マニュアル撮影も可能で拡張性も高い、キヤノン(株)の望遠ズームのデジタルカメラ『PowerShot S3 IS』(関連記事)の後継・上位モデルに当たるのが『PowerShot S5 IS』だ。S4を飛ばしてのS5となるのは、PowerShot GシリーズもG3の次がG5となったように同社のネーミングセオリーのようだ。
大きく伸張する光学12倍ズームレンズと大きめのグリップ、背面には可変アングル液晶ディスプレーという“PowerShot S”シリーズならではの基本構成はそのままに、S3 ISの有効600万画素から有効800万画素へと撮像素子は高画素化している。
最近のデジタルカメラの流行を取り入れ、光学手ぶれ補正に加えて高感度(最高ISO 1600相当)による被写体ぶれの防止や顔認識機能を搭載したほか、液晶ディスプレーは2インチから2.5インチへ一回り大型化。さらに本体上部には“ホットシュー”が新設されて外付けフラッシュが利用可能となった。
特に外付けフラッシュは同社の“スピードライト”(220EX/430EX/580EX/580EX II)を用いればTTL調光に対応し、フラッシュ光を天井などに反射させて自然な陰影を付ける“バウンスライト”も可能になる(フラッシュが可変式のものを用いた場合)。さらに顔認識機能と組み合わせた“顔認識FE”(顔の明るさを最適になるようにフラッシュを調光)にも対応する。
マニュアル露出、絞り優先、シャッター速度優先AE、各種シーンプログラムを選択できる“モードダイヤル”を持ち、上面にはリング状のズームレバーを周囲に持つシャッターボタン、背面には動画撮影用のボタンを持つのも従来機と同様だ。大柄のボディーサイズもあって、液晶パネルの大型化にもかかわらず背面のカーソル/ボタン類の配置には余裕があり、フラッシュやセルフタイマーなども独自のボタンが割り当てられている。露出補正のみカーソルキーの上となっているが、ホールド時の親指に当たるため押しやすく、ほかの機能がカーソルに割り当てられていないので押し間違えることもない。
新たに背面左端に配置された“イージーダイレクトボタン”(LEDランプ付きの“パソコン/プリンター接続時用ボタン”)にはホワイトバランスや測光方式、AE、AFロックなどの機能を割り当てるショートカット登録が可能となった。また、最近の同社デジタルカメラと同様に、手ぶれを起こしそうな露出不足になればLEDランプが点滅して露出不足を知らせるとともに、ワンプッシュで必要なだけ感度を上げる“ISO ブースター”も搭載されている。
細かな機能の変更としては、“AF連写”(フォーカスを合わせながらの連写、従来はスポーツモードとしてシーンプログラム内に搭載)が連写モードとして独立したことが挙げられる。連写速度は通常連写で1.5コマ/秒、AF連写で0.9枚/秒と、それほど高速ではないのは残念だ。また、動画撮影時にも顔認識を連続して行なって被写体の顔にフォーカスを合わせ続ける機能と、640×480ドット30fpsモードに従来の約2倍の録画時間を可能とする“LPモード”が追加された。
電源は単3形電池×4本構成と従来機と共通だが、アルカリ電池での撮影可能枚数は110枚から170枚に伸び、ニッケル水素充電池では550枚から450枚(いずれも液晶ディスプレー使用時)に減っていることを考えると、液晶ディスプレーの大型化などによって本体の消費電力は増えているものの、アルカリ乾電池用の電源マネージメントが改善されたようだ。