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ホットシューも装備してさらに細かく機能アップした望遠機

【レビュー】PowerShot S5 IS

2007年06月25日 11時00分更新

文● 行正和義

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マニュアル撮影も可能で拡張性も高い、キヤノン(株)の望遠ズームのデジタルカメラ『PowerShot S3 IS』(関連記事)の後継・上位モデルに当たるのが『PowerShot S5 IS』だ。S4を飛ばしてのS5となるのは、PowerShot GシリーズもG3の次がG5となったように同社のネーミングセオリーのようだ。

キヤノンの『PowerShot S5 IS』

キヤノンの『PowerShot S5 IS』

大きく伸張する光学12倍ズームレンズと大きめのグリップ、背面には可変アングル液晶ディスプレーという“PowerShot S”シリーズならではの基本構成はそのままに、S3 ISの有効600万画素から有効800万画素へと撮像素子は高画素化している。

本体前面

丸みのあるボディーにダイヤルやボタン類が飛び出しているため、指掛かりは非常にいい。レンズの上に左右に配置されているのは内蔵マイク(ステレオ)。従来(S3 IS)はボディーの開口部内側にマイクが直接セットされていたのに対し、S5 ISではマイク前面部を含めてボディーとは独立したユニットとしたことで、動画撮影時にカメラ本体が出すズーム音などの雑音に影響されにくいよう改良されている

本体上面

鏡胴部はラバー素材で巻かれ、前端のリング(オプションレンズ装着のために取り外し可能)は金属製で“ローレット”(ギザギザ加工)が施された。細かな意匠の変更ではあるが、“実用性はあるが外観はいまひとつチープ”という従来のPowerShot Sシリーズから印象を大きく変えている

最近のデジタルカメラの流行を取り入れ、光学手ぶれ補正に加えて高感度(最高ISO 1600相当)による被写体ぶれの防止や顔認識機能を搭載したほか、液晶ディスプレーは2インチから2.5インチへ一回り大型化。さらに本体上部には“ホットシュー”が新設されて外付けフラッシュが利用可能となった。

本体左側面

レンズ鏡胴部側面にMF、マクロ撮影ボタンが設けられている。フラッシュのモード切替ボタンは左上面部にあるが、フラッシュ自体は自動ポップアップせず、指でフラッシュ部を跳ね上げる方式なので不用意なフラッシュ撮影を未然に防ぐことができる

本体右側面

単3形電池×4本を収納することもあって大型のグリップを持つ。前傾したシャッターボタン+ズームレバー、右側後部にある撮影/再生レバー式の電源スイッチなど、本格撮影にも十分な操作性だ

特に外付けフラッシュは同社の“スピードライト”(220EX/430EX/580EX/580EX II)を用いればTTL調光に対応し、フラッシュ光を天井などに反射させて自然な陰影を付ける“バウンスライト”も可能になる(フラッシュが可変式のものを用いた場合)。さらに顔認識機能と組み合わせた“顔認識FE”(顔の明るさを最適になるようにフラッシュを調光)にも対応する。

フラッシュ付き

スピードライト580EXII(6万円)を装着するとかなりのトップヘビーになるが、TTL調光、バウンスライティングに加え、カメラのズームに合わせてフラッシュ発光部のズーミングも行なわれる

マニュアル露出、絞り優先、シャッター速度優先AE、各種シーンプログラムを選択できる“モードダイヤル”を持ち、上面にはリング状のズームレバーを周囲に持つシャッターボタン、背面には動画撮影用のボタンを持つのも従来機と同様だ。大柄のボディーサイズもあって、液晶パネルの大型化にもかかわらず背面のカーソル/ボタン類の配置には余裕があり、フラッシュやセルフタイマーなども独自のボタンが割り当てられている。露出補正のみカーソルキーの上となっているが、ホールド時の親指に当たるため押しやすく、ほかの機能がカーソルに割り当てられていないので押し間違えることもない。

本体背面

大型化した液晶パネルを搭載しているにもかかわらず、十分使いやすい背面。従来機と比べるとイージーダイレクトボタンが“左上”に移動するなど若干の変更はあるものの、基本的な操作は従来機をそのまま継承する

背面ディスプレーを開いたところ

液晶ディスプレー部は側面に開いて270度回転し、ローアングルやハイアングル撮影に対応できるのも従来どおり

新たに背面左端に配置された“イージーダイレクトボタン”(LEDランプ付きの“パソコン/プリンター接続時用ボタン”)にはホワイトバランスや測光方式、AE、AFロックなどの機能を割り当てるショートカット登録が可能となった。また、最近の同社デジタルカメラと同様に、手ぶれを起こしそうな露出不足になればLEDランプが点滅して露出不足を知らせるとともに、ワンプッシュで必要なだけ感度を上げる“ISO ブースター”も搭載されている。

オプションのコンバージョンレンズ群

オプションのコンバージョンレンズ群は、『レンズアダプター/フードセット』(LAH-DC20、3500円)を介して装着する(写真ではアダプターを本体に装着済み)。左奥が“テレコンバージョンレンズ”(TC-DC58B、1万5000円)、左手前が“クローズアップレンズ”(500D、8500円)。右は“ワイドコンバージョンレンズ”で手前が『WC-DC58A』(1万7000円)、右奥は『WC-DC58B』(1万8000円)。いずれも倍率は0.75倍だが、58Bのほうが大径となっている。アダプターチューブとフードは常時付けたままでもよさそうだが、チューブ/フード用のレンズキャップが用意されていないのは残念なところだ

細かな機能の変更としては、“AF連写”(フォーカスを合わせながらの連写、従来はスポーツモードとしてシーンプログラム内に搭載)が連写モードとして独立したことが挙げられる。連写速度は通常連写で1.5コマ/秒、AF連写で0.9枚/秒と、それほど高速ではないのは残念だ。また、動画撮影時にも顔認識を連続して行なって被写体の顔にフォーカスを合わせ続ける機能と、640×480ドット30fpsモードに従来の約2倍の録画時間を可能とする“LPモード”が追加された。

テレコンバージョンレンズを付けたところ

テレコンバージョンレンズを装着したところ。かなり存在感のある外観となり、焦点距離も35mmフィルムカメラ換算で648mm相当と、野鳥などの撮影にも使えるだろう。装着した状態で本体レンズを広角側にすると周囲がケラれてしまう

ワイドコンバージョンレンズを付けたところ

ワイドコンバージョンレンズWC-DC58Aを装着したところ。27mm相当となるが、大径レンズということもあってかなりかさばるのが難点

電源は単3形電池×4本構成と従来機と共通だが、アルカリ電池での撮影可能枚数は110枚から170枚に伸び、ニッケル水素充電池では550枚から450枚(いずれも液晶ディスプレー使用時)に減っていることを考えると、液晶ディスプレーの大型化などによって本体の消費電力は増えているものの、アルカリ乾電池用の電源マネージメントが改善されたようだ。

付属品一覧

パッケージには単3形アルカリ乾電池×4本と32MB SDカード、レンズキャップなどが付属する

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