肝心の性能はというと、今回も……な結果に
今回の製品にはケーブルが存在しないため、本体には240WやPDといった表記は一切ない。しかし販売ページでは「240Wを通せるアダプタ」のようなニュアンスが強調されている。そこで筆者は、USB 3.2(20Gbps)かつ240W対応を明記した手持ちの高品質ケーブルを用い、直結時と本製品を介した場合の挙動をテスターで比較してみた。
まずケーブル単体ではUSB 3.2のデータ通信、USB PD 3.1(EPR)ともに正常に認識され、全ピン接続も問題ない。抵抗値も低く、いわゆる“お墨付き”の挙動である。
しかしこのアダプタを介すると状況は一変する。USB 3.2の高速通信は無効化され、ピンの一部が未接続となり、抵抗値も大きく上昇した。つまりこの製品は「電力と最低限の通信のみを通す簡略配線」であり、結果として高性能ケーブルの能力を大幅にスポイルしてしまうのだ。
興味深いのは、eMarker情報自体は変わらず表示される点である。つまりケーブル側の能力はそのまま認識されるが、途中の経路で性能が制限される構造ということになる。見た目は単なる中継パーツだが、実際には「性能を削るフィルター」として機能しているわけだ。
一見便利そうで、思わず手に取りたくなるガジェットは多い。特にこうしたギミック系アクセサリは、瞬間的な「おっ」と思わせる力を持っている。
しかし今回の折りたたみスタンドアダプタは、見た目や発想の面白さの裏で、本来のUSBケーブルが持つ性能を静かに削ぎ落としてしまう存在でもあった。USB Type-Cは「つながる」ことと「本来の性能で使える」ことが別物である典型例と言えるだろう。
それでもなお、この小さなガジェットには人を惹きつける魅力がある。だからこそ筆者は、こうした製品を頭ごなしに否定するのではなく、「何が起きているのか」を知ったうえで楽しむ余裕を持ちたいと思うのである。

今回の衝動買い
・アイテム:240W スタンドアダプター Type C to Type C 折りたたみ式スタンド
・購入:temu
・価格:352円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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