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肉食ナベコの「なんでも食べてみる」 第1096回

スチームコンベクションオーブンを導入

いきなりステーキに革新! 新店舗は「焼き台なし」で“人に頼らない焼き”へ

2025年12月24日 11時55分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

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「肉~!」と言えば。あの“いきステ”が変わる!

 ごきげんよう、アスキーグルメのナベコです。みなさん「いきなり!ステーキ」を利用したことはありますか? ひとりでもサッと気軽にステーキを食べられるお店の代表格ですよね。そんな“いきステ”が、新たな一歩を踏み出します。

「いきなり!ステーキ」次世代型店舗を神田北口にオープン

 ペッパーフードサービスは、「いきなり!ステーキ」の次世代型店舗「いきなり!ステーキ 神田北口店」(東京都千代田区)を、12月24日にグランドオープンします。

「いきなり!ステーキ 神田北口店」が12月24日にオープン

 新店舗では、従来の品質や提供メニューの価格はそのままに、店舗イメージを刷新。内装にこだわり、ひとり客からグループ、家族連れまで、ゆったりと食事を楽しめるモダンで開放的な空間を演出し、幅広いシーンでの来店を促します。

 また設備面でも従来の店舗では、標準装備であった「焼き台(チャコールブロイラー)」を排し、新しくスチームコンベクションオーブンを設置し、“焼き”の標準化を目指します。

従来とは、お店の雰囲気と設備を一新

立ち食いステーキからスタート 店舗数は一時期より激減

 発表会では、ペッパーフードサービスの一ノ瀬健作代表取締役社長により、いきなり!ステーキの歩みが語られました。

 いきなり!ステーキは2013年12月、銀座に開業した1号店からスタートしました。「誰でも気軽にステーキを食べられるように」をコンセプトに、前菜などを排し、オーダーカットの厚切りステーキを“いきなり”楽しめる業態として注目を集め、外食業界に大きなインパクトを与えました。一時は全国で約500店舗まで規模を拡大しています。

 一方で、2019年以降は過剰出店などを背景に店舗数が減少。現在は、今回オープンする神田北口店を含め、170店舗規模となっています。

一時期は全国に500店舗ほど出店

 とはいえ、ブランド始動当初から牛肉の品質にこだわり、最近だと1カ月以上のやや長めのスパンで限定メニューキャンペーンを実施するなど、変わらないステーキ体験を提供してきた強みがあります。

 また、会社全体としては、いきなり!ステーキ事業に加え、別業態のレストラン事業や商品販売事業を軸に、海外展開を進めるほか、デリバリー特化型店舗の開発にも取り組むなどして財務を安定化させています。今後は土台を固めながら、ゆるやかな出店を目指すとのこと。

 変遷を重ねながらも、時代の流れに合わせて“いま”のお客さんに向き合ってきたといういきなり!ステーキ。例えば、創業時は立ち食い形式とすることで高い回転率を目指していましたが、利用者のニーズに対応し、現在は多くの店舗で椅子席を導入しています。

 そんな、いきなり!ステーキが掲げる「次世代型店舗」で設備を変更するのには、理由があります。

従来の「焼き台」からスチームコンベクションの採用へ
人の技術に頼らないステーキ調理を可能に

 従来のいきなり!ステーキでは、肉を焼く「焼き台(チャコールブロイラー)」に強いこだわりがあり、焼き台内部に“桜島の溶岩”を入れることで、遠赤外線効果によって肉をカリッとジューシーに焼き上げるスタイルを、全店舗共通で採用していました。

 しかし新店舗では、この焼き台を排し、「スチームコンベクションオーブン」を導入します。発表会では、一ノ瀬社長が次のように語りました。

「(従来の焼き台では)肉を焼くスタッフの技術によって仕上がりにムラが出てしまい、『A店舗ではおいしかったけれど、B店舗ではそうではなかった』といった口コミを見かけることがありました」

