IT関連の仕事をしていると、TCP/IPという言葉によく出会う。正しくはTransmission Control Protocol / Internet Protocolと呼ぶことを知っている人も多いだろう。まずはprotocolを「dictionary.com」で調べた。
protocol
The customs and regulations dealing with diplomatic formality, precedence, and etiquette.(外交上での形式手続き、優先事項、エチケットに関係している習慣や規則)
外交とは言葉や人種などが異なる国と国の交渉だ。そうした他国同士の意思疎通を図るための規則という意味が転じて、コンピュータサイエンスでは「他のコンピュータとの間でデータ伝送(意思疎通)を図るための規則」、すなわち「ネットワーク上の通信に関する規約」としてprotocolを用いるようになったのだ。これを踏まえ、TCP(Transmission Control Protocol)とは「伝送制御に関する通信における規約」、IP(Internet Protocol)は「インターネットに関する(パケットをやりとりする)通信における規約」となる。つまりこれらはインターネット通信で使われる基本的なプロトコルとして2つを合わせた複合的な呼び方TCP/IPとなったのだ。
IT英語においてprotocolという言葉が使われているのは、TCP/IPだけではない。「(ネットワーク上での)通信における規約」に該当するものを説明する場面で、頻繁に使われている。たとえばURLの先頭に表記されるHTTP(Hypertext Transfer Protocol)や、ダイヤルアップ接続でよく使われるPPP(Point to Point Protocol)などだ。その実例を見てみよう。
HTTP is the primary protocol of the Web, originally proposed by Tim Berners-Lee while he was at CERN.(HTTPはWebにおいて根幹となる通信上の規約であり、もともとはCERN在籍当時のティム・バーナーズ・リーによって提案されたものです)
The Point-to-Point Protocol(PPP)originally emerged as an encapsulation protocol for transporting IP traffic over point-to-point links.(ポイント・トゥ・ポイント・プロトコルは、もともと2点間でIPトラフィックを伝送するためにカプセル化するプロトコルとして現れたものです)
protcolの意味を踏まえて考えると、HTTPはブラウザとWebサーバという異なる存在同士による通信の規約、PPPはモデムとアクセスポイントという異なる存在同士による通信の規約ということだ。このように、ネットワークを支える多様なルールはprotocolという規約に基づいている。つまり、protocolを理解することは、ネットワークを理解することにつながるのだ。その理解が深まれば深まるほど、エンジニアとして大きな成長を遂げることができるだろう。
Illustration:Aiko Yamamoto
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