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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第196回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 8月2日~8月8日

40代~60代・IT技術者のキャリア不安、怖いのはAIよりも「スキルの陳腐化」/「従業員の退職による倒産」が過去最多、ほか

2025年08月12日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2025年8月2日~8月8日)は、40代~60代のシニアITエンジニアにおける「働き方」の意識調査、大企業におけるAI導入の準備状況と課題、「従業員の退職による倒産」が昨年比で急増、日本でも拡大する従業員エンゲージメント市場、日米欧5か国で比べたCEO(最高経営責任者)の報酬動向についてのデータを紹介します。

[エンジニア][働き方] 40~60代のシニアエンジニアは「働き方」に柔軟な姿勢、7割が「年下管理職でも抵抗なし」(レガシーフォース、8月7日)
・40代~60代のITエンジニア、年下管理職も「特に抵抗はない」「歓迎する」が7割
・働き方の理想は「リモート/ハイブリッド」、現実は「出社偏重」でギャップあり
・今後のキャリア展望、「年齢で仕事がなくなる」「スキルの陳腐化」が不安

 40~60代のシニア層ITエンジニア・600人を対象とした働き方実態調査より。自分よりも年下の管理職によるマネジメントでも、72.4%が受容する姿勢(「歓迎する」9.2%、「特に抵抗はない」63.2%)を示している。現在の働き方は「完全出社」が29.7%を占めるが、理想の働き方を聞くと「フルリモート」や「ハイブリッド(リモート+週に数回の出社)」を希望する人が大多数で、「完全出社」希望は11%に減る。ただし「高い給料なら出社でも構わない」が52.7%と、条件次第で柔軟に受け入れる姿勢も見せている。

 ⇒ 今後のキャリアに感じる不安(複数選択可)としては、「年齢が理由で仕事がなくなる」が44.5%、「技術変化についていけずスキルが陳腐化」が33.7%、「年収が下がるかも」が30.5%など。プレスリリースでは「約8割が何らかの不安を抱えている」とされていますが、変化の激しい時代の中で何らかの不安を感じるのは、むしろ当然のこととも言えます。

シニアITエンジニアの7割が、年下管理職のマネジメントにも「特に抵抗はない」「歓迎する」と回答(出典:レガシーフォース)

今後のキャリア展望。多くが現在の所属先で勤務継続を希望している(出典:レガシーフォース)

今後のキャリアに感じる不安。「AIに仕事が奪われる」不安よりも「年齢」「スキルの陳腐化」のほうが大きい(出典:レガシーフォース)

[AI][セキュリティ] 「安全なAI導入基盤」が整っている企業はわずか2%、多くがセキュリティ・ガバナンス課題に直面(F5、8月4日)
・企業内でAI活用が拡大、平均25%のアプリケーションがAIを活用
・一方で「安全なAI導入基盤」が全社的に整っている企業はわずか2%
・「中程度の準備状況」が77%を占め、セキュリティ・ガバナンス面で大きな課題

 グローバル企業(年間売上高2億ドル以上)のITリーダー/AI推進担当者、合計800人に調査した「2025年版 AIアプリケーション戦略状況レポート」より。企業でのAI活用が拡大し、平均25%のアプリケーションがAIを活用している。ただし、自社内に「AIアプリケーションを安全に実装できる基盤」を整備済みの企業はわずか2%。77%は「中程度」の対応力を持つものの、十分なガバナンスやセキュリティ体制がなく「大多数はリスクにさらされている」、さらに21%が「準備不十分」と分類されている。セキュリティの面では、71%がセキュリティ強化にAIを活用している一方で、「AI(の保護)に特化したセキュリティ」の取り組みは遅れている。

 ⇒ 今回の調査対象の企業では、「平均3つ」のAIモデルが利用されていました。このような、複数モデルの利用は「複数の環境/地域でのデプロイメントと相関」しているとのことで、たとえばマルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境で、個別に(バラバラに)構築/運用される状況が考えられます。セキュリティ対策を考えるうえでは、こうした状況もふまえる必要があります。

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