米パラレルズ(Parallels)社は7日、インテルMac用の仮想マシンソフト『Parallels Desktop』(以下、Parallels)の最新版となるバージョン3.0(ビルド4124/4128)をリリースした。新バージョンでは、3Dグラフィック、Mac/Windows間の連携、スナップショットやParallels Explorerといった、これまで挙げてきた要素以外にも、さまざまな機能が追加されている。以下、簡単に紹介していこう。
共有プリンター機能
Mac側で設定されたプリンターを、仮想プリンターとしてWindows側から利用できる機能をサポートした。仮想プリンターは実際に接続されている機種に関わらず、パラレルポートに接続した『HP Color LaserJet 8500 PS』として認識される。
USBデバイス接続時の動作指定
USBデバイスが接続されたときの動作を“Mac OS Xに接続(Connect to Mac OS X)”、“ゲストOSに接続(Connect to Guest OS)”、“ユーザーに尋ねる(Ask me what to do)”の3種類から選択できるようになった。
Boot CampでインストールしたWindows Vistaに対応
Parallels 2.5では、Boot Campパーティションの利用はWindows XPに限られていたが、Parallels 3.0ではBoot Campパーティション上のWindows Vistaを使って仮想マシンを起動できるようになった。
なお、Boot Campで使用する場合、Windows Vistaのエディションに制限はないが、 『Home Basic』および『Home Premium』の両エディションは、仮想マシンのゲストOSとして使用することがライセンスで禁止されているので注意してほしい。
Linux用のParallels Toolsの提供
仮想マシンの使い勝手を向上させる“Parallels Tools”が、Linux向けにも用意された。ただし、提供されるのはマウスポインタのシームレスな移動を実現する“Mouse Synchronization Tool”、Parallelsのウィンドウのリサイズに対応してゲストOSの解像度を変更する“Dynamic Resolution Tool”およびネットワークカード(RTL8029)用のデバイスドライバーのみで、共有フォルダーやクリップボードの共有などの機能は利用できない。
【まとめ】インテルMac用仮想マシンの覇権争いはまだまだ続く
Parallels 3.0では3Dグラフィックのアクセラレーション機能がサポートされ、これまで動作しなかった一部のソフトが動作するようになった。現状では互換性や描画性能の面でまだまだ十分とは言えず、Windows VistaのAeroインターフェースにも対応していないが、Aeroには今後のアップデートで対応する予定だ。それに伴いゲームソフトとの互換性も向上するだろう。
奇しくも競合製品である『VMware Fusion』も同日にβ版をアップデートしている。VMware Fusionの“Unity”モードの機能は、ParallelsのCoherenceモードより優れた面もあるが、SmartSelect機能など、Mac/Windowsのシームレスな連携という点ではParallelsに一日の長があると言えるだろう。
8月にはVMware Fusionの正式リリースも予定されており、独イノテック(innotek)社の『VirtualBox』の動向も含め、インテルMac用仮想マシンの覇権争いはさらに激化することになりそうだ。