ペッパーフードサービス 一ノ瀬健作代表取締役社長

 一ノ瀬社長によると、チャコールブロイラーは、1枚の肉を焼くたびに温度が下がり、再び温度を上げるまでに時間がかかる点が課題だったといいます。これがピークタイムと重なると、温度が十分に戻らない状態で調理してしまうケースも起こり得たとのこと。温度計やタイマーによる管理は行っていたものの、最終的にはスタッフ一人ひとりの感覚に頼る部分も大きかったそうです。

 こうした課題を解決する手段として、新たに導入するのがスチームコンベクションオーブンです。

 最大の利点は、「260℃の温度を常に安定して保てること」。下処理の段階で肉の厚みをそろえれば、あとは焼成時間を管理するだけで、品質の安定したステーキを焼き上げることが可能になります。1食あたりの焼成時間は3~4分と、効率よく調理できる点も特徴です。

「CHEFTOP(シェフトップ)」のスチームコンベクションオーブンを採用。一度肉を取り出しても庫内温度が下がりにくく、短時間で設定温度に復帰でき、260℃を安定して保てるといいます。

 「人手不足の影響で、従業員の入れ替わりが激しい飲食業界では、せっかく技術を習得しても、また新しい人に一から教育しなければならないという課題があります」「(スチームコンベクションの導入によって)教育にかかる時間を大幅に削減でき、機械の扱いを理解してもらえれば、きれいな焼き目のステーキを安定して提供できるようになります」と、一ノ瀬社長は語りました。

新規開拓を目指して
くつろげるいきなり!ステーキへ

神田北口店のオープンに合わせ、豪州産「骨付きリブロース」も登場

骨付き1枚550gで、価格は6800円。塊肉を焼いているので、しっとりやわらかでジューシー。お肉そのものの甘さも感じられてめっちゃおいしかったです。シェアして楽しむのもよさそうです!

 発表会では、来店客の動向の変化についても言及がありました。

 客単価は2000円台と大きくは変わっていないものの、肉の量は、かつて300g台が主流だったところから、現在は200g台へと減少しているそうです。価格改定の影響もあり、グラム数を控える傾向が強まるなか、創業当初から掲げてきた「厚切り肉を楽しんでほしい」という思いの実現には、難しさも出てきている状況だといいます。そうした背景も踏まえ、次世代型店舗のオープンによって、新規の客層への期待が感じられました。

 なお、既存店舗が今後この新コンセプトに切り替わるのかについては、一ノ瀬代表は「焼き台を排したことで、どのようなお客様の反応があるのかを確認していきたい」と話しており、現時点では今後の展開は未定としています。

ガラス越しに厨房が一部見える「セミオープンキッチン」

 次世代型店舗は、従来店舗よりもカウンター席を広々とした設計とし、ボックス席も設けています。夜は肉バルとして、複数人でも利用しやすい雰囲気です。また、セミオープンキッチンを採用し、調理の様子を一部見せつつも、煙が客席に流れにくい構造とすることで、清潔感と落ち着きを両立。そのあたりも既存店とは異なるポイントです。

天然木を使用した、高級感がありつつ落ち着く内装で、天井が高く、ゆったりくつろげる雰囲気

 個人的には、店舗ごとの焼き上がりの違いも魅力のひとつだと感じていたため、焼き台がなくなったことに少し寂しさもありますが、よりおいしさを安定して提供しようとする姿勢には共感できます。今後の展開にも期待したいところです。

 神田北口店は、お酒を飲みたい時にも使いやすそうなので、神田に立ち寄った際には、肉と酒を求めて足を運びたいと思いました。以上、ナベコでした!


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店舗名 :いきなり!ステーキ神田北口店
所在地 :〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1丁目34−3
開店日 :2025年12月24日(水)
営業時間 :11:00~23:00(予定)

※記事中の価格は税込み

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ナベコ

アスキーグルメの酒好きご飯好きの記者・編集者。人生酸いも甘いも。七味唐辛子は薬研堀を愛用。
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