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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第170回

「うわ、すげえ!」Unreal EngineをCodexに操作させたら制作の常識が変わった

2026年08月24日 07時00分更新

文● 新清士

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ユーザーの役割は「UE5の使い方を習得する」から「AIに何をさせるか考える」に

 筆者はこれまでUEを使ったゲーム開発のプロジェクトを3本経験しており、完全なUEの初心者ではありません。プログラムの開発経験こそないものの、今回動画作成のために利用した機能は、一度は触った経験があります。

 UEは大規模なエンジンで、キャラクターアニメーション、Sequencerを使ったイベントシーン、Niagaraを使ったエフェクトはそれぞれが専門職種として成立するほど奥が深いものです。UE5は個々の機能の全体像を把握するのが大変で、初心者にとって本当に壁となってきました。実際、触りだけでも理解するのに相当手こずった覚えがあります。

 何かのパラメータの意味がわからなくて、効果的に動作させる条件を調べるために1日つぶれるというのは、筆者の経験したUEの開発では当たり前に起きていたことです。しかし、AIは複雑なパラメータ構成であっても、それを調べてきます。

 途中、どうしても消えないデバッグ表示の赤い線が画面に残ることがありました。トップ画像のビルの上方に伸びている赤線がそれです。その原因がわからなかったので、解決のためにAIに探らせました。Niagaraのわかりにくい仕様に原因があると突き止めるまでに1時間かかりましたが、CodexはUE5のソースコードまで読み込んで調査しました。筆者の経験では、これは人間が調べていれば、特定に何日もかかるタイプの問題だと感じました。その壁もAIが突破してくることに驚きました。

最終的なカットが指示した通りかをAIがチェックするためのシート画像

 複雑なUE5でさえ、Codexを通じて、日本語の自然言語で指示するだけで、UE5での開発を進めることができる。これはゲームエンジンの使い方も根本から変わる時代に入ろうとしていることを意味しています。ただ、現状は、UE5向けのMCPで何ができるかは、UE5自体にどんな機能があるのかを理解していないと、そもそも指示自体をすることができません。この点は、いまからUE5を使い始める人にとっては課題になりそうです。

 AI動画も急激に発達していますが、ゲームエンジンでリアルタイムで動かす動画は、AI動画では作れない質感や雰囲気があります。オブジェクトを直接操作することで、時間をかけて何度でもリアルタイムレンダリングのシーンを作り込んでいけるというのも大きな強みでしょう。ゲームエンジンとMCPを通じて、映像やゲーム分野でのAI応用が広がっていくのはほぼ間違いないと言えます。

 一方で、人間の専門性が、画面を手で操作する能力から、何を作らせ、何を確認し、どこを直させるかを判断する能力へ移ろうとしています。今後、MCPはさらに強化されてくると思われますが、その傾向は強まってくるでしょう。

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筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社バリーン・スタジオ Creative Tech Lab./デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。2026年3月に発売したクラフト系サバイバルゲーム「Exelio」のAIによるキャラクターデザイン、3Dプロップの作成を担当。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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