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約1万文字のロングインタビュー

「金儲けより、面白いもの作り」──ひろゆき氏が語るニコニコ動画 (前編)

2007年06月18日 15時00分更新

文● 松本佳代子、編集部 広田稔

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「無駄と思えるものに価値や意味がある」


── “ニコニコ宣言(仮)”に話を戻しますと、「集合知に人格や感情を備えさせること」の部分が気になりました。

ひろゆき氏 インターネットの“マルチベース”とか“集合知”は、昔から言われていたことで、いろんな企業がやってきましたが、大した結果が出ていないですよね。

“面白いかどうか”と、“実利で便利か”ということは、大きく違うと思っています。例えば、映画館で映画と見るという行為は、わざわざ映画館まで出かけて、お金を払って、誰が触ったか分からない椅子に座らされて──という行為ですが、そこで見る映画というものはそれなりに面白いわけです。ヘッドマウントディスプレーで見ると100インチの画面を独占できるとか、音響は実はイヤホンの方がいいとか、そういうものでもないと思うんです。

無駄と思えるものに価値や意味がある。ニコニコ動画のコメントは無駄だから読んでもしょうがない、と言われますが、あえて無駄なものを集めてみると、それが面白いんじゃないかと思います。役に立つものを集めるのはほかの企業がやっているので、あえて逆のことをやっているんです。みんなが見向きもしないものをやってみると、実は面白い。では、僕たちはそういうことをやりましょう、と。


── なぜ、そういう方向へ?

ひろゆき氏 みんながやりたがるビジネスというと、Googleの検索広告とか、楽天のショッピングモールとか、Yahoo!のポータルとか、すでに色々あるサービスなので、あえて僕たちがやらなくてもいい。他人がやっているところに参入しても、やることないですからね。競争相手がいない方が楽だから、という側面もあります。

さらに言うと、王道と呼ばれるものに面白いものはあまりない。無駄なものとか、役に立たないと思っているものの方が、面白いと感じるんじゃないかと思います。2ちゃんねるニコニコ動画は、なくても生活には困らないでしょう。でも使っている人は、起きている時間の10%くらいの時間を費やしていたりしますから。



編集部H その通り! 私たちの時間を奪わないでくれ、と言いたいです(笑)。

ひろゆき氏 “無駄”と“楽しい生活”には、相関があると思いますよ。無駄なもの、役に立たないものを文化と呼ぶという側面があると思うんです。詩を書くとか、歌を歌うというのは、なくても生きていけますが、それらは文化ですよね。



「ジム細い!」


── ところで、ニコニコ動画に投稿されたタイトルの中で、ひろゆきさんのお気に入りのものってありますか?

ひろゆき氏 最近、見て懐かしいと思ったのは、(株)コアマガジンの『2ちゃんねるプラス』という雑誌の付録DVDに収録されていた、サーバー屋のジムが写っている動画です(動画へのリンク)。彼は太っている体型で、先月会ったときにも相変わらず太っていたんです。そのジムが、3年前の動画ではむちゃくちゃ痩せているんですよ。人間てこんなに変わるんだ、と驚いた(笑)。

この動画は元々、「2ちゃんねるのサーバー屋を見に行ってみよう」という企画で、編集の方がサンフランシスコまで行って撮影してきたんです。内容自体はそんなに目立ったものではないんですが、今の僕にとっては大ヒットでした。ただし、これに感動できるのは、多分世界で3〜4人くらいしかいない。「ジム細い!」とコメントしましたが、そのことを分かる人はほとんどいないでしょう(笑)。


── ほかにどんな動画をチェックされていますか?

ひろゆき氏 暇なときは、面白いものがあるかなーと探しています。最近は、ランキングにアニメ系が多くて、面白いものを見つけられにくくなりましたね。

編集部H 私はレトロゲーム、特にそのスーパープレーを記録した動画が面白いと思うんですよ。アレは本当に、すごいですよね。

ひろゆき氏 『ドラゴンクエスト3』を3時間でクリアするとかね。僕は20時間くらいかかったのに、3時間でストレートにクリアするんです。

編集部H 常人はその境地まで至れないんですけど、その人がやっているのを見れば自分がやったような気分になってすっきりするという。

ひろゆき氏 ドラゴンクエスト3の早解きにも世界記録があって、「3時間21分のワールドレコードを3時間16分で5分も短くした」とか、そういう話になっている。分単位での競争になっているんです。世の中に、いつの間にかそんな競技があったんだ、と(笑)。


*後編はこちら


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