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12月20日(土)開催! 「TOKYO Gaming-PC STREET 6」情報まとめ 第4回

アキバに初めて行ったときの思い出──小学生、「秋葉原ラジオストアー」でひたすら困惑する

2025年12月07日 12時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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祖父が連れていってくれたのだけれども

 ASCII編集部にいる人間として、仕事でも私生活でも、秋葉原に行った回数は数え切れません。それでは秋葉原に初めて行ったのはいつかというと、小学生の頃のはず、です。何歳のときか、はっきりと覚えていないんですよね。

 なぜ、行ったのか。それもあやふやなんですよ。ただ、祖父が連れていってくれたことだけは覚えています。まだWindows 95などが出る前で、祖父の家にPCがあった記憶もない。孫にゲームを買い与えるために連れていってくれたのかなあ……。

遠くから眺めてみても、秋葉原の一帯は独特のオーラを放っているように思います

 電車を降りて改札を抜けると、あまり見たことのない看板と、店の数にまずは驚きました。なんというか、子供にとって、「雑然と店舗が密集している」あの雰囲気に対する耐性がなかったんですよね。大人に連れていってもらったことがある、渋谷や銀座のような街とは明らかに違っていました。

 とはいえ、PCショップなどを外から眺めても、小学生の自分に何がわかるというわけでもありません。「知らないものがたくさん売られている」ということも、理解していたかどうか。視界に入ってはいるものの、何の店舗かは把握できずといったところでした。

さまざまなところが開発され、1年経てば風景が変わっていく秋葉原。“東京”という移り変わりの激しい都市を代表するような街です

「わけのわからないものが、
ただむちゃくちゃに置いてある」

 ただ、ひとつ、ものすごくびっくりした光景を覚えています。JR秋葉原駅の電気街口を出てすぐ、総武線高架下の「秋葉原ラジオストアー」に、祖父が連れていってくれたのですね。連れていってくれたというか、そこを一緒に歩いただけなんですが。

 これも、いま考えてみると、なぜ祖父が自分をそこに連れていったのかがわからない。他の街にはない光景ですから、それを孫に見せて驚かせたかったのかもしれませんね。

往年のラジオストアー(橋脚右)

 通路に入ると、まず、狭い。店舗というよりは縁日の屋台が並んでいるような、異様な光景。そして、ショーケースいっぱいに並ぶ電子部品が視界に入りました。今なら、抵抗、コンデンサー、トランジスタなどがそこで売られているとわかります。しかし、小学生が、初めて見るわけですから……。

 しかも、視覚的に分かりやすい分類がされているわけではなく、選ぶ側がその違いを判断する前提で棚が構成されているような売り場。初めて見る子供にとっては、「わけのわからないものが、ただむちゃくちゃに置いてある。しかも高架下で」という、サイバーパンクすぎる光景。

特に、「抵抗」の意味不明感はすごかったことを子供心に覚えています。縞模様が見えたのが、逆に「これは何に使うんだ?」という疑問を加速させたように思う

 そこを通り過ぎただけなのに、歩いている間、そして帰りの電車の中で、ずっと困惑していました。家族に連れられて、ショッピングモールなどに行ったことは何度もありますし、洋服店、釣具店(父の趣味でした)、玩具店などなど、いろいろな店舗に行った経験はありました。

 ただ、秋葉原ラジオストアーで売られていた物は……本当に、何なのかがわからなかった。まだ幼いですから、それが“部品”であることも理解できなかったんじゃないかなあ。

 その謎めいた光景の記憶が、未だに脳にしっかりと刻み込まれているのです。「これは何なんだろう……? この人たちは何を売っているのだろう……?」といった疑問で頭がいいっぱいでした

 その疑問を祖父に聞きますが、「ラジオとかを作るときに使う部品だよ」みたいな答えが返ってきたはず。まあ、子供がそれで理解できるはずもない。解けることのない疑問と困惑が、ずっと頭に残っていたと記憶しています。

 ちなみに、ASCII.jpには2002年に書かれた「【新連載・秋葉原迷宮探検レポート】ケーブル専門店、真空管専門店を直撃」という記事があります。そこから秋葉原ラジオストアーに触れた部分を抜粋しましょう。

 JR秋葉原駅電気街口周辺には、戦後の混乱期以前から自作ラジオパーツの供給源である、由緒正しい電子部品専門店の集合体が存在する。この専門店の集団は、ラジオストアー、ラジオセンター、電波会館(この3つのビルは一見境界がないので一集団に見える)、ラジオデパートと呼ばれる。現代の感覚では何とも古めかしく思える名称ではあるが、この呼び名が付いた当時はラジオがある種の憧れを伴った電気製品であったことは想像に難くない。ラジオ関係のパーツを扱う店舗が集中していたため、このような呼び名がつくのは自然の成行きであろう。

