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ホットシューも装備してさらに細かく機能アップした望遠機

【レビュー】PowerShot S5 IS

2007年06月25日 11時00分更新

文● 行正和義

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実際に利用した印象では、液晶ディスプレーが2インチから2.5インチに大型化したことよりも、液晶パネルの表示画素数が従来の11万5000画素から20万7000画素になったことが非常に大きく、ピントの合いを画面上で確認しやすくてマニュアルフォーカスなどでも使いやすいのがありがたい。ただし、EVF(電子ビューファインダー)のほうは11万5000画素のままなのはやや物足りない印象がある。

撮影サンプル1 広角で撮影。すっきりとした発色や細部のシャープさはいい感じだが、被写体のエッジ部分にざわついた部分が見られるのは気になるところだ。プログラムオート、1/400秒、F4.0、ISO 80。元画像は3264×2448ドットで、800×600ドットにそれぞれトリミングとリサイズをしたほかは、補正はかけていない

撮影サンプル2 サンプル1と同じ場所からワイドコンバージョンレンズ『WC-DC58B』を用いての広角撮影。約27mmという広角のため周辺がやや歪んでいるほか、周辺部では画像の劣化も目立ってきている。プログラムオート、1/640秒、F4.0、ISO 80

撮影サンプル3 サンプル1、2と同じ場所から本体のみ最大望遠で撮影。プログラムオート、1/250秒、F3.5、ISO 80。露出補正-1。屋根瓦がかなり強い日光を浴びていることもあってエッジ部分にわずかに着色が見られる

撮影サンプル4 サンプル3をさらにテレコンバージョンレンズ『TC-DC58B』で1.5倍にしたもの。プログラムオート、1/320秒、F3.5、ISO 80、露出補正-1。コンバージョンレンズは元のレンズの歪曲を拡大してしまうが、屋根瓦エッジ部の着色は撮像素子側の問題らしく着色域は拡大していない。画面内の明るさの差が大きいこともあって、低感度にもかかわらず暗部にややノイズが見られる

しっかり握れるグリップに加え、新たに鏡胴部はラバー巻きになるなどホールド性は非常に高く、現在では逆に珍しい存在になった単3形電池×4本構成のずっしりとした重さもむしろ手ぶれしにくく、望遠撮影時には安心感を得られる。

撮影サンプル5 光学式手ぶれ補正の搭載は単に暗いところでの撮影だけでなく、絞り込んだ撮影などでシャッター速度の低下をサポートできるのに重宝する。絞り優先AE、1/13秒、F5.6、ISO 100。露出補正-0.7

撮影画像は同社ならではのくっきりと鮮やかな色味で、露出不足の際にもかなり良い発色になるあたりはPowerShot/IXYシリーズならではの色作りと言えよう。ただし、エッジ部分に不自然な着色が見られ、画像周辺部ではかなり解像力が落ちてしまうなど、従来のPowerShot Sシリーズと同様にやや不満の残る画質となっている。PowerShot Sシリーズは当初から高倍率ズームを実現する代わりに画質はそれなりで、高い描写力を求めるならば“PowerShot G”シリーズという住み分けがなされているのだが、大径レンズや大きなグリップとマニュアル操作など、豊富な撮影機能が揃えられているだけにSシリーズにももう少し画質を追求してほしいところではある。

撮影サンプル6 高感度撮影結果。ISO 800ではかなりノイズが載り、最近の高感度を謳ったデジタルカメラに比べるとやや見劣りがする。マニュアル露出、1/1.7秒、F8.0、ISO 800

撮影サンプル7 撮影サンプル6と同じ画像を低感度で撮影。長時間露光でもノイズは非常に少ない。マニュアル露出、5秒、F8.0、ISO 80

今回新たに追加されたホットシューによって、外部フラッシュがより手軽に使えるようになったのは大きい。PowerShot Sシリーズは可変アングル液晶、手ぶれ補正付き高倍率ズームレンズ、豊富な撮影機能などの使いやすさから、風景をじっくり撮るような使い方よりも限られた機材で撮影しなくてならないイベント取材などで意外と活躍しているのを見かけるが、屋内での撮影をしっかり行なえる外付けフラッシュへの対応は重宝するだろう。レンズ性能がいまひとつという印象は残るものの、さまざまな用途を1台でこなすという汎用性に関しては非常に高いと言えるだろう。

撮影サンプル8

撮影サンプル8 内蔵フラッシュはFE(自動調光)とはいえ、直接照射なのでテカリや反射などでやはり不自然な画像となりやすい(左)。フラッシュを上に向けて天井でバウンスした光を用いることでやわらかい表現が可能となる(右、スピードライト580EXIIを使用)。いずれもプログラムオート



PowerShot S5 ISの主なスペック
製品名 PowerShot S5 IS
撮像素子 1/2.5インチ有効800万(総830万)画素CCD
レンズ 光学12倍ズーム、f=6.0~72.0mm(35mmフィルムカメラ換算時:36~432mm)、F2.7~3.5
静止画撮影 最大3264×2448ドット
ISO感度 オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600
動画撮影 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式
液晶ディスプレー 2.5インチTFT、約20万7000画素
記録メディア SDメモリーカード(SDHC対応)/MMC
インターフェース USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力、DC入力
電源 単3形電池×4本(ニッケル水素充電池対応)
撮影可能枚数 約170枚(アルカリ乾電池使用、液晶ディスプレー表示オン、CIPA測定法準拠)
約450枚(ニッケル水素充電池、液晶表示オン、同)
本体サイズ 幅117.0×奥行き77.7×高さ80.0mm
重さ 450g(本体のみ)


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