ACアダプター側に直挿しした場合には
スマホ側の電源を使って無理矢理抜いてしまう
ここまでは想定内だったが、真のドラマはマニュアルが提案する「充電器側に本機を直接刺すシナリオ2」を、壁面のコンセント環境で試した時に起こった。ACアダプターに本機を直刺ししてスマホを繋ぐと、一応は充電がスタートする。しかし、インジケーターのLEDは青も緑も一切点灯せず、完全に沈黙したままだ。
インジケーターが機能していないため、正しく制御されているのか不安になりながら見守っていると、スマートフォンの画面が90%や94%といった「満充電でも何でもない適当なタイミング」に達したそのとき、事件は起きた。突如、例のギア音とともに2本のロッドが力強く伸びてきたのである。
どうやら本機は、アダプター側への直刺し運用においては、電流センサーの判断が著しく大ざっぱになるらしい。驚くべきはここからだ。ロッドが伸びてACアダプターから本機が押し出されるのだが、悲しいかな、この白い棒の長さが絶妙に足りない(以下の動画では、中途半端な充電量だが棒が伸びてイジェクトを考えている様子を映した。問題はこの後に肝心の棒が引っ込まなかったことだ)。
結果として、完全には抜け落ちず、中途半端にぶら下がった状態になる。一応、通電が切れる距離までは離れるため「電源遮断」という目的だけは力技で全うしているのだが、問題は「電気が切れたことで、伸びたプッシュロッドを自力で引っ込める電力が残っていない」という哀れな結末を迎える点だ。当然、手で押し込もうとしてもギアが噛み合っているためびくともしない。
では、どうやってこの伸びきった棒を戻すのか。なんと本機は、接続されたスマホがまだ生きていることを利用し、スマホ側のバッテリーから電力を逆流させて自らの動力源にするという驚異のサバイバル仕様を見せる。
スマホを繋いだ状態のまま、ガジェット本体にある唯一の小さなボタンを長押しすると、スマホの命を吸い上げたモーターが「ウィーン」と音を立てて回り、ようやくプッシュロッドが元の位置へと引っ込んでくれた。
中華ガジェットならではのエンターテインメント
どうやら本家とも言える製品があるらしいので手配した
間にテスターを挟めば拒絶反応を起こし、ACアダプター直刺しではLEDが死んだまま中途半端に浮き上がり、最後はスマホの電力を強奪してリセットをかける。現代の日本の厳しい品質基準から見れば、お世辞にも「優等生」とは呼べないし、その挙動は極めていい加減だ。
しかし、筆者はこのプロダクトが愛おしくてたまらない。この不器用で、かつ必死に生き延びようとする電子回路のドタバタ劇は、大手ブランドの洗練された充電器などでは絶対に味わえない、B級中華ガジェットならではのぜいたくなエンターテインメントだ。
1200円でこれだけの機械式ギミックと、突っ込みどころという名の濃厚なドラマを楽しめるのだから、ガジェットロードの授業料としては格安だ。どうやら、このジャンルには「140W対応」を本気でうたう、元祖的な存在の「KUWAJIA」が控えているらしい。
というわけで、その本命モデルを別途手配中である。それが手元に届いた段階で、今回のX01が魅せてくれた愛おしき誤算とどのような「格差」を見せてくれるのか、東西自動引き抜き器の頂上決戦を今から楽しみにしている。

今回の衝動買い
・アイテム:140WスマートフルチャージセルフカットType-Cアダプター
・購入:AliExpress
・価格:2個で2426円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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