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もはやインフラレベルのサービス「GO」 改めて可用性とセキュリティに向き合う
2026年04月21日 09時00分更新
止まったらニュースになるかも もはやインフラにレベルに近づく
「GO」のサービス開発においては、さまざまなユーザーニーズへの迅速な対応、移動サービスで重要な安心・安全を重視しており、最終的には「公共交通であるタクシーを支えるインフラサービス」になることを見据えているという。
「インフラサービスになると、特にサービスを止めないことが重要になると考えている」と語る惠良氏。計画的なメンテナンスであっても利用者の移動に影響を与えないことが重要になるし、まして通勤時間でのサービスダウンは許されない。サービスが止まると、利用者のみならず、タクシー事業者の売上も毀損してしまう。「止まったらニュースになってしまうかもしれない。だから、インフラサービスとしての責任を強く意識してる」と惠良氏は語る。
こうした背景があるため、サービスの可用性はつねに大きな課題だという。「GO」は多くのプロダクトによって構成された複雑なシステムとなっており、フロントエンドを持つプログラムだけで17以上、バックエンドを構成するマイクロサービスは100以上に及ぶ。それに加え、事業統合した歴史的な経緯から、利用しているクラウドがAWSとGoogle Cloudにまたがっているという事情がある。「これは冗長化ではなく、単純に2つ使っているという状態なので、SLAがかけ算で悪くなってしまう」と惠良氏は語る。
さらにSMS送信、プッシュ通知、VoIP通話、メール送信、決済、ルートやPOI検索などで各種SaaSに依存している。「自社サービスは自分たちでなんとかなるが、クラウドやSaaSの障害は自分たちでどうしようもないので、それを前提としたシステム構築がもっかの課題」と惠良氏は語る。
可用性とともに大きな課題になるのが、やはりサイバーセキュリティの課題だ。「最近はAIフル活用で攻撃してくる。少しでも穴が見つかったら、即攻撃してくる状況が生まれている」とのことで脆弱性への対応はスピーディに行なっているという。「脆弱性が見つかって、2日後に即攻撃が来たという実績もあるので、急ぎでやらなければならない」と惠良氏は指摘する。
改めて可用性とセキュリティを重視 「移動で人を幸せに。」を目指す
前者のスケーラビリティに関しては、バックエンドのシステムを大きくリアーキテクトし、必要なレベルで多重化を実施することでサービスの可用性を向上させる。具体的には機能が分散しただけのマルチクラウド構成を整理しつつ、マルチリージョン化を進めて可用性を向上させるという。また、SaaSの多重化を進めつつ、依存度を低減するための内製化も進めて行く。
とはいえ、すべての可用性を上げていくのは難しい。そのため「なにを死守すべきかをしっかり定義し、集中的に可用性を上げていく。適切なラインを見極めながら、アーキテクチャレベルで可用性向上への対策をどんどん適用する」(惠良氏)という。
一方で、従来からの「GO」の機能開発は並行して行なわなければならない。「新しい機能もどんどん足していくが、ベースのアーキテクチャも変えていく。かなりチャレンジングだが、インフラサービスとして挑戦しなければならない」と惠良氏は覚悟を語る。
サイバーセキュリティに関しては、サービスとITインフラの両面で対応を行なう。アプリケーションの実装に加え、インフラでのセキュリティ強化が重要になるため、CSPM(Cloud Security Posture Management)の導入によるリスクの可視化を進めている。「脆弱性をシステムで検知し、素早く対応することで、攻撃につけいる隙を与えないようにする」(惠良氏)。
また、ITシステムに関しては、「運用時に自ら穴を開けるのが一番良くない」(惠良氏)とのことで、運用ポリシーの強化と徹底に注力する。「セキュリティは終わりがない。サービスを継続する限り、フォーカスし続ける」と惠良氏は語る。事業スピードを最優先にするフェーズから抜けた現在のGOは、改めてセキュリティを重要視。「移動で人を幸せに。」を実現する安全・安定したサービスの運用を目指すという。
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