AI利用に合わせてGPU、ネットワーク、電力までを全体最適化
NTT、AIインフラ構想「AIOWN(AI×IOWN)」を発表 国内データセンター総容量は3倍超の「1ギガワット」へ
2026年04月30日 11時30分更新
トヨタ自動車と進める分散型計算基盤の構築
ここからは、実際にNTTグループのAIインフラでAIの実装を目指す、トヨタ自動車と中国電力の対談を紹介する。
まずは、トヨタ自動車と進める分散型計算基盤の構築について、トヨタ自動車のデジタル情報通信本部長である山本圭司氏とNTTデータの代表取締役社長である鈴木正範氏が語った。
両社は、コネクティッドカーやスマートシティでの協業を経て、2024年より「モビリティAI基盤」の構築に着手している。これは、人・車・インフラを三位一体でつなぐ、交通事故のないモビリティ社会の実現を目指すための基盤だ。NTTデータグループは、この取り組みにおける分散計算基盤の構築で連携しており、分散するコンピューティングをIOWN APNでつなぎ、大量データをAI活用するための仕組みを整備している。
対談では、このモビリティAI基盤における2つの実証実験が紹介された。ひとつは、トヨタ自動車の東富士研究所とNTTの武蔵野研究開発センターをIOWN APNで結び、遠隔から車を運転するという実証だ。結果、ストレスなく運転できることが確認できたという。
もうひとつが、事故の多い交差点にセンサーやカメラを設置してデジタルツイン化し、危険をあらかじめ察知する実証で、こちらも成果が得られている。「IOWNと分散型計算資源のポテンシャルを感じられた」と山本氏。
山本氏は、AIインフラの整備によって日本の製造業が、現場のデータを活用する「フィジカルAI」で大きなチャンスが掴めると強調する。例えば、デジタルツインを構築できれば、人とロボットが協調する工場も視野に入ってくる。
ただ、トヨタ自動車を含む多くの既存工場はレガシーなままで、ゼロから作り直すのは現実的ではない。そこで、設備やライン単位でデジタル化を進め、それらを繋ぎ合わせることで、日本全体でデジタルツインを構築する ―― こうした未来の必要性を山本氏は強調した。
一方で、その実現のためには、スケーラビリティと柔軟性を兼ね備えたAIインフラが不可欠である。加えて、工場の複雑化したネットワークを整備しつつ、コンピューティングと共に拡張させていくには、「SDN(Software-Defined Networking)」が技術的に有効になるという。
こうした要件に対して、NTTデータの鈴木氏は、AIOWNを中核とした次世代インフラ基盤「Next-Gen Infrastructure」において、主権性や効率性、接続性、セキュリティなどを兼ね備えたマネージドサービスを提供することで、顧客ニーズに応えていく方針を語った。
中国電力と進めるコア業務での生成AI活用
続いては、中国電力の執行役員 デジタルイノベーション本部長である鎌倉仁士氏とNTTドコモビジネスの代表取締役社長 社長執行役員 CEOである小島克重氏による対談だ。
中国電力では、NTTドコモビジネスと共同で、「tsuzumi 2」を利用した電力業務特化型AIの検証を進めている。
電力会社らしいユースケースとして紹介されたのが、「水力発電所の発電計画」への活用だ。これは、気象予測から水の流入量をAIが予測し、市場価格や電力需要と組み合わせて最適な発電計画を策定するものだ。
もうひとつは、「火力発電所の燃料運用」だ。こちらは、運転データをAIに学習させ、複数の石炭の品種から燃料にする最適なブレンドのパターンを提案。さらに、在庫情報や石炭船の入港計画などから燃料運用の計画も最適化する。
こうした発電所の「コアな業務」でAIを適用する際、懸念となるのがセキュリティだ。このような需要に対して、tsuzumi 2では、データの所在や管理権限を企業側で保持できる「ソブリン性の高さ」で応えている。
加えて、AI活用が現場にも広がると、拠点間を横断してセキュリティを担保する仕組みも求められる。これに対し、NTTドコモビジネスの小島氏は、「通信で脅威を防ぐ」ことの重要性を強調する。
「我々のNaaSは、様々なデバイスが自律的に通信をする中で、ネットワーク自身にセキュリティを実装している。これにより分散環境でも一貫したセキュリティが担保できる」(小島氏)
また、鎌倉氏は、電力会社の視点として、「社会全体でAI活用が進むことは、業務効率化の範疇にとどまらず、インフラである電力そのものに影響を与える」と語る。そして、「再生エネルギーの有効活用や用地確保、リスク分散などを考えると、地方分散型で広がり、現場の近くにデータセンターが配置されることは合理的な方向性」と指摘した。
そして、コンピューティングやネットワークだけではなく、電力も含めてAIインフラ全体で最適化していくことが、「持続可能な社会の実現に向けたさらなる一歩となる」と締めくくった。
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