日本のあちこちに友達ができ、見知らぬまちが愛おしくなる
旅の途中で金沢のSORACOM UGに参加したら、地方勉強会の良さを改めて体感できた話
2025年09月07日 10時00分更新
先月、私用で金沢に行ったら、現地でソラコムユーザーのハンズオンイベントを知る。延泊して、イベントと懇親会に参加したら、参加者と楽しく交流でき、とても有意義だった。やっぱり地方勉強会は楽しいぞ。
ひょんなことから勉強会を知り、延泊して参加することに
とある10月の金曜日、私は金沢市内で開催されたPTAイベントの講演に登壇していた。予定を入れてなかった翌日は金沢市内を観光しようと思ったが、なにしろ暑いので、七尾まで電車の旅をすることにした。移動中にFacebookでたまたま目にしたのが、ソラコムのMAX(松下享平さん)が金沢駅に着いたという投稿。なにやらSORACOMユーザーのイベント「SORACOM UG 石川#2」がちょうど金沢で開催されるという。面白そうなので延泊して参加することにした。
七尾で寿司を食べて金沢に戻り、「SORACOM UG 石川#2」の会場であるインキュベーション施設「ITビジネスプラザ武蔵」に足を運ぶ。こちらは金沢市が運営するベンチャー支援施設で、金沢駅からも、観光地である近江町市場や金沢城、兼六園にもほど近い。ちなみに10月11日に開催されるJAWS FESTA 2025 in 金沢の会場もこちらである。
SORACOM UGは、実際にIoTデバイスを触って、SORACOMサービスを体験するハンズオンが多い。この日は、7月に開催されたSORACOM Discovery 2025の発表をおさらいするRecapに続き、ハードウェアの設定、ローコードツールの利用、プロトタイプ開発などのハンズオンが行なわれていた。私がイベントに合流した夕方には、10人近い参加者がハンズオンを無事に完了させた状態だった。
ちなみに今回利用されたハードウェアはLTE-MやNB-IoTのセルラー通信に対応したSeeedのマイコン搭載開発ボード「Wio BG770A」。ハンズオンでは、Arduino IDEやライブラリのインストール、Wio BG770Aでのボタン、ブザー、加速度センサーなどの試行、SORACOMの設定、サンプルコードを用いたデータ送信、SORACOM Harvest Dataによるデータ収集、蓄積、可視化まで行なった。地滑りを検知するシステムのプロトタイプ開発もあり、なかなか実践的だったようだ。
ローコードツールは、IoTアプリケーションをローコードで構築できるSORACOM Fluxを利用。SORACOM Fluxでは、デバイスから送信されたセンサーデータ、カメラから送信された画像に対して、ルールを適用し、複数のデータソースや生成AIを組み合わせて分析/判断し、その結果をIoTデバイスの制御に反映させることができる。
事前の設定が必要だったとはいえ、開発ボードの開封から始めて、データの可視化、さらに自動化までわずか3時間程度で設定できるのは驚き。ハンズオン資料の用意は直前までバタバタしたとのことだが、開けてみればみなさんスムーズに作業を終えたようだ。
IoTの楽しさや苦労を共有したLT大会 どうせならと私も登壇
ハンズオンが終了し、散らかったテーブルを片付けた後は、SORACOMユーザーによるLT大会が始まる。
トップバッターの松田さんは、ソラカメで撮影した成育中のきのこの画像を生成AIで解析し、LINE公式アカウントに自動投稿する「きのこ日和」。の開発秘話。LINE Messaging APIとSORACOM Fluxを組み合わせた作例だが、SORACOM Discovery 2025に持ち込むまでの苦労話が面白かった。
濱島さんは「業務可視化(見える化)するサイコロ作ってみた」について。こちらはSORACOM GPSマルチユニットの加速度センサーを使って、いまなんの作業をしているか見える化するサイコロを作ったという話。こちらもシステムよりも、サイコロを作る方が大変だったみたい。
井村さんの「お手軽VPN SORACOM Arcを使ってみた」は、WireGuardを採用したVPNサービスSORACOM Arcにルーターでつないでみたという話。実際のデモも披露され、SORACOMエバの松下さんからIPsecとWireGuardの違いについての説明もあったので、技術的にも勉強になった。
続いてSeeedの松岡さんからは今回ハンズオンで採用されたWio BG770Aの省電力機能の話(関連記事:コミュニティと連携する新しいものづくり IoTデバイスメーカーSeeedに聞いた)。こちらもデモが用意されており、省電力用のサンプルコードを利用することで、待機電力がグッと下がるのがグラフでわかった。
ちなみに最後は飛び入りで私もLTをやらせてもらった。他の勉強会で話しそびれたエンジニア向けに読んでほしいSF小説・書籍を披露したのだが、つたない話なのにかかわらず、みなさん興味深く聞いてくれ、「さっそくポチりました!」という声もいただいた。LTで登壇すると、話題も提供でき、参加者との距離もグッと近くなるので、やっぱり登壇はオススメだ。
美味しい食事と楽しい話 見知らぬまちが愛おしくなる
さて、日もとっぷり暮れ、懇親会に向かう。地元の方に最寄りの美味しいお店に連れて行ってもらった。お店はお肉メインの店だったが、美味しくないわけがない。
10人程度なので、どのメンバーとも距離は近い。SORACOMやIoT、AIの話はもちろん、地元金沢のIT事情、コミュニティイベント周り、最近作ったモノなどの話、話は尽きない。地元の方からは「次は金沢のJAWS FESTAですよ!」としっかり念押しされ、また行くきっかけができてしまった。懇親会も終わり、まだまだ熱気の残っていた金沢の夜。ホテルのある金沢駅近くまで参加者たちと与太話しながら歩き、三々五々散っていく。なんてエモいんだろう。
ということで、延泊して参加したSORACOM UGだが、結果は大満足。見知らぬ地方都市だった金沢が、たった数時間で友達だらけの愛着のあるまちに変わる。この体験が地方勉強会の魅力だ。正直、技術を学びたいのであれば、連日開催されている都内の勉強会やセミナーに参加すればよいだろう。でも、そんな都内の勉強会と違う風景と価値が地方勉強会にはある。次はJAWS FESTA 2025 in 金沢でお会いしましょう。