 この専門店街の「専門」度は半端なものではなく、リレースイッチ専門店や抵抗専門店など、ごく限られたカテゴリーのパーツを狭く深く取り扱う。初めてこの界隈に足を踏み入れた人ならば、1坪~2坪ほどの面積しかない、強力に専門色の濃い電子部品店が、数十店舗もひしめき合う独特の雰囲気に圧倒されるに違いない。現在のこれらの店舗は当然現代でも最先端のパーツを扱っているわけで、戦後さながらの店構えに最新の電子部品がズラリと並ぶ風景はシュールでさえある。これほど個性的で魅力的な場所に足を踏み入れずして秋葉原の真の姿を知るコトはできないだろう。

デジタルに関する興味が湧くきっかけになった……
そうだと思う、たぶん

 

つくばエクスプレス(TX)が通ったこともあり、今ではJR山手線・京浜東北線・総武線、東京メトロ日比谷線とTXの計5路線が乗り入れる都内有数の交通の要所です

 振り返ると、秋葉原ラジオストアーでのあの経験は、PC、ひいてはデジタルに関する興味が湧く間接的なきっかけになったようにも思います。

 というのも、ASCII編集部に入れば、自分の得意ジャンルだけでなく、ありとあらゆるデジタルの情報に触れることになる。専門性が高い場に駆り出されると、情報の多さに圧倒されるもの、それは、あのときの秋葉原ラジオストアーでの困惑に似ています。

 しかし、少年時代の戸惑いの中で、「世の中には、未知のものがたくさんある」「それを必要としている人たちもいる」ということを自分はおぼろげに学びました。そして、その疑問を解決したいという欲求も湧いてきた。

 編集の仕事の中で、さまざまな情報や製品に触れたとき、自分は素直にワクワクできる。その感情を形作る原体験が、あの経験だったのではないでしょうか。そして、10代、20代と、さまざまなデジタルガジェットに興味を持つことになっていき、それを仕事にしていく……。

 「秋葉原ラジオストアー」でひたすら困惑した経験の記憶こそが、今の編集生活の基礎になったのだと感じています。たぶん。

秋葉原に来たら、ASCIIのイベントへ!

 秋葉原といえばASCIIのイベント。ASCII編集部は、ゲーミングPC、BTO PCにまつわる疑問を、メーカーの担当者や専門誌の編集部員に“直接”話を聞ける催しである「TOKYO Gaming-PC STREET 6」を12月20日(土)に開催します。

 10月に開催した前回は、雨模様にも関わらず、開場から閉場まで常に会場は満員。過去最高の大盛況で、同時開催した謎解きイベントも好評でした(前回の様子はこちら!)。

 以下に、イベントの概要をざっくり紹介します。

BTO PCメーカー展示解説

※写真は2025年10月の「TOKYO Gaming-PC STREET 5」のものです

 気になること、わからないことはメーカーに直接聞くのが一番。ゲーミングBTO PCメーカーの皆様にご協力いただき、ゲーミングPCやパーツなどを展示。それぞれのこだわりや設計思想を担当者が自ら解説し、選び方などを含めて、参加者の皆様と交流する場を設けました。

 PCゲームや自作PC特集を手がけるASCII編集部の解説員も常駐しております。パーツ選びのコツや、ゲームタイトルごとの最適構成などをていねいに解説。「ゲーミングPCやゲーミングガジェットについて話したい」という人も大歓迎です。

ミニステージ

ASCII編集部員のトークから、参加いただいたメーカーのご紹介まで、さまざまな企画を用意!

 イベント中に開催する、ASCII編集部×BTO PCメーカーによるミニステージは観覧無料。タメになる話からオススメアイテムの解説まで幅広くトークする予定です。

 なお、このミニステージでは、じゃんけん大会を実施予定。ゲーミングガジェットなどのプレゼントをゲットするチャンスがあります!

来場者プレゼント

 来場者には、無料でイベント限定のノベルティをプレゼントいたします。また、ガラポンでプレゼントゲットのチャンスもありますよ。超豪華なプレゼントがもらえるかも……。

もはや恒例となった、豪華プレゼントが当たるガラポン。本当に大きいので、回すだけでもテンションが上がります!

協賛

パートナー協賛:サイコム、パソコンショップSEVEN
協賛:be quiet!、QNAP(販売代理店:株式会社ユニスター)

TOKYO Gaming-PC STREET 6 in LIFORK AKIHABARA II

■開催日時:2025年12月20日(土) 13時〜17時30分(予定)
■会場:LIFORK AKIHABARA II
 東京都千代田区外神田3-13-2 秋葉原TMOビル

会場までのアクセス

JR山手線・京浜東北線・中央総武線 秋葉原駅 電気街口より徒歩5分
東京メトロ銀座線 末広町駅 3番出口より徒歩4分

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