関西スタートアップの熱量が集まる「JAM BASE」 、加速する投資と共創
提供: 一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター
JR大阪駅北側の再開発エリア、グラングリーン大阪北館がオープンから1年半、南館が1年を迎え、その中核施設のイノベーション拠点「JAM BASE(ジャムベース)」にて、2026年3月19日、『KANSAI STARTUP JAM』が開催された。参加者の「直接対話」に特化したマッチングイベントは、スタートアップと投資家、大企業らが集結し、参加者数が200名を超える規模となった。会場は活気に溢れ、関西のスタートアップエコシステムが「巨大なムーブメント」となり、新たな挑戦へと向かう重要拠点へと成長したことが伝わる象徴的な一夜となった。
ネットワークに特化し、関西から「シリコンバレー流」のミートアップを体現
関西地区を中心に日本全国からベンチャーキャピタル(VC)、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のキャピタリストが集う、スタートアップと投資家のネットワーキングイベント『KANSAI STARTUP JAM』。ピッチやパネルディスカッションなどは設けず、ひたすらネットワーキングに特化している点が特徴だ。参加者がフラットに交流することで密度の高い関係を構築でき、資金調達や事業連携のきっかけが生まれる場となっている。
関西ならではのアットホーム感にあふれるイベントは、参加者同士がお互いに出会った先を紹介しあうといった、次々とネットワークをつなげるという点では、人的交流を重視するシリコンバレースタートアップエコシステムのミートアップスタイルに近いものがある。実際に参加した、弊誌編集者も輪の中で次々と人を紹介してもらった。
こうしたコミュニケーションの場を築くことができたのは、会場のJAM BASEという存在も大きい。JAM BASEと名が付く施設はグラングリーン大阪全体に点在するが、メインとなる北館には1階から9階に会員制交流スペース、コワーキングスペース、オフィスなどイノベーション活動の中心となる施設が集積している。中でも本イベントの会場となった「Syn-SALON(シンサロン)」は、うめきた公園に面する4層の吹抜け空間を有する新たな価値の共創を目指す会員制交流スペースとなっており、毎日のようにさまざまなイベントが催されている。
さらに、同じ建物の中に登記可能な全席フリーアドレスのコワーキングスペース「JAM-DESK(ジャムデスク)」と、約26平米〜約70平米の幅広いラインアップをそろえた92区画のレンタルオフィス「JAM-STUDIO(ジャムスタジオ)」があり、スタートアップやVC、大学の研究機関などが入居している。入居者や会員にとっても『KANSAI STARTUP JAM』は、新しいビジネスや情報交流を生み出す貴重な機会となっており、イベントをきっかけにJAM BASE内に関西拠点を設けたという話もある。
金融とテクノロジーが交差、入居のしやすさがイノベーションにつながる
銀行関連の支援拠点が複数入居しており、三井住友銀行が運営するスタートアップ支援・共創拠点「HOOPSLINK KANSAI」をはじめ、2025年4月にはSBIホールディングスがフィンテック関連の拠点として「SBI FinTech Center OSAKA」を設立し、2026年3月にはりそな銀行が「BreaQ point Osaka(ブレイクポイント オオサカ)」をオープンした。今後はそうした拠点との連携もイベントを通じて深まることが期待されているところだ。
今回はイベントとあわせて館内ツアーも行なわれ、充実した施設とサービス内容が紹介された。ちなみに会費は個人と法人で登録が可能。シンサロンが月額1.1万円(税込)、ジャムデスクは月額5.5万円(税込)という金額で提供しており、取材時点でジャムデスクはすでに満席となっている。
さらにコミュニケーションの活性剤として、JAM BASEの会員で、大阪・関西万博のドローンショーを成功させたことで知られるレッドクリフによる、室内でのライトドローンショーが披露されたほか、オープンソースのシミュレーション基盤を開発する箱庭ラボによる没入型ミニチュアワールドのVR体験も行なわれた。
垣根を越えた場へ、参加者たちが語る「JAM BASE」への期待と熱量
