3つの方法を、みなさんに押しつけようというつもりはない。

 昨今、日本の携帯電話が、世界の端末と操作性が違うために海外進出に支障をきたしているというような議論がある。そんなユーザーインターフェースに関するモヤモヤの中で、それって何だろうと考えてみるのはどうかと思ったからだ。

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