AIベンチャー=東大発じゃない。名古屋発“業務予測AI”が大手に広がるワケ
東大発ばかりじゃない、日本のAIスタートアップ事情
日本のAIスタートアップって雨後の竹の子みたいに次々と出てくるけど(主に東大から)、「PoC止まり」に留まることもある。結局、本当に生き残るAIスタートアップってどれだけあるだろうか?
受託で儲かった“ホリエモン世代”と今の違い
私が学生の頃、いわゆる“ホリエモン世代”の起業ブームでは、受託開発だけで十分に儲かる時代だった。でも今は時代が違う。PoCや受託で食っていけるほど甘くない。東京大学 FoundX ディレクターの馬田隆明氏もブログの中で「AIスタートアップは受託に留まりがちでスケールしにくい」と警鐘を鳴らしている。つまり、次のステージに進めるかどうかが問われているのだ。
名古屋大発・トライエッティングが選んだ道
そんな中で面白い動きをしているのが名古屋大発の株式会社トライエッティングだ。東大発スタートアップが研究成果を前面に出してVCマネーを呼び込むのに対し、トライエッティングは地元の産業と組んで“現場から”スケールを狙っている。同社は需要予測や生産計画・人員配置などを最適化するノーコードの業務予測AIツール「UMWELT(ウムベルト)」を提供しており、アルペン、豊田合成、スガキヤといった地元の大手企業に導入されている。
UMWELTは、日付や品番など最低限のデータさえあれば需要予測を始められるのが特徴で、ノーコードで直感的に扱え、在庫やシフトといった現場の判断を支える仕組みとして活用が広がっている。
地方産業に密着することで、調達資金が潤沢でなくても事業を継続でき、しかも、導入先はいずれも地元で長く続く老舗の安定企業だ。強力な信頼関係から、グループ会社や取引先にも“芋づる式”に広がっていく。とはいえ、「地元に支えられてる」と見るか、「しっかり囲われてる」と見るかは、ちょっと意見が分かれるところかもしれない。
東京IPO型とは違う、“現場接続型”AI
東京のスタートアップが「VCマネー→IPO」を目指すのに対し、名古屋はもっと生活インフラ寄りの“現場接続型”AI。まず地域の大手と組んで地場産業を更新していく姿は堅実にも見えるし、逆に閉じた構造にも見える。
トヨタ式? それともスガキヤ式?
「最新テックで世界を席巻!」とはいかないけど、実直に“壊れない仕組み”をつくる。派手さゼロのトヨタ式経営。あるいは絶対に東京進出しない名古屋のソウルフード、スガキヤのよう。地味すぎて逆にスタートアップのキラキラしたイメージを払しょくする信頼感が漂う。
地域らしい距離感が、日本型イノベーションの突破口に
華やかなユニコーン路線じゃなくても、地元の大手に支えられながら産業を再生していく道もある。全国にそのまま真似できるモデルかは微妙だが、地域らしい支え方と距離感があるのは当然だし、こういう堅実さが日本型イノベーションの突破口になるかもしれない。









