会場には多様なプレイヤーが集い、活発な交流が行なわれていた 。ここでは、実際にイベントに参加した各氏のコメントを紹介する。ホスト役を務めるのは、オリックス不動産株式会社 投資開発事業本部 大阪営業部 うめきた開発推進室の窪庭潤氏、Dawn Capitalの池田龍之介氏、株式会社NANKAI(2026年4月1日南海電気鉄道株式会社より社名変更)の粉川純一氏の3名だ。Dawn Capitalはオールジャンル、マルチステージのスタートアップ投資と支援を行なっており、運営するメディアコミュニティ「Startup Calendar(スタートアップカレンダー)」のSlackコミュニティには2300名以上が参加している。NANKAIは2025年1月にCVCを子会社で設立するなど、スタートアップ投資に力を入れている。
JAM BASEの窪庭氏は本イベントについて「JAM BASEではたくさんのイベントが頻繁に開催されていますが、今回の『KANSAI STARTUP JAM』は非常に参加率が高く、イベントに対する期待値の高さでもあると感じています。全国から関係者が数多く集まり、ターゲットとしているVCやCVC、事業会社の方、そしてスタートアップの方にもバランスよくご参加いただけました。特に関西はスタートアップに対する投資意欲が増していますし、イベントやJAM BASEでの接点をきっかけに調達ができたという話もお聞きしています。ネットワーキングの質を高めることがチャンスにつながりますので、今後も共創が生まれる施設にしていきたいですね」とコメントした。
ここからは参加者のコメントを紹介する。まず、投資や共創の要となる大企業系プレイヤーの視点だ。
パナソニック株式会社CVC共創課の西口裕貴氏は、2022年7月に総額80億円規模のCVCファンド「パナソニックくらしビジョナリーファンド」を設立し、ウェルビーイング分野などのスタートアップへ投資している。西口氏は、「情報収集のためにいろいろなミートアップイベントに参加していますが、関西でスタートアップ関係者がこれだけ集まるイベントはここぐらいではないでしょうか」と会場の熱量に驚きを見せる。「スタートアップとの出会いもさることながら、VC関連の情報収集としても充実しているので、事業に役立てるという目的でも参加する意義があると感じています」と、多角的なメリットを語った。
同様に、ネットワークの広がりを重視する大手製薬企業の担当者は、ヘルスケア分野を中心に分野を問わず投資を検討しているが、どうしても本業に近いコミュニティに偏りがちだという悩みがあった。「それ以外にもネットワークを広げたくて参加しています。交流がメインというだけあって、垣根を越えたつながりができますし、さまざまな意見が聞けるので刺激になります。先ほどバイオマスエネルギーのスタートアップの方と話ができて、これから何かつながりができないか考えているところです」と、新たなチャレンジ、連携への手応えを口にした。
関西の空白地点を埋めた、出会いとネットワークの場に
一方で、独立系VCやスタートアップ側からも、この場が持つポテンシャルに期待が寄せられている。
ディープテック系への投資を強化しているUntroD Capital Japan株式会社の後利彦氏は、関西を「注目すべきスタートアップがありそうなのに、なぜか空白地帯だった」と分析する。今回の参加は関西オフィス立ち上げに伴う下見も兼ねているとのことで、「何よりも地域のネットワークづくりは大事ですし、出会いを広げるという点で魅力があるJAM BASEを拠点の候補として検討しています。立地や設備もさることながら、入居者同士やそこに集まる方たちとの交流も期待できる場だと感じています」と、拠点としての魅力を高く評価した。
また、大阪大学発スタートアップである株式会社イムノセンスの辻井義貴氏も、このイベントの独自性を支持するひとりだ。イムノセンスは免疫反応と電気化学反応を組み合わせた独自の免疫測定技術「GLEIA法」を活用した小型のデバイスを開発している。独自の免疫測定技術を開発する同社にとって、純粋に交流できる場は貴重だという。「ピッチやビジネスマッチングのようなイベントも参加してきましたが、純粋に交流だけできる場というのはなかなか少なく、『KANSAI STARTUP JAM』はまさしく求めることをストレートにやっている企画だと感じています」と辻井氏は語る。
「我々の製品は技術を説明するのが難しいのですが、こうして実際にデバイスを見ていただきながら直接話ができ、関心を持たれる確率がとても高いです。普段なかなか行けない東京の方にもここではたくさん会えました」と、リアルな対面ならではの成果を強調した。
JAM BASEは立地の良さもあり、さまざまな商業施設やオフィスが隣接していることから、関西でも注目の拠点として認知度が高まっている。海外からの参加者も増えており、ここを起点に躍進するスタートアップや新規事業がどれだけ出てくるのか、今後の展開が楽しみである。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります







































