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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第195回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月26日~8月1日

新卒者の“退職代行”利用が早期化、4割は「入社前の話と違う」/低軌道衛星(LEO)通信が急成長、ほか

2025年08月04日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回は(2025年7月26日~8月1日)、低軌道衛星(LEO)通信サービス市場の拡大見込み、“AI時代”のサイバー脅威に備える企業の少なさ、自治体職員の退職率を下げる「貢献意欲(エンゲージメント)」、2025年度新卒者の退職代行サービス利用実態、国内ITサービス市場の最新シェアについてのデータを紹介します。

[通信][衛星] 低軌道衛星(LEO)通信サービス、ユースケース拡大で急成長へ(ガートナージャパン、7月30日)
・低軌道衛星(LEO)通信に20社以上が参入、今後数年で4万基以上の衛星打ち上げ
・世界のサービス支出は、2026年には前年比24.5%増の見込み
・「遠隔地ビジネス」「消費者サービス」「IoT接続」でそれぞれ30~40%の成長を予想

 米スペースXの「Starlink」などで知られる、「低軌道(LEO)衛星通信サービス」市場の予測。2026年には、世界のエンドユーザー支出が前年比24.5%増の148億ドルに達する見通し。これまでは「遠隔地間のブロードバンド接続」が主な利用目的だったが、それ以外の新たなビジネス用途、消費者用途の登場で、市場が急拡大する。成長分野としては「遠隔地ビジネス」(40.2%増)、「遠隔地消費者」(36.4%増)、「IoT接続」(32%増)、「海事・航空」(13.8%増)、「ネットワーク・レジリエンス向上」(7.7%増)など。日本でも、LEO衛星とスマートフォンの直接接続サービスの商用提供が始まっており、6G時代に向けて融合への期待が高まっている。

 ⇒ 地球に近い軌道を周回するLEO衛星は、従来の衛星通信よりも速度や遅延(レイテンシ)の面で優れます。市場の領域を大きく分類すると、固定/モバイル向けブロードバンドサービス、IoT接続、モバイルブロードバンド補完、インフラバックホールの4領域で、それぞれユースケース拡大によって盛り上がりが期待されます。

世界におけるLEO衛星通信サービスのエンドユーザー支出(出典:ガートナージャパン)

[AI][セキュリティ] “AI時代のサイバー防御体制” 十分な備えができている大企業はわずか10%(アクセンチュア、7月28日)
・AIによりサイバー脅威が加速、セキュリティの備えが「十分でない」組織が90%
・統一的な戦略や技術力に欠ける「脆弱ゾーン」組織が63%、大半を占める
・77%の組織で「データ・AIセキュリティ対策が不十分」

 日本を含む17か国で、大企業のセキュリティ技術担当幹部2200人超を対象に調査した。攻撃者側でのAI普及により、サイバー脅威のスピード/規模/巧妙さが飛躍的に増しているが、90%の組織が、そうした“AI主導の未来”に備えた十分なセキュリティ対策を講じられていないことが分かった。組織の成熟度別分析では、最も高リスクな「脆弱ゾーン」が63%(日本は60%)、中間の「進展中ゾーン」が27%(日本32%)で、対策成熟度の高い「変革準備完了ゾーン」は10%(日本8%)にとどまる。特に「データ・AIセキュリティ対策が不十分」という組織が77%を占めた。また、業務における生成AI活用について、明確なポリシーや従業員研修を導入している組織も、22%(日本19%)と低水準にとどまる。

 ⇒ サイバー攻撃者側でAI活用が進み、多国語を使いこなす巧妙なフィッシングメールやマルウェアコードの作成、攻撃の自動化やスケールの拡大などに悪用され始めています。防御側もそうした動きに追いつかなければなりません。このレポートによると、“AI主導の未来”に十分備えることができれば、高度なサイバー攻撃への遭遇確率が大きく下がり、脅威をブロックできる効果も大きく高まるとのこと。

サイバーセキュリティ・レジリエンスの現状 2025(出典:アクセンチュア)

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