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AIエージェントに選択肢 「AWS re:Invent 2025」レポート 第10回

AI時代を生きるすべてのエンジニアに伝えたい熱いメッセージ

Amazon ボーガスCTOが最後の基調講演 「AIは開発者の仕事を奪うのか?」への直球な答え

2026年01月13日 11時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 「AIは開発者の仕事を奪うのか?」という問いに対して、「たぶんね」と答えるのは、今回で最後のre:Invent基調講演となるAmazon CTOのヴァーナー・ボーガス氏だ。今度こそ本当に開発者の終わりを迎えるのだろうか?

 12年に渡り、re:Inventで学び続ける尊さをエンジニアに訴えてきたボーガス氏の総決算とも言える90分の熱血講演。幸運にもラスベガスでボーガス氏の講演を直接聴くことができたASCII大谷が、AI時代を生きるエンジニアへの熱いメッセージを数回に分けてお届けしたい。

関連記事:Amazon CTO ヴァーナー・ボーガス氏、最後の基調講演

・Amazon ボーガスCTOが最後の基調講演 「AIは開発者の仕事を奪うのか?」への直球な答え
・ダ・ヴィンチに学べ AI時代に求められる「ルネサンス・デベロッパー」という生き方
・AIに「丸投げ」は厳禁 AWSのIDE「Kiro」はなぜ仕様駆動型開発に行き着いたのか?
・ありがとうヴァーナー 「自らの仕事に誇りを持て」は働くすべての人に向けたエール

繰り返される「デベロッパーの終わり」

 Amazon CTOであるヴァーナー・ボーガス氏の基調講演は、AWS re:Inventの1つの目玉とも言えるコンテンツだ。自身がエンジニアであるボーガス氏は、新製品やサービスより、その背後にあるAWSの設計思想やエンジニアリングについて語るのが得意。近年はAWSやクラウドという枠を越え、エンジニアがどう生きるべきか、なにを学ぶべきかなどの深遠なテーマに取り組み、聴衆たちの魂をたぎらせてきた。

 毎度テーマに合わせた手の込んだ動画から始まるボーガス氏のキーノートだが、今回某SF映画風の動画からスタート。「テクノロジータイムズ」という架空の新聞の「デベロッパーの終わり」という見出しを見たボーガス氏は「この話はどこかで聞いたことがあるぞ」と独り言つ。どこかの映画で見たようなクルマ型のタイムマシンに乗り込み、1968年にタイムスリップしてしまう。

タイムマシンでタイムスリップするヴァーナー

 1960年代はパンチカードを使った古典的なデータ入出力が一般的で、COBOLが高級言語として世間を騒がせた頃だ。COBOLを見た上司が「これで誰でもコードが書けるってわけだね」と言うと、パンチカードのオペレーター(女性)は「誰でもっていうわけでもないけどね」と反論する。当時はソフトウェアという言葉自体も身近ではなかった時代。そこからテクノロジーはどんどん進化を続ける。

 テクノロジータイムズは新たなテクノロジーの登場をセンセーショナルに告げる。1972年にはCが、1985年にC++、1992年にはVisual Basicが登場し、プログラミングはどんどん進化していく。2005年、オペレーター(女性)の息子にあたるエンジニアは、クラウドの登場で「エンジニアは不要になる」という記事を読んでショックを受ける。そんなとき、タイムマシンの運転席にいるボーガス氏が放り込んだのが、「初心者のためのクラウド」という1冊の本だ。

 クラウドに未来を見い出し、その後も学び続け、年齢を重ねた彼。2025年の生成AI時代に「これが私たちが知っている開発の終わりなのだろうか?」と独り言つが、それを受けたボーガス氏は「それとも新たな始まりの一歩なのだろうか?」と問いかける。そして動画は現実の世界へ。タイムマシンを駆り、ラスベガスの舞台に登場したボーガス氏。満員の聴衆たちは大きな拍手と「ヴァーナー」コールで迎え入れる。

聴衆たちのヴァーナーコールに迎えられるボーガス氏

「AIは私の仕事を奪うのか?」への答えは「たぶんね」 だけど……

 登壇したボーガス氏は、自身がまとう黒いTシャツのテキストを読み上げる。「Open mind for a different view. And nothing else matters」。日々新しいことが起こっても、異なる視線を受け入れる心があれば、それ以外はなにも重要ではないという意味だ。実際にイントロの動画では、新たな変化に直面するあらゆる世代の開発者が登場してきた。ツールもアーキテクチャも進化し、開発者も進化してきたことがわかる。

 しかし、課題は往々にして見逃されがちだ。ボーガス氏が語ったのは、2つの「The elephant in the room」。これは大きな積年の課題なのに、気がつかないふりをしている状態を指す。

部屋の中のゾウ もはや無視できない課題

 1つ目のエレファントは、「14回のre:Inventを経て、みなさんも新しい、フレッシュな声を求めていると思う」といボーガス氏自身の気づきだった。そこで発表されたのが、2012年から続けてきた基調講演の登壇が今回で最後になるということだ。「Amazonにはみなさんに教え、支援できる素晴らしいストーリーを持った素晴らしいエンジニアがたくさんいる。これは私だけではなく、さまざまな声を聞けるようにするための私の決断だ」とボーガス氏は語る。

 もう1つのエレファントは、「AIは私の仕事を奪うのでしょうか?(Will AI take my job ?)」だ。これはボーガス氏が訪れたどの国でも、どの都市でも聞かれた質問だという。この質問に対して、ボーガス氏は「……maybe(たぶんね)」と答える。開発者におべっかを使わないボーガス氏ならではのストレートな意見だと思う。「一部のタスクは自動化され、一部のスキルは時代遅れになるだろう」とも言う。

「AIは私の仕事を奪うのか?」の答えは「たぶんね」

 しかし、ニュアンスを変えた「AIによって私は時代遅れになるのか?(Will AI make me obsolete?)」という質問に関して、ボーガス氏は断固として「No」をたたきつける。ただし、条件がある。それは「あなたが進化すれば(if you evolve)」だ。「AWSの優れたツールを使っていれば、時間とともに自身も進化し、優れたエンジニアで居続けることができる」とボーガス氏は語る。「なぜなら私たち開発者は進化するからだ。私たちのツールも同様。変化は絶え間なく続く。これは新しいことではない」。

進化する限り、開発者は時代遅れにはならない

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  • 角川アスキー総合研究所