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お茶を飲むだけで会社のイメージが良くなる? 茶畑で回すサステナ経済

特集
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世界で広がる「抹茶ブーム」と、日本の茶畑の現実

 最近、欧米では「MATCHA ENERGY」「ZEN LATTE」など、抹茶を使った健康ドリンクが人気を集めている。ヨーロッパの高級スーパーでは「オーガニック・ジャパニーズ・マッチャ」が並び、まるでワインのように産地で選ばれているほどだ。

 一方、日本の茶産地では高齢化と後継者不足が深刻だ。儲からないからと廃業する農家も多く、静岡県内では毎年、茶畑の面積が少しずつ減り続けている。せっかく世界で脚光を浴びているのに、日本の茶畑の生産が追いつかないのは残念な話だ。

飲むだけでサステナに。企業向け「ChaaS」とは

 このギャップをビジネスでつなごうとしているのが、静岡・浜松のBlue Farm株式会社。同社の展開する「ChaaS(茶畑 as a Service)」は、“お茶”ではなく“茶畑”を企業のESG実務に直結させるサービスだ。具体的には企業が茶畑を購入し、生産者に栽培を委託する形をとる。茶畑は有機栽培を基本とし、炭素吸収やGHG削減をIoTで計測。企業側には生産したお茶とともに、可視化した環境価値をダッシュボードで提供する仕組みだ。

 企業は応接用や社内カフェの飲料を「ChaaS」のお茶に切り替えるだけで、TCFD/CDP対応の開示素材が手に入る。新たな設備投資や複雑なクレジット運用は不要だ。

 “善意のCSR”は「何をやるか分からない」「会社のメリットが見えにくい」から続かない。だが、ChaaSなら調達・ブランド・人事の延長で回せる。トレーサビリティ一元化で国産の安定供給を確保し、円安や海外サプライ混乱のヘッジにもなる。

茶畑が企業と地域をつなぐインフラに

 生産側にとっても、IoTで作業データを蓄積し、AIが栽培をサポートする仕組みが導入されるので、作業効率や品質が上がる。将来的には生産単価の向上や新規就農の受け入れ拡大にもつながりそうだ。

 Blue Farmが目指すのは、「企業が成長するほど、山間地の茶畑が守られる」という新しい産業のかたちだ。 海外で評価される日本茶の価値を、もう一度この国の経済に取り戻す。

 ちなみに、日本のスーパーなどで売られている抹茶スイーツの多くは、実は中国や台湾、東南アジア産の“抹茶モドキ”。粉砕機で粗く挽いただけの粉茶に近いものも多く、味も香りも抹茶とは別物だ。茶畑と経済が再び盛り上がれば、本物の国産抹茶が世界に広がる日も近いかもしれない。

スタートアップリーグとは?

「スタートアップリーグ」は、競い合いながらも共に成長する“競争と共創”の場を提供する支援プログラム。単発で終わらせず、継続的な伴走支援によってスタートアップの成長を後押しすることを目指し、2023年度に始動した。スポーツリーグをモデルに、世界で活躍できる日本発スタートアップの創出を後押ししている。
https://startupleague.jp/

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