金属ゴミが高く売れる国・日本。リサイクル現場はここまで進んでいた
売れる金属ゴミ。その裏にある「資源」の話
春は新生活が始まる季節。不燃ごみや粗大ごみを処分する機会も増える。捨てるときに検討したいのが、リサイクルだ。鉄やアルミでできたものは、意外と売れる。古い鍋やフライパンもスクラップ業者に持ち込めば買い取ってもらえて、ちょっとしたおこづかいになったりする。同じモノでも、「出し方」でゴミにも資源にもなるわけだ。
ところで金属ゴミが高く売れる背景には、ここ数年の地政学リスクの高まりがある。日本は鉄鉱石などの金属資源の多くを海外に依存しており、2024年の金属の輸入額は世界2位(参考)。資源価格は国際情勢の影響を受けやすく、供給が不安定になる局面では、国内にあるスクラップの価値も相対的に上がる。金属スクラップは、いまや重要な「資源」であり、日本の金属リサイクルは、買取価格の高さや品質の面でも世界トップクラスとされている。
スクラップの中身を見抜く「鉄ナビ検収AI」
ただし、この資源は扱いが難しい。回収されたスクラップにはさまざまな異物が混ざっており、そのまま電炉で溶かすと、爆発事故や品質低下の原因になることもある。
求められるのは、スクラップの「中身を見抜く」技術だ。東京大学発スタートアップの株式会社EVERSTEELが開発する「鉄ナビ検収AI」は、画像診断AIによってスクラップの品質や異物を判定するシステムである。
カメラやセンサーで取得したデータをもとに、鉄の純度や混入している非鉄金属、危険物の可能性などを解析し、「このまま溶かしていいか」を事前に判断する。検収の精度が上がれば、安全性と品質が一気に底上げされる。中身が分からないまま溶かすリスクが減り、安定した鉄が作りやすくなる。
リサイクルは脱炭素にも効いてくる
そして、この話は脱炭素の文脈でも効いてくる。そもそも鉄の作り方には、大きく2つの方法がある。鉄鉱石とコークスを使って新しく鉄を作る「高炉法」と、スクラップを溶かして再利用する「電炉法」だ。電炉法は、高炉法と比べてCO2排出量を約70%抑えられるとされており、鉄の再利用をどれだけ増やせるかで、どれだけCO2を減らせるかが変わってくる。
その前提になるのが「ちゃんと選別されたスクラップ」だ。中身が分からない、品質がばらつく状態では、品質のいい鉄を安定してつくれない。だからこそ、スクラップを“可視化”する技術が求められているのだ。
EVERSTEELの「鉄ナビ検収AI」は、すでに電炉メーカーや鉄鋼メーカーへの導入が進み始めているようだ。電炉メーカーの共英製鋼では、基幹システムと連携し、検収の効率化と客観性の向上に使われているという。
現場ではAIと物理技術の合わせ技
ちなみに電炉メーカーの現場では、「鉄ナビ検収AI」以外にも、磁石やX線で鉄とそれ以外を分けたり、比重の違いでエアーを使って選別したり、ロボットアームでピックアップしたりと、さまざまな技術を組み合わせて効率化を図っているという。
こうして徐々に精度が高まり、いずれはリサイクル金属が主流になっていくのだろう。いらなくなっても売れると思えば、買い物も気持ちよくできそうだ。
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