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最大1000万円を柔軟に使える 民間資金で支援するインキュベーションプログラム「起動」4期が募集中

ASCII STARTUP TechDay 2025「OSAKA INNOVATION HUB」展示レポート

連載
ASCII STARTUP TechDay 2025

提供: 大阪イノベーションハブ

 2025年11月17日、「ASCII STARTUP TechDay 2025」に大阪イノベーションハブ(公益財団法人大阪産業局)がブース出展。案内されていたのは、大阪産業局が運営するインキュベーションプログラム「起動」と、関西の優れたディープテック・スタートアップのデータを公開している「DeepTech Frontier Kansai」だ。今回は、大阪産業局 スタートアップ支援事業部ディープテック支援チーム コーディネーターの江邉信太郎氏に、プログラムの狙いと注目ポイントを聞いた。

大阪産業局 スタートアップ支援事業部 ディープテック支援チーム コーディネーター 江邉信太郎氏

年間5者程度を採択、最大1000万円を参画パートナー企業の協賛により提供

「起動」は2025年で4期目となるインキュベーションプログラム。毎年100者以上が応募し、最終的に5者程度が採択される。最大の特徴は、採択者につき最大1000万円の支援金が参画パートナー企業の協賛により提供されている点だ。

 江邉氏は「この1000万円は税金ではなく、パートナー企業からの協賛金によって成立しています。だからこそ自由度が高い。創業期の『お金の壁』を一気に越えてもらうために使ってほしいと思っています」と話す。

 行政の補助金のような用途の制約がほとんどないため、プロダクト開発、採用、大学の知財独占使用権の確保、登記費用など、幅広い用途に使える。

「公的機関からの支援は重要ですが、事後精算で縛りも多い。そのため、プロダクトの試作に必要な部品を全部発注できず、一部しかつくれない……なんてことも起こってしまう。起動では先に事業資金として500万円を渡し、残り500万円は参画パートナー企業との協業やPoCに使ってもらう形にしています」(江邉氏)

 特にハードウェアの試作やバイオの実験など、時間とコストがかかるディープテック領域にとっては、使い勝手の良い仕組みだ。

「起動」公式サイトで第4期募集中

ハンズオン支援×パートナー企業との協業機会で、採択後の成長を後押し

「起動」のもう一つの柱が、6カ月間のハンズオン支援と、パートナー企業との協業機会である。創業5年以内のシード段階で大企業とPoC/協業を検討できるのは貴重だ。

「早期の接点が、その後の投資や提携に繋がっています。例えば、2期に採択した株式会社Holowayは、プログラム終了後のシリーズAの際に、パートナーであった池田泉州キャピタルから出資を受けています」

 支援期間だけで終わらず、その後も継続的な関係が続き、協業や出資に発展した例が複数生まれているという。

不採択でもチャンスあり、協業につながる「追加枠」を用意

 採択は5者程度だが、4期から不採択だったスタートアップにも協業機会を広げる新制度が導入された。パートナー企業が「気になる」応募企業と個別にマッチングの場を設け、協業の見込みがあれば追加で最大100万円の支援を行い、スモールな実証につなげる仕組みだ。

「審査で落ちたら終わり」というわけではなく、パートナー企業との接点から新たなプロジェクトが立ち上がる可能性がある。

選考フロー:書類審査→ オンライン面談 → 大阪で最終審査会

 選考は3段階。まず書類による一次審査で30者程度へ絞り込む。続いて事務局とハンズオン支援を担当するコーディネーターがオンライン面談を行い、約15者を選出。最後に大阪でピッチを実施し、VCメンター6名とパートナー企業による審査を経て5者程度を採択する。

「最終審査で選んだ以上、VCメンターの皆さんにも責任を持って一緒に育てる姿勢で伴走してもらいます。6カ月の支援期間では、事業を大きくするためのアイデアや戦略を本気でぶつけてもらうつもりです」と江邉氏。

 プログラムによっては、著名な審査員とは最終ピッチで顔を合わせたきり、その後の関わりが生まれないケースもある。しかし「起動」では、ハンズオン期間中もメンターとして、しっかり関わりをもってもらう。

「DeepTech Frontier Kansai」──関西の研究とスタートアップを世界へ

 もう一つの取り組みとして案内されていたのが「DeepTech Frontier Kansai」で、関西の大学研究開発型スタートアップやディープテック企業を国内外へ紹介するためのWebページだ。

「公式サイトには現在約80件のスタートアップを掲載しています。今年度中に約200件の掲載をめざし、英語の情報も掲載することで、海外のVCや事業会社に向けた発信もしていく予定です」(江邉氏)

 研究段階の技術も含め、関西のディープテック・スタートアップを一覧できるデータベースとして整備が進んでいる。事業会社にとっては協業候補を探す入口としても活用できる。

DeepTech Frontier Kansaiのスタートアップ・データベース

「起動」を関西エコシステムとの接点に

こうした関西発のディープテックを世界に届ける動きの中で、「起動」もまた研究・技術シーズの事業化を後押しする実践的なプログラムとして位置付けられている。

 第4期のエントリーはすでに始まっており、締め切りは2025年12月4日(木)17時となっている。関心のあるスタートアップや研究者にとっては、見逃せない、注目すべきプログラムと言えるだろう。

募集概要

【名称】関西スタートアップインキュベーションプログラム「起動4期」

【テーマ/重点分野】バイオ・ライフサイエンス、グリーンテック、デジタル

【応募資格】
・未来社会を構想し、テクノロジーを活用して、グローバルに活躍したいと志す個人やチーム、あるいは創業から5年以内のスタートアップで次の条件を満たす者。
・関西(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県(以下同様))に本社もしくは事業所がある、又は関西をベースに事業を立ち上げ成長をめざす意思があること。
・個人・チームの場合は、採択から資金支援までの期間に関西で法人を設立し、事業活動を開始する予定であること。
・本プログラム参加による成果を活かして、成長に向けた資金を調達し、早期の事業拡大をめざす意思があること。

【募集期間】2025年10月15日(水)~2025年12月4日(木)17時

【主催】公益財団法人 大阪産業局(大阪イノベーションハブ)

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