このページの本文へ

AI・データ活用に対する“期待と現実のギャップ”が明らかに、「AI・データ活用実態調査 2026」発表

ビジネス成果の出ないAI、ネックは“置き去りのデータ基盤” ―primeNumber調査より

2026年07月17日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 AIとデータの活用でビジネスの「劇的な変革」「大きな改善」を期待する企業は6割以上に達するものの、実際の取り組みでは多くが「限定的な成果」にとどまっており、「明確な成果」が得られているのは2割に満たない――。primeNumberが実施した国内調査で、そんな実態が明らかになった。

 また、明確な成果が得られている企業では、そうでない企業よりもデータ基盤の整備が進んでいることも分かっている。この調査は、AI・データ活用に関わる企業勤務者を対象に、2026年6月に実施されたもの。有効回答数は373件。

「AI活用の成果」と「データ基盤整備」の相関(出典:primeNumber)

「劇的な変革」「大きな改善」を期待する一方、得られた成果は低調

 まず、AI・データ活用が自社事業にもたらすインパクトをどう捉えているか。「劇的な変革をもたらすと期待している」が18.0%、「大きな改善をもたらすと期待している」が46.9%で、合計で64.9%の回答者が、自社事業への大きなインパクトを期待していることが分かった。

 こうした期待の高まりは、実際のAI導入状況にも反映されている。現在の導入状況について、「全社的に導入している」(29.0%)、「複数の部門で本番運用している」(13.4%)、「一部の業務・部門で本番運用している」(18.2%)の合計で60.6%となり、AI導入はすでに多くの企業で「実装フェーズ」に入っていると言える。

回答者の「AI・データ活用への期待」(出典:primeNumber)

 ただし、そうした期待とは裏腹に、AI活用から実際に得られている成果については、「一定の成果は得られているが、限定的な範囲にとどまる」が最多の48.3%で、「現時点では成果が得られていない」が12.3%。期待どおりに「明確な成果が得られている」という回答は16.4%と、回答者の6人に1人にすぎない結果だった。

AI活用の成果の状況(出典:primeNumber)

明確な成果が出ている企業は高度活用に着手、データ基盤整備も進んでいる

 「明確な成果が得られている」企業群とその他の企業群のAIユースケースを比較したところ、成果が出ている企業群では、特に「営業・マーケティング高度化」や「経営・事業企画支援」といった高度な領域でのAI活用が、その他企業群より10ポイント以上高かった。

 また、データ基盤の整備状況を比較したところ、データ基盤が「全社で統合済み」と回答した成果企業群は、その他企業群(11.5%)の2倍以上となる26.2%に達した。

 なお、回答者全体に対する「全社で統合済み」データ基盤の比率は13.9%と、AI・データ活用への高い期待の割には、データ基盤が“置き去り”にされている実態がうかがえる。データカタログやメタデータ管理なさらに整備が遅れており、「全社で統合済み」は10.7%だった。

データ基盤の状況(出典:primeNumber)

投資意欲は「AIエージェント」に向かい、「データ基盤」に向かわない

 今後12カ月間のAI・データ関連投資については、回答者の44.8%が「前年比で増加」を見込んでいた。ただし、具体的な優先投資先としては「生成AI/エージェント型AIの開発・運用」(43.4%)が最多であり、「データ統合・パイプライン整備」(21.7%)や「データカタログ・メタデータ管理」(12.3%)といったデータ基盤整備に対する投資意欲との差が大きい。

 ちなみに、今後12カ月間の優先投資領域として「生成AI/エージェント型AIの開発・運用」を挙げた回答者(162名)のうちの60.5%(98名)は、データ基盤領域の選択肢(データ統合・パイプライン整備、DWH・データレイク強化、データカタログ・メタデータ管理)のいずれも選ばなかったという。さらに、AIに大きな期待を寄せる回答者ほど、「投資の視線がアプリケーション層に集中し、データ基盤から遠ざかっていく構図」が確認されたという。

今後12カ月間の優先投資領域(出典:primeNumber)

 同レポートではさらに、「データ基盤運用におけるボトルネック作業」や「データ・AI関連人材の確保状況」の調査結果も示し、データ整備に人的な労力がかかっていること、その運用が属人化していることを指摘している。詳細なレポートはprimeNumberのWebサイトからダウンロードできる。

* * *

 primeNumberでは、今回の調査で明らかになった「AI活用における期待と成果のギャップ」を解消する新たなアプローチとして、「GDM(Generative Data Management)」というコンセプトを提唱している。

 GDMは、これまで多くの人手を要してきた継続的なデータ管理/整備にAI技術を深く統合することで、より多様なAI・データ活用ニーズ、AIエージェントによるデータ参照といった環境変化にも、自律的に進化し対応するデータ管理の仕組みを実現するという考え方だ。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

  • 角川アスキー総合研究所