なぜ6年間、犬版が出なかったのか。飼猫6万匹のデータ所有企業が満を持して出した“犬用”「うちの子」の首輪
猫向けデバイス「Catlog」のデータ基盤を武器に、ドッグヘルスケア市場へ
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可愛いうちの子には、ちゃんと似合うものをつけたい
首輪のデザインも、猫用とはまったく条件が違う。犬種による体格差は想像以上に大きい。2kgのチワワから20kgを超えるゴールデンレトリバーまで対応するため、サイズはS/M/L/LLの4展開となった。
こだわったのが強度の設計だ。猫向け首輪は、あえて外れやすい設計にして安全を担保している。万が一引っかかったときに外れることが重要だからだ。しかし犬の場合、「一定の力で外れる」設計では、すぐに噛み壊してしまう可能性がある。
そこでPawlinqでは外れにくいバックルを採用。噛んだ場合でも部品が飛び散らないよう、首輪内部にポケットを設け、デバイスを収納する構造にした。雨の日の散歩も想定し、デバイスはIPX4相当の生活防水性を備えている。
「ベルトはぎりぎりまで、安全性とおしゃれの両方にこだわりました。お散歩に行くと、みんな見ているんですよね。『あの子、可愛い首輪つけてる』って。そういう目線があるからこそ、“ダサいものは可愛いうちの子につけたくない”と思われたくなかった。あとは軽さ。負担にならないことも含めて、全部を両立させるのがポイントでした」
軽さ、強度、デザイン。相反しがちな要素をどう両立させるか。かわいさの裏側には、想像以上に地道な試行錯誤が積み重なっている。
ペットテックで生き残れるのは、おそらく1社
Pawlinqの開発にあたり、2025年5月からモニター数百頭のデータを用いてAIのチューニングを行った。猫で培った解析基盤を活かしながら、犬特有の行動モデルを新たに構築している。
市場には類似製品も現れ始めているが、伊豫氏は冷静だ。「ペットテックで生き残れるのは、おそらく1社だと思っています。グローバル含めて、そのポジションに今一番近い立場にいると考えています」
その根拠となるのが、Catlogによる6万匹・160億件というデータの蓄積だ。継続的に集まる実データは、検知精度を高め、アップデートの速度を上げ、新機能の開発を支える基盤になる。後発が同じ精度に到達するには、同じだけの時間と検証の積み重ねが必要だ。
Catlogのデータはすでに、ストレススコア機能や乳酸菌サプリメントの開発、オンライン診療との連携といった周辺事業へと広がってきた。データは単なる裏側の資産ではなく、次の価値を生み出す起点になっている。Pawlinqも同様に、犬のデータを積み上げながら、将来的なヘルスケア展開を視野に入れる。
価値のないものは出さない。その姿勢のまま、世界へ
Catlogはすでに日本、米国、オーストラリアで展開している。Pawlinqも夏ごろまでには米国での販売開始を目指す。同社は、JETROの「新輸出大国コンソーシアム」による海外展開支援の対象企業にも採択されており、ヨーロッパへの展開も視野に入れている。
外部資本が入るスタートアップとして、成長は求められる。それでも伊豫氏は、「価値のないものは出さない」と言い切る。
「猫様やワンちゃんにとって不利益なもの、価値のないものを出すのは、RABOの信条ともずれます。1匹でも多くの猫様、ワンちゃんたちにCatlogシリーズとPawlinqを使っていただき、飼い主さんと1分1秒でも長く一緒にいられる世界をつくっていきたい。その結果として企業としての価値が高まることが重要だと思っています」
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