カブトムシ1000匹で1トンを分解。知られざるエコの力とは
カブトムシの幼虫は、土を育てる“分解者”
夏といえば、カブトムシ。夏休みに森を探検したり、飼育ケースで育てたことがある人も多いはずだ。彼らが好むのは、クヌギやナラといった広葉樹が茂る雑木林。落ち葉が積もってできた、ふかふかの腐葉土の中に、幼虫はひっそりと暮らしている。
この腐葉土こそが、カブトムシの幼虫にとってのエサ。しかもその幼虫が食べたあとの“フン”は、ただの排泄物ではない。なんと、普通の腐葉土よりも栄養価の高い「スーパーファーム」な肥料になるのだ。
昆虫がつくる“糞土”でゴミを資源化
この自然のしくみを、社会の課題解決に活かしているのが、株式会社TOMUSHI(トムシ)。 同社は、木くずや食品残渣といった廃棄物をカブトムシの幼虫に食べさせ、においも害も少ない「糞土(ふんど)」へと変換。それを農業や緑化に再利用するという、昆虫主導の“資源化サイクル”をビジネスとして展開している。
さらに、自治体や企業と連携し、リサイクル拠点の整備も進行中。ゴミをカブトムシが分解 → 高性能肥料に変換 → 環境にやさしく再利用、という新しい循環を全国に広げようとしている。
肥料だけじゃない。たんぱく源としての可能性も
糞土の利用に留まらず、成長したカブトムシをたんぱく源として活用する研究にも着手している。昆虫由来の代替たんぱく質として、将来的には飼料やサプリメントへの応用も視野に入れているという。まさに“虫×テック”の異色スタートアップだ。
ちなみに、カブトムシの幼虫は、成虫になるまでに1匹で1kg以上の腐葉土を食べるとも言われるほどの大食漢。1000匹なら1トン、10万匹なら100トンを分解する能力がある。“昆虫の王様”は、エコの力も偉大だった。



























