ディープテック企業が世界を目指す 大学発ベンチャー表彰2025
大学発ベンチャー表彰~Award for Academic Startups~授賞
「大学見本市2025~イノベーション・ジャパン」が、2025年8月21日(木)、22日(金)に東京ビッグサイトにて開催された。大学見本市は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が2004年から継続開催する、全国の大学等機関から創出された研究成果の社会還元と技術移転を促進することを目的としている。実用化に向けた産学連携のマッチング支援を実施することを目的とした、日本最大級の産学連携イベントだ。21日には大学等における研究開発成果を活用して起業したスタートアップの活躍を促進するため、成長が期待される優れた大学、企業などを表彰する「大学発ベンチャー表彰~Award for Academic Startups~」の授賞式が実施された。
文部科学大臣賞:株式会社CROSS SYNC
横浜市立大学発の医療スタートアップであり、重症患者向けのAIによる「生体看視アプリケーション iBSEN DX」により、遠隔ICU(集中治療室)サービスを提供する。AIとIoTを駆使し、重症患者の状態を遠隔で可視化、予測することで、ICUレベルの医療環境をあらゆる病床に提供し、「防ぎ得た死をゼロにすること」を目指す。髙木氏は、この受賞を機に、国内のみならず海外へも展開し、日本の遠隔医療の技術を世界に発信していきたいと述べた。
経済産業大臣賞:燈株式会社
東京大学松尾研究室発のAIスタートアップで、製造や建設、物流など業界に特化したDXプロダクトを展開する。独自のAI技術により企業の個別課題に最適化されたソリューションを提供し、業務を自動化、高度化することで、業界全体の生産性向上を牽引する。野呂氏はAIの分野で海外に先行されている状況を踏まえ、「日本を背負って世界で勝ちたい」と意気込みを語っていた。
科学技術振興機構理事長賞:株式会社アークエッジ・スペース
東京大学中須賀研究室発の宇宙スタートアップで、超小型衛星の設計から開発、運用を一気通貫で手掛ける。地球観測、船舶向け衛星通信、月面インフラ整備、深宇宙探査など、幅広い用途に対応可能なソリューションを提供する。グローバルに寄与する可能性が評価され、柳田氏も国際展開へも意欲を示した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構理事長賞:アイラト株式会社
東北大学発のスタートアップで、強度変調放射線治療(IMRT)に対応したAI活用による放射線治療計画ソフトウェアを開発する。医療スタッフの経験や技量によって質が左右されていた治療計画作成をAIがサポートすることで、高精度治療の効率化と医療スタッフの過重労働削減に貢献する。角谷氏は大学や投資家らと一致団結し、世界中のがん患者を救うプロダクトとなるよう活動をしていきたいと述べた。
日本ベンチャー学会会長賞:株式会社Jij
大規模な計算を要する最適化計算事業に取り組み、量子技術と数理モデルに基づく最適化ソフトウェア「JijZept」を開発、提供する。将来的な量子時代を見据え、エネルギー需給計画や製造業の生産計画など、複雑な最適化課題に対応する。山城氏は、日本の技術を世界に届けられるよう今後も頑張っていきたいと決意を述べた。
大学発ベンチャー表彰特別賞:株式会社Logomix
京都大学発のスタートアップで、独自の大規模ゲノム構築技術プラットフォーム「Geno-Writing」を提供する。従来のゲノム編集技術では不可能だった大規模かつ自在なゲノムのデザインと構築を可能にし、工業的に有用な新機能細胞を創製する。石倉氏は「注力している米国市場でしっかり通用するところを見せていけるよう頑張りたい」と抱負を述べた。



































