Google Cloud Next Tokyoで語られた“企業向けAI変革基盤”の現在地
「Gemini Enterprise」に大規模導入の波 ― SOMPO・NTTデータ・Skyが描く“エージェント企業”への進化
2026年08月04日 08時00分更新
SOMPOホールディングス:トップダウンと市民開発の融合で価値創出へ
まずは、2026年1月にGemini Enterpriseによる「SOMPO AIエージェント」をグループ全社員3万4000人に展開したSOMPOホールディングスの事例だ。
同グループでは、ここ10年間で約200名を採用したデジタルスペシャリストと現場がワンチームとなり、内製開発を推進してきた。Gemini Enterpriseの導入も、こうした現場主導のDXの一環と位置づけられている。
同グループがGemini Enterpriseを選んだ最大の理由は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)の存在だったという。損保ジャパンのCDOである中島正朝氏は、「保険会社には約款や規定集、マニュアルなど膨大な社内ナレッジデータが蓄積されている。これらの社内データとソースグラウンディングAIであるGemini Notebookの相性は良く、AIエージェント活用の強力な起爆剤になると確信した」と振り返る。
Gemini Enterprise導入にあたって、まずこだわったのは日常業務への組み込みだ。会議の録音データをGemini Notebookに自動追加するアプリを作成し、「そもそも議事録を作らなくてよい状態」をトップダウンで推進した。また、本社の各部門が作成した公式ノートブックをグループで共有することで、自己解決の文化も根付き初めているという。
市民開発による業務特化型エージェントの作成も順調で、わずか数か月で1万個を超えるエージェントが開発された。キーノートでは、目標設定の壁打ちをサポートする「モクさぽ」、写真や画像から即座に文字起こしをする「モジおこ」、レッカーの請求書の妥当性を自動チェックする「レカみる」という、3つのグループ公式エージェントが紹介された。
Gemini Enterprise導入から半年で、週に1回以上利用する社員(WAU)は8割を超え、部長以上のマネジメント層に至っては98%という利用率だ。リーダー自ら率先してAI活用する文化が醸成され、何より、AIで生まれた時間を使ってより価値の高い業務にチャレンジできるようになったという。
「高付加価値業務こそ、AIエージェントを相棒に行うべき。こうした生産性の先にあるAI活用の決め手になるのは、社内データをいかにAIレディにできるか、平均値ではない圧倒的な“外れ値”という価値を生み出せるかだ。これを左右するのはAIを使う人間の力であり、それをどこまで拡張できるかが価値創造の鍵になる」(中島氏)
NTTデータ:“クライアントゼロ”で顧客ニーズに応える
2026年6月にGoogle Cloudと戦略的パートナーシップを結んだのがNTTデータだ。グループ全体でGemini EnterpriseとGoogle Workspaceを大規模活用する基盤を整備し、自社で先行実践する「クライアントゼロ」を推進する。
同社でChief AI Officerを務める西村忠興氏は、「生成AIの活用が組織単位での業務適用に広がる中で、実際の成果につなげるには、情報管理や利用者教育、業務プロセスとの接続が不可欠」と語り、それを顧客に展開するための知見を蓄積するのがクライアントゼロの狙いだという。
パートナーとしてGoogle Cloudを選択した理由は3つだ。1つ目は「自立型のAIワークスペース」を掲げるGoogle Cloudへの共感であり、それを実践するために両サービスの採用を決断した。2つ目は、機密性の高いシステムを支えるNTTデータに不可欠な「セキュリティとガバナンス」だ。同社の厳格な要件を満たした、全社展開できる基盤であることも決め手となった。
最後は、両サービスを要望する「顧客からの声」だ。西村氏は、「今後は、両サービスで得た知見をアセット化し、社会をチャット型AIから自律型AIエージェントへの移行を促し、デジタルワーカー主導の業務プロセスへと進化させていく」と抱負を述べた。
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