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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第191回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月28日~7月4日

絶対王者・MS Officeを脅かす“あのツール”/ソフトウェア開発の生産性低下は「会議の多さ」から?/人手不足倒産が最多、ほか

2025年07月07日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回は(2025年6月28日~7月4日)、20代と50代の社会人の比較で見えた“生成AI格差”、ビジネス資料作成ツールにおける「ChatGPT」の急伸、ニーズが高まるクラウド型DLP市場、ソフトウェア開発の生産性向上における取り組みや阻害要因、2025年上半期の“人手不足倒産”についてのデータを紹介します。

[生成AI][スキル] 生成AI利用で世代間格差、「利用経験あり」20代は59%、50代は39%(BEYOND AGE、6月30日)
・生成AIツールの利用経験、20代と50代では約20ポイントもの差
・使用頻度も、20代は「週4日以上・1日1時間前後」、50代は「週1日・30分未満」
・20代は「アイデア出し」などの発想支援、50代は情報整理が中心

 20代と50代の社会人、各500名を対象に「生成AIの業務活用」を調べた。20代の59.2%が「生成AIの利用経験あり」だったのに対し、50代は39.4%にとどまる。利用頻度についても、20代は「週4日以上」が43.4%を占める一方、50代は「週1日程度」が37.4%と最多。利用目的では、20代が「アイデア出し」(39.3%)などクリエイティブ支援を重視する傾向、50代は「文章要約・作成」(64.9%)など情報整理中心。利用ツールについては、いずれも「ChatGPT」が定番(トップ)だったが、20代は「Claude」「Runway」など新しいツールも併用する傾向がある。

 ⇒ 生成AIの利用における新たな格差(デジタルデバイド)を示唆する調査結果です。現在はさらにAIエージェントが登場するなど技術の進展は目まぐるしく、この格差はさらに広がっていきそうです。

生成AIの利用経験。左が20代、右が50代(出典:BEYOND AGE)

生成AIを業務に使う頻度。20代は「ほぼ毎日」、50代は「週1日程度」が最多(出典:BEYOND AGE)

利用している生成ツール。20代、50代ともに「ChatGPT」が最多だが、20代はそのほかのツールの利用にも積極的(出典:BEYOND AGE)

[生成AI][生産性ツール] ビジネス資料作成ツール、やがてChatGPTがMicrosoft Officeの地位を脅かす?(think-cell Japan、2025年7月)
・職場で利用するツール、Excel、Word、PowerPointに次いで「ChatGPT」が4位
・若年世代ほど、代替ツール(Google SheetsやCanvaなど)への移行が顕著
・ChatGPTの利用率、団塊ジュニア・バブル世代は10%未満と、それ以降の世代と格差

 22~59歳の大卒社会人800名を対象に「ビジネス資料作成ツールの利用状況」を調べた。Microsoft Officeの3大ツールである「Excel」(54%)、「Word」(52%)、「PowerPoint」(32%)がトップ3を占めたが、4位にはサービス開始からわずか2年半の「ChatGPT」(15%)がランクイン。また、若年層ほど「Google Sheets」「Google Docs」「Canva」などのクラウド型代替ツールの利用率が高い。「ChatGPT」の利用率は世代間格差が鮮明で、Z世代(22~28歳)から氷河期世代(45~50歳)まえは16~18%の範囲だが、団塊ジュニア・バブル世代(51~59歳)になると10%未満に急落する。

 ⇒ ビジネスツール全体を見ても、急成長する生成AIの影響を大きく受けていることが分かります。ユースケースによっては、これまでの専用ツールが不要になってくるかもしれません。

ビジネス資料作成で使用するツール。定番のMicrosoft Office 3製品に続いてChatGPTが4位(出典:think-cell Japan)

世代別に分析すると、Z世代/ゆとり世代ではMicrosoft製品の利用率が低く、代替ツールの利用が多い(出典:think-cell Japan)

ビジネス資料作成にChatGPTを使うZ世代は18%で、バブル世代の2.25倍に達する(出典:think-cell Japan)

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