「日本は欧州よりポテンシャルがある」仏VCトップも期待するディープテック大国への道
Global Startup EXPO 2025レポート
国際的VCが日本への投資や拠点進出を発表
会場内にはピッチイベントを含む4つのステージが設けられ、約130名ものスピーカーが登壇した。37あるセッションは投資やエコシステムに関するものが目立ち、海外との連携や支援を集めるために何が必要かといった意見が交わされた。
「グローバル投資家と解き明かす: 日本のテックスタートアップの秘めた成長ポテンシャル」と題したセッションでは、日本拠点進出を2024年発表した仏VCのJolt Capitalが登壇し、CEOのJean Schmitt 氏は「日本はヨーロッパに比べてポテンシャルがあるハードウェア分野に投資が不足している。特許数も相当あり投資家にとってポテンシャルがあり、私たちはすでに拠点を持ち複数の投資も始めている。まもなくグロースステージで初めての連携が発表できるだろう」と述べた。
同じセッションに登壇した英AtomicoのLuca Eisenstecken氏は「過去5年間日本に注目してきたが、海外展開を目指して100億円から200億円規模のIPOを目指すような野心的な会社も増え、実際にやりきると期待している」とコメントし、海外から日本市場が変化しつつあると見られていることが伺えた。
他にも、個人投資家に門戸を広げ、ファンドの民主化を進める米Alumni Ventures(アルムナイ・ベンチャーズ)は、「海外トップVCがコミットを決めたフロンティア:日本エコシステムのこれまでと未来」の中で、日本で1億ドル(約150億円)のファンドを立ち上げ、日米の優秀なテック企業へ投資すると発表。CEOのMichel Collins 氏は、「東京に拠点を設けてフルタイムのスタッフを置き、「個人投資家のネットワーク構築にも注力する」と述べた。
地域との連携についても取り上げられ、「関西での海外スタートアップエコシステムとの連携による地球規模の課題解決の推進」と題したセッションでは、日本初の科学領事館である在大阪スイス領事館(Swissnex Japan/スイスネックス・ジャパン)と在大阪オランダ王国総領事の代表らが登壇し、活動内容が紹介された。
日本と海外で相互に橋渡し役をする彼らは、国際化に向けて様々な支援プログラムを提供しており、もっと活用してほしいと話す。日本は世界で4番目の市場を持ちながら、既存のルールにとらわれて自ら参入を難しくしているとも指摘する。そうした中で関西は世界に通用する産業基盤があり、比較的コミュニケーションがしやすく、大阪、京都、神戸からその周辺にまで広がるユニークなスタートアップエコシステムが形成されていることから、「世界へ飛び出せる可能性は高い」という意見が聞かれた。
ノーベル賞で注目される量子技術やAIのビジネス化を議論
技術的なテーマでは、ライフサイエンスをはじめ、気候テックやフードテック、量子技術や核融合などが注目すべき分野として取り上げられた。
2020年に「量子技術イノベーション戦略」が発表され、国策となった量子技術については複数セッションがあり、その一つ「量子技術の進展により台頭する新たなビジネス」では、技術と投資の専門家が事業化の課題について意見が交わされた。日本でも商用化に向けたいろいろな動きがあるが、2022年5月から一般社団法人として活動を開始したQ-STAR(Quantum STrategic industry Alliance for Revolution/量子技術による新産業創出協議会)は、2025年8月の時点で会員数は127社と、自社製品やサービスを世界も含めビジネス化を支援していることなどが紹介された。
もう一つ「量子の飛躍 ― 研究から実社会への応用へ」では、量子コンピュータの社会実装とグローバルビジネス化を目指す、Q-CTRL、クオンティニュアム、Yaqumo、そして産総研の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)の各代表が登壇し、急速に発展する業界について現状と今後について語った。
興味深いのは、基礎研究はまだ確立されていないがビジネスとして動きはじめており、Q-CTRLはすでに利益を出しているという。通常はハードとソフトのいずれかに力を入れているが、日本では両方で開発が進められており、Q-CTRLは登場するハードウェアにあわせて既存のソフトウェア開発を応用できるような方向で開発を進めているという。いずれにしてもハードウェアは必須であり、その部品や製造技術を開発できることが日本の強みになるかもしれないという意見も出された。
AIも複数セッションが行なわれ、その一つ「AIスタートアップ:投資・グローバルGTMの新戦略」と題したセッションでは、Salesforce/セールスフォースやOpen AIの投資担当者が登壇し、どのような観点から投資を決めているのか、どういうものを開発してほしいか、次に見ているのはどこなのかといった具体的な意見が交わされた。
投資のポイントとして挙げられたのが、AIは様々な制約や規制も整っていないため、地域や特定分野で使えるサービスとして確立されている、あるいはローカルで使えるのが大事だという。サカナAI に投資する米NEA(New Enterprise Associates)のAndrew Schoen氏も、「日本で独立したプレイヤーになれる可能性があることが投資の決め手になった」とし、「次々変革する技術に対し、情熱を持って世界をより良く変えていこうとする会社に社会は惹きつけられるのではないか」と述べた。
米NEA(New Enterprise Associates)のAndrew Schoen氏はメディアセッションにも参加し「半世紀近くテック分野に投資してきた経験から、技術面だけでなく多角的視点で支援を行っていく」と述べた。






























