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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第401回

「米中どちらにつく?」米国、AI陣営の“踏み絵”へ

2026年08月18日 07時00分更新

文● 小島寛明

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 AIのモデルや半導体、原料になる資源をめぐる競争で、米国が各国に対して、米中のいずれにつくのか、選択を迫ろうとしている。

 米国は、半導体やレアアースを安定的に調達することを目指し、国家間の協力関係を明確にする枠組み「パックス・シリカ」を結成している。2026年8月14日のロイターは、米政府が各国に対して、米国が主導するパックス・シリカと、中国が主導する枠組みのどちらに加盟するのか、選択を迫る方針だと報じた。この報道によれば、米国務省はすでに、各国に送付するレターの草稿を用意しているという。

 現時点では、このレターがいつ送付されるのかについては決まっていないし、現実に送付されるのかもわからない。しかし、AIの開発をめぐる競争においても、米中両国の対立はさらに激しくなりそうだ。

2025年に署名された「パックス・シリカ」

 米国がパックス・シリカという枠組みを立ち上げたのは2025年12月12日のことだ。日本の外務省によれば、外務審議官が「パックス・シリカ宣言」という文書に署名している。この宣言は、次のように述べている。

・人工知能(AI)が我々の長期的な繁栄に非常に大きな影響を持つ
・信頼性のあるサプライチェーンが相互の経済安全保障に不可欠である
・信頼できるシステムが相互の安全保障と繁栄を守るために不可欠である

 この時点では、米国と日本、豪州、イスラエル、韓国、シンガポール、英国の7ヵ国がパックス・シリカ宣言に署名している。当初のメンバーを確認すると、安全保障の面でも米国と関係の深い国々が顔をそろえていることがわかる。

 注目したいのは、次のように、AIを動かすアプリケーションから、コンピュータを動かす電力まで、AIに関わる非常に幅の広いサプライチェーン全体を対象としている点だ。

・ソフトウェア・アプリケーション/プラットフォーム
・フロンティア基盤モデル
・情報通信・ネットワークインフラ
・コンピュートと半導体
・先端製造
・輸送・物流
・鉱物の精錬・加工
・エネルギー

 この時点では、サプライチェーンの上流から下流に至るまで、信頼関係のある国家間の協力を深めていくことが重要だと、お互いの共通認識を確認しましょうという内容にとどまっている。署名したからといって、拘束力のある約束をともなう内容ではない。あまり踏み込んだ内容ではないためか、パックス・シリカ宣言は、外務大臣や外務副大臣ではなく事務方のナンバー2にあたる赤堀毅外務審議官が署名した。パックス・シリカ宣言にはその後、EUやカザフスタンなどが加わり、2026年8月の時点で米国を含む25の国と地域が署名している。

中国主導の「世界人工知能協力機構」

 中国も2026年7月16日、「世界人工知能協力機構」という新しい国際機関を立ち上げている。AIをめぐるルールの形成を目指す機関で、中国やロシア、ブラジル、カザフスタン、南アフリカ、イランなど29か国が設立時のメンバーだと報じられている。

 こちらは、新興国を中心に「グローバルサウス」と呼ばれる国々が参加している点に特徴がありそうだ。さらに、AIの学習済みのパラメーターを公開するオープンウェイトモデルを重視しているとされる。

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