プロジェクトリーダー職の魅力。そこには納得の仕事術あり
プロジェクトリーダーの仕事は、限られた時間で最大の効果を発揮するように予算と進行、人材などを管理していくことだ。志賀さんはチーム1人1人の作業を、WBS(Work Breakdown Structure)という手法でマネジメントしているそうだ。WBSとは、まずプロジェクトを細かい単位に分割した構成図を作り、そこへメンバー1人1人を割り振っていく。そして構成図に沿って項目ごとの進行を確認しながら、全体の作業を進めていくというものだ。こうすることで、計画どおりに進んでいなかった場合の原因がどこにあるのかが突き止めやすく、軌道修正も素早くできるそうだ。また、このWBSを効果的に機能させるためにも、メンバーとの細やかな「対話」は常に大切だとも加えた。
「WBSを十分に機能させるため、チームの全員にプロジェクトの完成図と導入後の効果を説明しています。たとえば『このシステムが導入されたら、今までの膨大なコストと時間を大幅に縮小できる』というように、完成図を具体的に話すように努めています。全体像と効果が見えると、作業に対する意識も変わってくると思います。また、私がチームのメンバーに対して気をつけているのは、彼らのステップアップにつながる仕事の仕方をアドバイスできるかどうか、ということです。今から取り組む仕事が本人にどのようなメリットがあるか──プロジェクト完遂後に得られる経験やスキルを示すこともあります。重要なのは、1人1人に具体的な目的を持って仕事をしてもらうことですね」
ただチームのメンバーに仕事の役割分担しているだけでは、結局個々の能力は伸びないだけでなく、そのプロジェクトリーダーの後に続く者は誰もいないであろう。クライアントとの対話はもちろんであるが、常にメンバーの性格や思考、要望を的確につかみ、不安や何を望んでいるのかを引き出きだすためにコミュニケーションを怠らず配慮していくことは、プロジェクトマネージャーとしての統率力には欠かせないのだ。
「プロジェクトを失敗させないためには、メンバーにプロジェクトの悩みなど背負い込ませないことです。チームで取り組むのだから、必ず誰かがフォローしてくれます。そして、このようにチーム性を維持することがプロジェクトリーダーの仕事の魅力でもあるのです」
- ■取材協力
- 株式会社三菱総合研究所
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