今も人気のSwatchは開発段階では四角いモデルもあったらしい
そんなifを実現した製品を衝動買い
「もし初代Swatchが丸ではなく四角だったら?」
工業製品の世界では、過去の名作を現代の技術で蘇らせるRe-IssueやRe-Edition、Heritageといったモデルは珍しくない。しかしSwatchが今回送り出した「WHAT IF?」シリーズは、そのどれとも少し違う。
テーマは「もしも」である。1983年に誕生した初代Swatchは丸くて、少しチープなケースを採用した。その安価ながら正確な腕時計は世界中に広まり、新しい文化を築いた。しかし開発段階には、実際には発売されなかったスクエアケースのプロトタイプも存在していたという。
つまりWHAT IF?は「昔発売された時計」の復刻ではない。「もし初代Swatchが四角だったら」という、存在しなかった歴史そのものを商品化したのである。
アナログの腕時計は本来は丸型が自然
四角い画面にすること自体になんらかの意味を持たせている
筆者は以前から四角いアナログ腕時計に惹かれる傾向がある。もちろん四角い腕時計自体は珍しくない。Apple Watchをはじめ、多くのデジタル時計は表示との相性から四角いケースが自然な形だ。しかしアナログ時計では違う。
時針と分針は中心を軸に360度回転するので、インデックスまでの距離が均等になる丸形が最も合理的である。だからこそ四角いアナログ時計は、機能だけでは説明できない“なにか”を求めて生まれたデザインなのだろう。
筆者のコレクションに並ぶDevon、RADO Manhattan、RSW、Bell & Ross Phantomも、どれも少し常識から外れた腕時計ばかりだ。今回のWHAT IF?も、その仲間入りを果たした。
透明な素材で遊んだデザインが実に魅力的
届いた「WHAT IF...SEE THRU BLACK?」は、箱を開ける前から楽しい。近年のスマートフォンやスマートウォッチのように、赤いパッケージが「新しいガジェットを迎える高揚感」を演出してくれる。しかし箱を開けた瞬間、筆者が最初に感じたのは「時計」ではなかった。透明という素材で遊んだ工業デザイン作品だった。
透明素材を採用した腕時計は珍しくない。しかし、その多くは内部構造を見せるためのスケルトンだったり、高級感を演出するためのクリアパーツだったりする。WHAT IF?は少し違う。透明そのものがデザインなのである。
透明なケースは、まるで大きな氷砂糖を切り出したようだ。一方でストラップは少し趣が違う。乳白色の半透明素材の奥にダークグレーの芯がほんのり透け、その様子は和菓子の琥珀糖を思わせる。
琥珀糖は「食べる宝石」とも呼ばれる。角から眺めると内部がほのかに透け、季節に応じて、フルーツやエディブルフラワー、金箔/銀箔などのフィリングを閉じ込めて様々な演出することもある。WHAT IF?のストラップにも、そんな「中になにかが宿っている」ような奥行きがある。
光の当たり方や見る角度によって表情を変え、いつの間にか時間ではなく素材そのものを眺めてしまう。
裏返すと印象はさらに一変する。表側は和菓子を思わせるほど柔らかな印象なのに、裏面は電池やムーブメントが見える工業製品そのもの。柔らかな透明感と無機質なメカニズム。このギャップも実にSwatchらしい。透明を「見せる」のではなく、「遊んでいる」のだ。
WHAT IF?というネーミングも秀逸だ。Re-IssueでもHeritageでもない。存在した過去を蘇らせるのではなく、存在しなかった歴史をデザインしてしまったのである。「もし初代Swatchが四角だったら」という発想だけで、一本の時計を成立させてしまう遊び心には思わず笑ってしまった。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第886回
トピックス
秋葉原で見つけた技適認証済みの電子バッジを衝動買い -
第885回
トピックス
USBケーブルとテスターの衝動買いが増えるほど、混沌の沼にハマってゆく -
第884回
トピックス
4台も衝動買いしてやっとわかった「スマートAIグラスの光と影」 -
第883回
トピックス
「Rokid スマートAIグラス」を衝動買い 周辺ツールが育てるAIグラス -
第882回
トピックス
「Rokid スマートAIグラス」はスマホ時代の電力インフラを味方につけたAIグラス -
第881回
トピックス
「Rokid スマートAIグラス」を衝動買い 「Rokidは同じ景色を共有してくれるAIコンパニオンだ」 -
第880回
トピックス
満充電で自らプラグを抜くアダプターの真打ち「KUWAJIA」を衝動買い -
第879回
トピックス
満充電で自らプラグを抜く!? 1個1200円の自立型「自動切断アダプター」を衝動買い -
第878回
PC
安心の国内企画「240W」対応USBケーブル やわらか極太USBケーブル4本セットを衝動買い -
第877回
スマホ
“嫌われない未来”にフォーカスしたスマートグラス「Even G2」を衝動買いしたものの…… - この連載の一覧へ


















