【JSTnews9月号掲載】NEWS&TOPICS 戦略的創造研究推進事業さきがけ/研究領域「持続可能な材料設計に向けた確実な結合とやさしい分解」/研究課題「オンデマンド合成&解体を実現するビニルポリマーの高速分解技術」
アクリルガラスを高純度でリサイクルする新手法を開発
2025年09月12日 12時00分更新
環境汚染や化石資源の枯渇などの問題を背景に、プラスチック廃棄物をリサイクルする技術の開発が求められています。特に、分子レベルで廃プラスチックを再生する「ケミカルリサイクル」は、回収・再成形に伴い製品が劣化する従来のリサイクルに代わる手法として期待されています。透明なアクリルガラスとして広く使われているポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、加熱によりモノマーと呼ばれる構成分子の最小単位であるメタクリル酸メチル(MMA)に分解することができますが、400~450度という高温が必要でした。
信州大学学術研究院の髙坂泰弘准教授らの研究チームは、共重合により熱分解しやすい変性アクリルガラスを開発しました。モノマーの成分はMMAが95モルパーセント、メタクリル酸トリチル(TMA)が5モルパーセント。減圧して270度に加熱すると、モノマーであったMMAのうち95パーセントを回収できました。さらに、同技術を応用して、市販のアクリル板からも同様のケミカルリサイクルが実現できることを実証しました。
変性アクリルガラスはPMMAと同様、通常のバルク重合や懸濁重合で合成でき、成形加工性や樹脂特性を維持したまま、低温でのケミカルリサイクルを実現します。これにより、アクリルガラスの新たなリサイクル手法へとつながることが考えられます。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第127回
TECH
超合金への憧れから、金属を「キントレ」で強くする手法を研究 -
第126回
TECH
小腸がんにつながる新たな遺伝子変異を発見、診断・治療に期待 -
第125回
TECH
二酸化炭素を資源に変える新触媒、新しい合金を電気で合成 -
第124回
TECH
霊長類の色覚の仕組みを一部解明、視覚疾患の診断・治療の一助に -
第123回
TECH
地震時の被害を即時に把握し予測するシステムを、地震多発国ペルーと共同研究 -
第122回
TECH
「他者」を記憶するメカニズム解明へ! 自閉症への理解、治療法開発にも貢献 -
第121回
TECH
細胞の決定的瞬間を「ミリ秒」でとらえる! 顕微鏡開発の最前線 -
第120回
TECH
海洋からウイルスをサルベージし培養、産業の発展へ貢献 -
第119回
TECH
構造色で光を自在に操るハイブリッドナノシートを開発 -
第118回
TECH
生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見 -
第117回
TECH
服にコイルを編み込んで全身無線通信・給電ネットワーク、AR 操作を見据えた指輪型マウスも開発 - この連載の一覧へ








