あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第563回
スポーツカー好き絶賛! Honda プレリュードの「Honda S+Shift」で感じる本物のエンジンサウンドと変速感に感動
2025年09月15日 15時00分更新
24年ぶりに復活したホンダのスペシャリティカー「プレリュード」。運転を楽しめるハイブリッド「Honda S+Shift」を搭載した令和のスペシャリティカーはどんな走りを見せてくれるのでしょうか? 早くもワインディングのクローズドコースで試乗する機会を得たので、令和最新版スペシャリティカーの乗り味をリポートしていきます。
なお、価格はワングレードで617万9800円です。
注目メカニズムはギアを切り替えているかのような
音と振動を再現する「Honda S+Shift」
2ドアクーペながらバリバリのスポーツカーではなく、歴代モデルと同じように「スペシャリティカー」を目指した新型プレリュード。足回りは「シビック TYPE-R」をベースとしていますが、乗り心地などのコンフォート性能も重視しています。
しかし、コンフォート性能だけを重視してしまうとラグジュアリークーペになってしまいます。コンフォート性能も重視しながらも、運転が楽しい、どこまでも運転したくなる……、それがプレリュードが目指した乗り味であり、この両立がホンダが考えるスペシャリティカーの形だそうです。
メカニズムで最大のポイントは新たなハイブリッド制御技術「Honda S+Shift」です。基本的にモーターで駆動するのですが、まるで有段ギアを持つエンジン車のような音と振動を再現しているのです。詳細なインプレッションはこのあとお伝えしますが、その乗り味を一言で表現するならば「DCT(クラッチを使う自動変速機)で駆動を伝達するエンジンスポーツモデル」といった雰囲気でした。
搭載されるエンジンは2.0Lの4気筒ですが、基本的には発電用で高速巡行時にのみ、燃費向上のために直結モードでエンジン駆動をします。それ以外の役割はエンジンサウンドを奏でることです。疑似的な有段ギアに合わせて、回転を高めたりブリッピング(空ぶかし)をしたりといった、自然なエンジンサウンドを奏でるためにエンジンは働くのです(エンジンサウンドはスピーカーからも付加される)。
気になる燃費は、WLTCモードで23.6km/L。これでスポーツエンジン車のような乗り味を体現していたら、ハイブリッドの新時代が幕を開けそうです。
MTユーザーでもDレンジで十分楽しい!
普段はMTのスポーツカーを所有している筆者。「パドルシフトを操作して、MT的な乗り味が楽しめるかな……」と期待しながら試乗車へ。しかし、ここで思わぬメニューを開発陣からオススメされました。「ぜひ、Dレンジで走ってみてください」と。
「Honda S+Shift」の売りは有段ギアのような変速感じゃないの? とも思いつつ、素直に従ってみることに。すると「いいじゃん、Dレンジ!」と思わせるフィーリングとなっていました。
加速していくと、ほとんどコチラがイメージした通りのタイミングでシフトアップとダウンを自動でしていきます。コーナーの進入や立ち上がり、路面の勾配など走行状況に合わせた変速をしてくれるので、Dレンジでもワインディングドライブがかなり楽しいです。
エンジン音の高鳴りと若干の変速ショックが再現されていて、助手席に誰かを乗せたらエンジン車であると思うはずです。もちろん、パドルシフトもキレ味の良い変速を見せてくれますが、Dレンジもかなりアリです。ちなみに、疑似的に再現された有段ギアは8速で、8速は高速巡行のためにあるようなギアでエンジン直結となります。
なお、シフトセレクター近くに配置された「S+」ボタンを押せば有段ギアのような乗り味を再現してくれるモードとなり、メーター上にはタコメーターが表示されます。このボタンで通常のハイブリッド車的な走行へと切り替えることも可能で、ハイブリッド車らしい静かな走行もできます。
走行モードのキャラ変もイイ感じ
新型プレリュードには「COMFORT」「GT」「SPORT」の3つのドライブモードが用意されています。これは「Honda S+Shift」の制御とは別に独立したものです。ドライブモードはパワーステアリングのセッティングやパワーユニット、サスペンション、エンジンサウンドがそれぞれ変化します。自分で各種好みの設定ができる「INDIVIDUAL」も用意されています。
このドライブモードでのキャラ変は「Honda S+Shift」とのマッチングが絶妙でした。「COMFORT」ではエンジンサウンドの主張は控えめで、低回転でシフトアップしていく感じ。まるで大排気量GTカーに乗っているようです。「GT」はそれよりも高回転でエンジンサウンドの主張が増しますが、足回りのセッティングも相まってか肩の力を抜いてワインディングを楽しめて、いつまでもリラックスしてマイペースでワインディングを走っていたくなるフィーリングでした。
「SPORT」では全体的にカチッと感が増して、変速もシャープになります。減速から再加速時のアクセルに対するトルクのレスポンスも素早くなり、速く走らせたくなるフィーリングです。
なお、ワインディングではコーナリングでのクルマとの対話がとにかく楽しいと感じさせました。どこに荷重がかかっているのかが分かりやすく、コーナリング時の踏ん張り感もあってクルマを曲げることへの対話がとにかく楽しい。ブレンボ製のブレーキもタッチフィールが抜群で、この乗り味を体現するのに必要な装備であることを実感させられました。
本体価格617万9800円は決して安い設定ではありませんが、ハイブリッド×楽しいドライブフィールという新たな価値を持つ令和のスペシャリティカーをどう評価するかで、この値段の見え方が変わってくることでしょう。

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