Google Cloud Next Tokyoで語られた“企業向けAI変革基盤”の現在地
「Gemini Enterprise」に大規模導入の波 ― SOMPO・NTTデータ・Skyが描く“エージェント企業”への進化
2026年08月04日 08時00分更新
Sky:エージェント活用を通じて暗黙知を自然に形式化
AIとの共生するソフトウェア開発事業を目指すSkyでは、2026年1月にGemini Enterpriseの全社導入を始めている。
同社では、エージェントをフルスクラッチで内製するも、反復処理を重ねるごとにモデルやアーキテクチャで精度の差が顕著になるという問題を抱えていた。これを解決すべく、エージェントの処理精度の高さからGemini Enterpriseを選択した。同社でDX・AI推進をけん引する太田雅尚氏は、「実用的なエンタープライズ検索と企業に求められるガバナンスを効かせる点も魅力的だった」と振り返る。
Skyでも、現場主導で“業務の痒いところに手が届く”独自エージェントを開発を推進している。主な用途は、コーディングや情報検索、文章作成が半分を占めるが、分類困難な複合プロンプトが全体の約半数(48%)に上るのが特徴だという。「現場がそれぞれ自分の業務に合わせてチューニングし、多様かつ独自のエージェント活用が進んでいる証拠」(太田氏)
現在、エージェント活用をさらに加速するために、優れたエージェント作成者を表彰する「エージェント祭り」や社内AIウェビナー、ナレッジを共有するための基盤構築などの施策を展開中だ。全社的な利用状況やプロンプトデータを集約するダッシュボードも構築し、定量的な成果を可視化している。
Gemini Enterpriseの導入によって、社内のAIへの総リクエスト数は、導入前の1日1万5000回から3万回へと倍増し、エージェントの数は2万個に達している。太田氏は、「個人の暗黙知やローカルデータが可視化されたことが大きな成果。AI社員を試す中で、これらが必要になったが、エージェントへの指示から自然と集約されるようになった」と語る。
今後は、MCPへの対応で社内エージェントの構築・活用をさらに加速させていくという。「エンジニアリングの企業が会社規模で本気でAIエージェントを作り始めたとき、どこまで組織をイノベーションできるか。その可能性を追求し、AIと本当の意味で協働する未来を実現していきたい」と締めくくった。
エージェント時代の統合開発基盤「Gemini Enterprise Agent Platform」
ここからはエージェント開発関連のアップデートを紹介する。
まずは、2025年11月に公開されたエージェントファーストな開発基盤「Google Antigravity」の統合だ。Gemini Enterpriseのライセンスから利用可能になり、開発ツールのひとつとして一元管理が可能になった。
Gemini Enterpriseにおいて、エージェントの開発・運用を担う「Gemini Enterprise Agent Platform」も一般提供を開始した。これは、Vertex AIの機能を拡張し、エージェントの構築・拡張・ガバナンス・最適化に必要な機能を統合した開発基盤である。
同基盤ではGoogleの最新フロンティアモデルのサポートを拡充しており、Gemini 3.5 FlashやGemini 3.5 Flash-Lite、Gemini 3.6 Flashに加え、間もなくGemini 3.5 Proにも対応する。Gemini 3.5 Flashが日本リージョンに対応したことも発表された。
モデルライブラリである「Model Garden」では、こうしたGoogleの独自モデルに加え、AnthropicやMeta Llamaなどサードパーティやオープンなモデルもワンクリックでデプロイすることが可能だ。
開発ツールは、前述のAntigravityのほか、「Agent Development Kit(ADK 2.0)」から「Agents CLI」、「Managed Agents API」、ノーコードの「Agent Studio」まで、多様な選択肢を取り揃える。スケーラブルな実行基盤である「Agent Runtime」やセキュアなプレイグラウンドである「Agent Sandbox」、短期・長期記憶を担う「Agent Sessions」「Agent Memory Bank」など、エージェントを拡張するための機能も充実している。
ガバナンスについても、エージェントやMCPサーバーなどを一元管理する「Agent Registry」やエージェントの認証を担う「Agent Identity」、ネットワーク境界を守る「Agent Gateway」などの機能群で担保され、これらはGemini Enterprise appにも適用される。
負荷試験や継続改善(フライホイール)のための最適化機能も整備され、コードやアルゴリズムを対象とするAlphaEvolveといった最適化エージェントもGAされている。
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